パイ日和・おまけ

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help リーダーに追加 RSS ヨシカワ『栗とグラニテ』『カレー風味のナッツクッキー』『ムースオプリュノー』『パッションとキャラメル

<<   作成日時 : 2008/10/02 22:45   >>

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兵庫県芦屋市、阪急神戸線芦屋川駅から東へ10分余り。線路から少し南側の住宅街に「お菓子の店 YOSHIKAWA」さんがあります。
今年は「イル・プルー・シュール・ラ・セーヌ」系列のお店を、ご本家、一番弟子と食べ歩いて満足したつもりだったのですが、それでも、間が開いてしまうとなんだか虫が騒ぎ始めます。
どうやら私たちにとって「ヨシカワ」さんは、別格。お菓子が美味しいのはもちろんですが、販売のスタイル、佇まい、人柄などすべてが魅力的だからでしょうね。


●『栗とグラニテ』 4.5×7cm 高さ2cm 30gほど。
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これは以前にご紹介した“栗のパウンド”に味わいはよく似ています。
生地はパウンドよりもしっかりめ。栗のペーストとグラッセが入っています。ラム酒もしっかり利かせています。

グラニテとは花崗岩の意味があり、それが崩れたツブツブ、ザラザラしたものを意味します。
昔のコース料理では、魚と肉の間に口休めとしてグラニテがよく入っていましたね。あれは氷菓でしたが、ツブツブザラザラの意味が共通。
今回のグラニテはそぼろ生地をもう少し固く小さくしたような感じです。

栗の風味が満喫できる点で、前回のパウンドと同様なのですが、こちらはより食感にこだわった出来上がり。ややしっかりめの生地にブツブツザラザラが加わって、少し賑やか。

普通、味の良さに加えてテクスチャーまで吟味されていて、と絶賛するところです。半分は本気で誉めたい自分がいるのは分かっているのです。
でも、栗好きの私たちはちょっとへそ曲がりに、栗の風味に神経が集中しないところを残念に感じているのです。これってない(ある?)ものねだり、なのでしょうね。
まあ、それだけパウンドの風味が凄かった(これもほとんど同じ味わいなんですけど)ということです。





●『カレー風味のナッツクッキー』 3×4cm 厚み1cm 110g(11個入り)。
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へ〜、カレー風味? 
ちょっとめずらしいクッキーです。
カレーマサラとターメリックを練り込んだ生地にクルミと松の実をサンドしながら層を重ねて行き、小口から切って層を見せる形で焼いています。

やや堅焼き。カリッとした歯触りが気持ちのいい食感。その後は脆くサクサクと崩れます。
色が濃いのでカレー風味も濃厚かなと思いましたが、香ってくるのは軽く品のいい範囲。むしろ塩あじのちょっとした強さが印象的なくらいです。

そしてナッツ類。クルミと松の実以外に、生地に細かく刻んだココナッツとアーモンドのプードルとみじん切り、エダムチーズが入っています。
このミックス感がなんとも不思議な一体感。
松の実の香りが一瞬浮き出たり、クルミの濃厚さを感じたり、ココナッツのキシキシとした食感がかすめたり、アーモンドのまろやかなボディに包まれたり…。
一体でありながらそれぞれがちゃんと自己主張。
こんな素敵なアンサンブルは、ビゴの店の『パンデピス』のスパイスで感じて以来。

そういえば、フランスのオーケストラは完璧なアンサンブルではなくアバウトな一致、適度な距離感、自己主張の強い表現というのが通り相場になっているほど。それが独得の魅力を紡ぎ出しているのですから、大したもの。
味覚の世界でも、どうやらフランス的感性というものは共通してあるのではないかと、ハタと思い至ったのでした。





●『ムース オ プリュノー』 3×8cm 高さ5cmほど。
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優しい食感のビスキュイにプラムのムース、濃い味わいのペースト、ジュレという組合わせ。

見た目は、なんだか昔のケーキのようです。
でも、その味わいの深さ、キレの良さを体験すると見掛けのことなんかどうでもよくなります。

吉川さん手作りのショーカードには
“豊かな大地で育ったプラムの味わいを赤ワインの力をかりてムースにし、口の中で途切れることのないおいしさを届けます”
と書かれていました。
まさに途切れることのない美味しさ、なめらかさ。

なにより魅力的なのはプラムの美味しさなのですが、赤ワインが加わることで香りが独得の強さを持ち、爛熟した豊かさに変身しているのです。
生のプラムでは味わえない、プラム以上のプラムが味わえます。お見事。





●『パッションとキャラメル』 3×8cm 高さ5.5cmほど。
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これも何を食べさせたいかが明確なケーキ。
パッションの痛烈な酸味とカラメルのどっしりとした苦味(ほろ苦さという言葉を使うべきところですが、けっこう強い)。
この対照と調和が素晴らしい。

ただ、この二つを直接合わせてみても、くどかったり、持続時間が短かったり、味覚としての完成にはいたらない。
どう味わわせるか、その手法まで細かく追求されているのが、このケーキ。

まず、土台。
みじん切りのアーモンドとともに焼き上げた生地。そのしっとり感とアーモンド粒の存在感。これが持続の支え。口の中でムースと混ざり、長く留めて印象をより強く感じさせます。
そしてそのしとやかさと豊満な風味で、こっそり主役のムースに対抗しようとするしたたかさも。

そして、ムース。
バタームースが選ばれています。どうやら、ここが肝心、らしい。
ムースはメレンゲが主体でフレーバーを付けて行くものが一般的ですが、これはポマード状にしたバターにカラメルやパッションを加えて、最後にメレンゲを入れる手順で作られます。
そうすると軽い食感が得られるだけでなく、バターの口溶けの良さが生きて、一瞬でそれぞれのフレーバーの魅力が口いっぱいに広がるのです。
普通のムースの場合、先に泡を感じてしまうため味がボケた感じに成りやすいのだそうです。

痛烈でキレがよく、しかも軽くて、その上、持続時間も保たれている。
味の組合わせ、構成の仕方で言えばシンプル。最近の若手の複雑なケーキから比べると稚拙にすら見えかねないケーキです。
でも、シンプルゆえに力強く、しかも手法の徹底によって際立った美味しさに磨き上げられているのです。

理屈っぽく書きましたが、その美味しさが口に入れた一瞬に理解されるところが、このケーキの最大の魅力です。




いやあ、これまで吉川さんの焼菓子に魅了されて、生まで手が回らない状態だったのですが、いやはや生もいいですねぇ。
さてさて、これからどうなることやら。またしばらくヨシカワ詣でにはまりそうです。



●『栗とグラニテ』220円  『カレー風味のナッツクッキー』650円(11個入り)  『ムース オ プリュノー』460円  『パッションとキャラメル』510円

●「お菓子の店 YOSHIKAWA ヨシカワ」
 兵庫県芦屋市大原町23-20  TEL0797-23-2370  定休日/日曜・月曜

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