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zoom RSS エメラ(10)『ヴェリーヌ・スタシオ エスティバル』『エキゾチック』『トゥーネソル』『ケークシトロン

<<   作成日時 : 2016/07/05 21:49   >>

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「パティスリー エメラ」さん。地元奈良だけでなく、関西での存在感がジワシリジワリと高まって来ているのではないでしょうか。
それも当然の品揃え。夏でもその魅力が衰えません。いや、むしろショーケースの美しさはトロピカルな素材も手伝って、より華やかに、よりエレガントで、艶美な魅力を放っています。
藤原シェフのお薦めに従って、味わいの濃度の淡いものから順番にご紹介しましょう。なお、夏のケーキは“軽く、すっきり”を重視して作っているそうですよ。


●『ヴェリーヌ・スタシオン エスティバル』  器内径5.5cm 深さ6.2cmほど。
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暑い季節になると、どうしてもスルッと軽く食べられるヴェリーヌが恋しくなりますね。

ということで、下から、爽やかな青リンゴのソース(控えめなカルヴァドス風味)、青リンゴのポシェ(カラメル風味を付けると秋っぽくなるので、ソテーではなくお湯にくぐらせ、真空でキュッと味を滲み込ませています)。
フロマージュブランのムース(パータボンブとシャンティ)。
トップは、シャンティ、クランブル、リンゴスライス、フランボワーズ、オゼイユ(スカンポ)の葉。

“スタシオン エスティバル”station estivale とは仏語で、避暑地。
トップの飾りは避暑地の林間、下生えなどをイメージしたそうです。オゼイユなんか、それっぽいですね。

保形性をあまり気にしなくていい、ヴェリーヌならではぎりぎりの緩いムース類。
上から順にすくって食べると……、フロマージュブランのムースの優しく ややまったりした味わいを通過して、青リンゴのシャキッとした心地いい食感と爽やかなソース。
名前通り青い風味、ほんのりとした酸味が格段に爽やかさを感じさせてくれます。

最大の目標に最後にたどりつく快感、そしてそこまでの食感、味わいの濃度の微妙な変化のストーリーがあって、じつに楽しいですね。



●『プラリネオランジュ』  径6cm 高さ3.5cmほど。
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底生地はダックワーズオランジュ(マンダリン)。
マンダリンのムース、射込まれているのはマンダリンのジュレとプラリネノワゼットのバヴァロワ。
マンダリンのグラッサージュ。
保形性ぎりぎりのゆるいムースなので、側面、下の方をホワイトチョコで巻いています。

ほぼマンダリン尽くしで、マンダリンの甘酸っぱい魅力が全面に押し寄せて来ます。
本来であれば、マンダリンだけではやや水っぽくなってしまうのですが、コンサントレ(濃縮ジュース)を使うことで、味わいに凝縮感が出て、力強い表現となっています。

ちなみに、コンサントレは往々にして薬品臭が邪魔をするものなのですが、シェフもそれを自覚していて、その邪魔な匂いが立ち始める前で止めて、味わいの強度を高める役割だけうまく抽き出しています。さすが、やるねぇ。

そのムースは、イタメレ(秋冬より砂糖減らしているそうです)と生クリームを使った軽い口当たり。
口溶けは一瞬で消えていくのですが、オレンジ、果実感強くて爽やかだなぁという余韻は思いのほか長いのです。

オレンジとプラリネの組合せは定番ですが、オレンジそのものが持つほのかな苦みのようなものを旨味として拡大するような働き方で、味わいが深まって頷いてしまいました。
定番の組合せには、やはり意味がありますね。



●『エキゾチック』  径6cm 高さ3.5cmほど。
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底生地にダックワーズ・ココ、その上にパイナップルのセミコンフィ(ライムのゼスト入り)。
周りは、イタメレ入りの軽いココナッツのムース。
射込まれているのはクレームマンゴーパッションとダクワーズ・ココ。
グラッサージュもココナッツ。

パイナップルとココナッツ、トロピカルカクテルのピニャコラーダの組合せですね。
白い砂浜、ビーチパラソルの下で、というイメージが湧いてきませんか。

このパッションフルーツは奄美大島産。自然のものはピューレなどとして売られているものに比べて、優しい味わい。
じつは藤原シェフのお父さん、先代シェフ、洋治さんの出身地だそうです。定期的に届くのだとか。

パイナップルはコンフィにしているということもありますが、味わいが濃厚でキレがあります。
南国フルーツのせめぎ合いに、思わず、美味しい! とうっとり気分。

ココナッツのムースが夢を軽やかに包み込んでくれるのですが、マンゴーパッションの鋭い酸味が目覚ましく、一瞬、我に帰る、その落差がたまらなくいいのです。




●『ヴェリーヌ・タンタシオン』  器内径5.5cm 深さ6.2cmほど。
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6月に向けて開発されたもの。
5月から薔薇の季節ということで、まず薔薇ありき、の発想。

表面には飴がけが施されていましたが、こちらの不手際で溶けてしまいました。
本来なら、グラスにスプーンを入れると、パリンッという音と同時に薔薇の香りが飛び出す仕掛け。
でも、このヴェリーヌ全体から離れていても薔薇が香るほどに強い香水効果を発揮しています。

そして薔薇といえば、ピエール・エルメの“イスパハン”。
そこで、薔薇にフランボワーズのソースを合わせ、一段下にライチの果肉とジュレ。
間を隔てているのはシャンパンロゼのムース(パータボンブ+シャンティ)、一番下は“タイベリー”(ブラックベリーとラズベリーを掛け合わせた新品種、ミロワーズとも)のムース(ピューレに生クリーム)。

いやあ、ともかく薔薇です、薔薇! 

