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zoom RSS ラクロワ(5) 『エスカルゴ』『エリソン』『1978』

<<   作成日時 : 2016/07/18 21:21   >>

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兵庫県伊丹市、阪急伊丹線伊丹駅とJR福知山線伊丹駅の中間にある「パティスリー ラクロワ」さん。山川シェフがお一人で作っていることが多く、品切れ必至のお店。
クボタが朝の弱さを克服して、なんとか全品揃っている間に辿り着きました。キャンペーンのお誘いや、百貨店イベントなどで顔を合わせることが多いので、もっと食べている気がしていたのですが、なんと4年ぶり。ケーキの顔ぶれがガラリと変わっているのも当然ですね。失礼いたしました。
早速、未知のケーキたちをご紹介しましょう。


●『エスカルゴ』  径8cm 高さ6.8cm 厚み2.5cmほど。
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フランス風ロールケーキ。

生地はビスキュイでジョコンドのようにアーモンドプードルの入ったものでしょうか。
貴腐ワインをたっぷりアンビベしています。
中は塩バタークリーム。
贅沢にフランス産のイズニーのバターを使っているとのことです。

ザックリ、ビッショリした生地がいいですねぇ。
おっと、塩っぺー!
と思いきや、このクリームの塩気がたちまち美味しさに化けて行きます。

たっぷりのクリームの量を支えているのが、生地感の強いロール部分。
単独で食べればそこそこ甘いのですが、強い塩気の前ではほのかな甘みに感じられ、全体をマイルドに着地させることに成功しているようです。
貴腐ワインの品のいい優しい香りも、全体の円やかな印象を作り出しているのでしょうね。うん、お見事。

ぜひバタークリームの滑らかな口溶けを味わっていただきたいので、暑い夏の日でも室温に近づけて食べてください。
スルリと溶けますよ。快…感!




●『エリソン』   9.5×4.6cm 高さ4.5cmほど。
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オムライスをスマートにしたような型を新たに購入したことをきっかけに、開発されたそうです。
背中の円い形から思いついたのが、エリソン herisson(ハリネズミ)。

洋菓子の世界では、わりとリアルに似せてしまうものですが、円さと背中の針という要素だけで、色や形の正確さにはこだわらずに抽象化したおかげで、他にはないエレガントな見立てになっています。
白で統一したところなど美しいではないですか。

胴体はホワイトチョコのムース、針に当たるチョボチョボ部分はフロマージュブラン。
ツルツル滑る表面にうまく定着させるために、かなり苦労したとか。
中には、赤ワインに漬けたレーズン。

ムースとクリームが優しい甘やかな世界を作り出していて、濃厚な味わいのレーズン(じんわりとアルコール感)との対比が強力。
エレガントな姿をいい意味で裏切ってくれる力強い表現は、いかにも山川シェフらしいですね。美味しいっ!

さらに、シェフらしさを強烈に主張しているのが、あえてここまで触れてこなかった底生地のライスパフ。
山川さんは『モンブラン』にも使っていたりして、好きという以上に一つのアイデンティティマークとなっている感があります。

というのも、ライスパフが湿気易いということもあって、私たちには濡れ煎餅(お米の匂いもあり)が闖入してきているような印象で、モンブランの時もそうでしたが違和感を覚えてしまうのです。
モンブランの時に感想をお伝えしたのですが、ニコニコと“そうですね”とは応えてくれるのですが、結論は“これでいいのです”ということのよう。
他の誰も踏み込めない、日本人ならではの組み合わせの創造、ということになるのでしょうか。
あくまで趣味の問題なので否定するつもりは毛頭ありませんが、私たちはこの場合、底生地なしで安心して食べたいと思った次第。
ちょっと保守派になった気分…んん、ついに焼きが回ったか「パイ日和」!

ちなみに、常々私は“自分で考え、また感じたことで答えを出すことが大切”だと思っていて、彼のこの姿勢、じつは気に入っています。




●『1978』   土台径8cm 本体径6.5cm 高さ2.8cmほど。
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底生地にアンビベされているのが、1978年製のカルヴァドス。

山川シェフと奥様のさやかさんがともに、1978年生まれ。
メモリアルイヤーのヴィンテージ酒を使って開発してみたいということで選んだのが、カルヴァドス。
さやかさんがお菓子にラム酒を使うのが好きじゃないということで、渋めの選択。

チョコムースの中に、リンゴのコンポートをペーストにしたものを射込んでいます。
チョコレートはドモーリ社のアプリマック。
底生地はビスキュイショコラ(サンファリーヌでしょうか、軽やかな口溶け)。
カルヴァドスは普通だったらリンゴをコンポートする際に使いますが、上等で繊細な香りなので、熱を加えるのはもったいなく、底生地にアンビベしています。

アプリマックを甘み控えめで使っていて、全体としてほろ苦、大人味。
リンゴのペーストがチョコムースと食感が一体化しているし、底生地もフワッと軽い上にアンビベされているので、一瞬生地を感じさせたと思った次の刹那には溶けていて、これまた素早く一体化。
そしてアプリマックの醗酵香でしょうか、特有の香りにも惹き付けられます。

ほろ苦さ、ほの酸っぱさ、カルヴァドスの心地いい香りが、グラッサージュのねっとり甘苦いなかに広がって行きます。一律に溶けるのではないので、口の中でマーブル状を呈しているような楽しい感覚が味わえます。
この珍しい味わいの変化も含めて、素晴らしい味わい。お見事です。




山川シェフも若い若いと思ってましたが、今年38歳。力強い表現のベースは変わりませんが、ずいぶん落ち着きが加わったように感じられます。
これから注視していれば、さらに一皮剥けて行く段階に立ち会えそうですね。



●『エスカルゴ』450円  『エリソン』540円  『1978』620円  (※外税)

●「パティスリー ラクロワ」
  兵庫県伊丹市伊丹2-2-18  TEL072-747-8161  定休日/月曜・火曜  営業時間/11:00〜19:00(売切れ次第終了)

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