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zoom RSS リヨン(5) 『シュトーレン』

<<   作成日時 : 2017/02/22 22:39   >>

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和歌山市、お城の北の大通りから1本入ったところにある「パティスリー リヨン」さん。オーナーシェフの矢田万幸人さんは1988年という早い時期にお店をオープンし、フランス菓子を根付かせた功労者です。
辻製菓の初代講師陣の一人で、今もほぼ辻製菓の教科書通りの基本に忠実な作り方を守り通し、だれもが頷かざるをえない美味しいお菓子を作りつづけています。


●『シュトーレン』  24.5×8.4cm 厚み2cm 230gほど。
画像
「おぉ、今時分にシュトーレン?」と思わず、声に出てしまいました。

例年11月の中旬に100本ほど焼くのだそうですが、年を越えてから「シュトーレンないですか?」とリピートしてくれるお客様が必ずいるので、何本かを秘蔵して、この時期まで販売を続けているのだそうです。

元々、焼いてから最低2週間くらいは寝かせないと美味しくないお菓子だし、日持ちは普通1ヵ月などということが多いのですが、バターと砂糖をたっぷり使い、焼き切っているものなので、保存状態さえ良ければ1年でも大丈夫なのだとか。

このシュトーレンもほぼ教科書どおり。矢田シェフの若き日の思い出の品でもあるのです。
というのは、シュトーレンというものにお目に掛かったこともないような時代(34年前)に、マックス・ライナーというドイツの偉大なマイスターが辻製菓に来校して講座を開いた時に助手として付いたのでした。
な、なんと、焼き上がりを10本ほど貰って帰り、実家で冷凍保存し今も時折、思い出したように食べてみているのだそうです。
長い歳月を経て、眠りから覚めたシュトーレンは、今も変わらぬ美味しさというから驚き。時間の重さがお菓子を美味しくする、好例かも。よく馴れた古漬けのような味わいなのかしらん? ふふっ気になりますね。
ともあれ、“パティシエ人生の伴侶のようなお菓子”、いろいろな想いも詰まっていてきっと格別な味なのでしょう。
今年34歳のシュトーレン、いずれ「昭和傳来」のシュトーレンってことで、注目されるかも。あはっ。



画像さてさて。2016年のシュトーレンに話を戻しましょう。
お店オープンの年から作りつづけている、マックスライナーシェフ直伝(ほぼ)の逸品。

材料は小麦粉、バター、全卵、砂糖、牛乳、生イースト、オレンジピール、アーモンド、くるみ、ラム酒漬コリントレーズン(一晩の浅漬、ラム酒ごと生地へ)、マジパンローマッセ、カルダモン。
中種、本種と2回の醗酵工程を経て、じっくりと焼き上げ、溶かしバターをたっぷり染ませて、グラニュー糖の細粒をびっしりと纏わせます。

本来レーリュッケン型に入れて成形するパターンだったのですが、「リヨン」ではおくるみ型を試みていたそうです。が、二次醗酵の際に型が崩れがちなので、今ではご覧のような薄い形(舌平目みたい?!、九州では靴底と呼びます)に落ち着いています。
えーっ、「この姿はなに?」と三度目の心の叫び。

マジパンも棒ではなく全体に混ざっているし、すべての具材が微塵になって全体が均一の味わいに。
とはいっても、どこを食べても千変万化の味と香りに酔わされてしまうのです。ほどよく熟成が進んだ奥行のある美味しさ。カルダモンやオレンジの香りに清潔感があり、爽やかですらあります。
一口ごとに立ち上ってくる味わい、香り、優しい口溶け…… いつしか穏やかな心を取り戻していくような。いやぁお見事です。

季節外れにリピーターがあるのも納得だし、シェフの愛情の深さが伝わってくる感動のシュトーレン。矢田っち、恐るべし!



●『シュトーレン』2000円  (※内税)

●「パティスリー リヨン」
  和歌山市十番丁84  TEL073-433-7855  定休日/水曜  営業時間/10:00〜19:00

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