そしてライチも“DITA”を使っていないというのによく香っています。この組合せ、今さらながらですが強力ですね。
淡いロゼのムース、それより少しボディの強いタイベリーのムース、そして、フランボワーズのしっかりした酸味が中心に一本筋を通しているようでいいですね。

シェフ曰く「色っぽい感じのヴィジュアルと味のヴェリーヌを作ってみました」。

なるほど、タンタシオン tentation とは“誘惑”の意。
香水、シャンパンと舞台は整っています。味わいもオリエンタルなエキゾチックムードが漂っていて、どこかクラクラ、官能的です。大人の心を酔わせてくれます。




●『トゥーネソル』 径6cm 高さ3.5cmほど。
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トゥーネソルって、何?  
仏語で、tournesol ヒマワリ。

トップに飾られているマジパン細工のヒマワリも自家製(いま机に飾っています)。
元気な夏のケーキ。

マンゴーのムース(アングレーズ、生クリーム、イタメレ)のなかにカシスのクレムー(カスタードのように炊いてバターを入れたもの)、底生地と射込まれているのは、ビスキュイアマンド。

マンゴーとカシスの組合せ、切り口の色の組合せの斬新なことといったら。
と思ったら、シェフによると、80年代に「ダロワイヨ」で作られ、パリで流行ったもの。
当時フランス帰国組もよく作っていたとか。藤原さんは「西洋銀座」時代に稲村省三さんのケーキとして体験したそうです。
そういえば、書いていて思い出してきましたぞ。福岡・天神の「ジャック」さんに『マニフィック』という、中と外を入れ替えた形のものがありましたっけ。

シェフの思惑としては、もう少しマンゴーの味わいを強くしたいそうです。
一般にマンゴー好きなお客さんはマンゴーだけを食べたい嗜好が強いですしね。その意味で、今後変更含みの商品です。

だけど、南国のねっとりしたマンゴーの甘さも十分楽しめるので、私たちはこのままで満足しています。
切った時のマンゴーの明るい黄色から、カシスの鮮やかな赤紫色が目に飛び込んでくるインパクトからいっても、カシスが強い方がいいだろうし、味わいの鋭さも好き。

ケーキのヴィジュアルインパクトの強さから考えると、トゥーネソルという名前よりも、ヒマワリのもう一つの表現、grand soleil 『グランソレイユ』と分かりやすく迫っても良かったかもしれませんね。
なーんてね、向日葵の仏語が判らなかったので、軽くジャブをお返しします。たはっ。




●『ケークシトロン』  5.5×14.5cm 高さ4.7cm 280gほど。
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焼きっぱなしコーナーにある、贈答好適品。
透明のパッケージも目立っています。

シェフがベルギーの修業先で作っていたルセットそのままのお菓子だそうです。
当時から、なんて美味しいのだろうとお気に入りのお菓子だったとのこと。

卵、バター、小麦粉、砂糖、アーモンドという素材でパンドジェンヌ風に焼き上げられるのですが、コーンスターチが入らないのでしっとりと焼き上がっています。
アプリコットジャムを塗って、グラスアロー(レモン果汁入り)をかけて仕上げ。ひび割れないようにしっかり乾かすことがポイント。
粉糖を振ってエッジのラインを明確にしているそうです。

この辺りが贈答を意識したオリジナルの作りということでしょう。
型に入れた平らな底面部分をトップに持って来て、見た目をシャープにしているのも、いかにもエレガントな「エメラ」さんらしい。

画像檸檬は、愛媛県岩城島のレモン果汁とゼストが使われています。
キリッとした酸味と優しい香気がいいですねぇ。

シェフによると、ほかのものと比べようも無いほど、美味しい檸檬なのだそうです。
しかも、レモンは皮まで使うので、無農薬の安心安全で自然の味わいにこだわって選んでいるとか。素材への気配りも嬉しいですね。


濃厚なので、1cmほどの厚みにスライスして食べました。
“清らかな甘酸っぱさ”が染み渡って、生地の卵黄、バター、アーモンドの風味豊かな、しっとりとした味わい。
なにやら優雅な心地がいたします。毎回毎回、惚れ惚れとしてしまうほど。お見事です、ふうぅぅ。




フルーツの美味しさ、口溶けの軽やかさ、組み合わせの妙、爽やかな余韻。夏こそ、という藤原シェフの思い入れもむべなるかなですね。

画像最近、ホームページ(ケーキ本来の華麗な写真はそちらで)にメッセージが新登場しました。ケーキに対する考え方が藤原シェフの言葉で書かれています。
かつて奈良に都が置かれていたこともあり、“雅(みやび)”がテーマ。
華やかさをイメージしてしまいますが、その場で人を圧倒するような美しさ、美味しさではなく、二度、三度と重ねて選びたくなる、食べたくなる慈しみを含んだ美しさ、美味しさを目指しているとのこと。
こういうものこそ、ケーキの魅力そのものですよね。シェフの考え方がいよいよ、深く鋭く研ぎすまされて来たようで、その力がケーキにも伝えられています。
メッセージ、とても素敵な心のこもった文章ですから、ぜひご一読のほどを。



●『ヴェリーヌ・スタシオン エスティバル』540円(584円)  『プラリネオランジュ』490円(530円)  『エキゾチック』490円(530円)  『ヴェリーヌ・タンタシオン』540円(584円)  『トゥーネソル』490円(530円)  『ケークシトロン』1600円(1728円)  (※内税外税両方表記)

●「パティスリーショコラトリーエメラ」
  奈良市富雄元町2-6-40  TEL0742-44-6006  定休日/水曜(7月は25日(月曜)、26日(火曜)も休み)  営業時間/11:00〜20:00(日祝〜19:00)

  ※ブログ「パイ日和」では、こちらの焼きっぱなしのタルト3種をご紹介しています。

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