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zoom RSS 初登場! パティスリーフィル(1)『ティーグレ』『キャラメル・キャレ』

<<   作成日時 : 2016/06/30 22:01   >>

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2014年10月オープンのパティスリー「フィル」さん。兵庫県西宮市、阪神甲子園駅から南へ、「ららぽーと甲子園」の前を通って信号を越えて行くと左手にシックなお店が現れます。津田宗俊シェフ、裕美さんご夫妻の二人だけのお店です。
シェフはおもに「アンリ・シャルパンティエ」の商品開発部門に長年在籍、独立して、自分が満足するお菓子を目指しているようです。大手の開発部門は商品化されたものの何倍も、何十倍も多く、深く研究を積み重ねています。その底力を発揮してくれることでしょう。


●『ティーグレ』  径5.6cm 高さ(土台)4.6cmほど。
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甲子園という町にいて、阪神カラーは必須と思いきや、甲子園に生まれ育ったという奥様の裕美さんも大阪出身のシェフもタイガースファンではないとのこと。

ショーケースの端に目立たないように置かれていました。ティーグレ Tigre がタイガーの仏語だと気付く人も少ないでしょうしね。
“認知度低いんですよ〜”と裕美さんもケラケラ笑っています。

さて。ビスキュイショコラの底生地に、チョコビック社のミルクとノワールを合わせたチョコムース、ビスキュイの上にカラメリゼしたアーモンドのダイス、その上にドーム型を逆さにしたガナッシュ、その上にパッション・マンゴー・オレンジのパレが射込まれています。
表面はココアのグラッサージュで漆黒に。
パッションのパレが「アンリ・シャルパンティエ」のテクニカルディレクター、クリストフ・フェルデール氏の得意技。血は争えない、というか、この場合は“知”かな。

ムースがいいですねえ。ガナッシュベースのシンプルなムースなのですが、軽やかに感じさせつつ、濃厚なチョコ、チョコだぁ!
“チョコのブランドに頼るようなケーキは作りません”と横から裕美さんが断言したように、チョコの旨味、香りが倍増しているような美味しさ。思わず、ウーンと唸ってしまいました。
射込まれたガナッシュがさらに追い打ちを掛けて、味わいを強調しているのでしょう。

そしてパレ、ジュレを少し堅めにしたようなものですが、すっと溶け出す鮮烈で華やかなパッションを主体とする酸味がチョコの味わいをさらに深めています。

ふーっ、凄いっ! しばし、言葉を失ってしまいました。

今年の弱い阪神ではなくぶっちぎり独創しているソフトバンクを思わせるような、強烈パンチ。何と申しましょうか、投げも投げたり、打ちも打ったり(野球解説の草分け小西得郎の真似)。
とまァ、ちょっと錯乱気味になるほどの見事さ。あははっ。

最近、チョコムースはどのお店も水準がとても高く、手が込んで複雑に迷路に入り込んだりしていますが、こちらはすべての構成がシンプルにチョコに焦点を合わせ、その満足感をぐんと高めています。チョコそのものの扱いはもちろん、合わせる素材の個性も重ねて、チョコの風味を抽き出す力が強いということ。
ふむ、感服いたしました。



●『キャラメル・キャレ』  5.7×5.5cm 高さ(土台)4.2cmほど。
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猛打の後に、こちらのお店のスペシャリテ。
商品名通り、四角(carre)がモチーフのプチガトー。

ペカンの入った分厚めのブラウニー生地の上に、薄くフィヤンティーヌ(ミルクチョコとプラリネアマンドを合わせたもの)、セミドライのアブリコットとオレンジを炊いたものをまばらに並べ、ゼラチン入りの塩バターカラメル、ミルクチョコとノワールを合わせたガナッシュベースのチョコムースで覆い、ピストレで仕上げ。
トップの、いかにもキャラメル風のものは、塩バターキャラメルのムースを四角く成形して、カラメルグラッサージュ。

一目見て、ブラウニーがけっこうなヴォリュームなので、邪魔をするかもしれないな、と予想していたのですが、まったくノープロブレム。これくらいの生地で受け止める必要のある充実した味わいなのです。

ムースの口溶けの良さ、チョコの満足感充足感にどっぷり浸っていると、襲ってくる塩バターカラメルの強烈な旨味。ひゃあぁ!
しっかり塩辛いのですが、少しも嫌みがありません。

それは、フィヤンティーヌのチャリチャリ感、ピーカンのシャクシャクとした食感、時折フッと過るアプリコット・オレンジの華やかな酸味を楽しみつつ、塩のショックが甘みの中で消えて行くストーリーがあるからではないでしょうか。むむっ、間然するところがないですねぇ。

トップのカラメルのムースで塩カラメルの鮮烈さを懐かしむような構成も、納得。
酸味を全体に置かずに、食べていて二度か三度出会う程度に抑えているのが妙手。

天晴れ、お見事。スペシャリテと言うだけの値打ち大有りです。




新店でこれだけの腕の冴えと安定感を見せつけられるとは! 最近の若手の独立と違って、たっぷり経験を積んでいますけどね。ご夫妻と話していても、伸び伸びとしたオープンマインドで余裕たっぷり、ユーモアたっぷり。笑いが絶えません。
本格フランス菓子のお店ですが、人の心を解きほぐして、素直な気持ちで美味しいものを食べてもらう、そんな自然な在り方を貫いて行けそうです。
いいお店が出来たものです。やれ嬉しや。



●『ティーグレ』460円  『キャラメル・キャレ』460円 (※外税)

●「パティスリーフィル FiL」
  兵庫県西宮市甲子園九番町3-25  TEL0798-81-3785  定休日/水曜、火曜不定  営業時間/10:00〜20:00

  ※ブログ「パイ日和」では、こちらのタルトをご紹介しています。


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