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zoom RSS パティスリー &ショコラトリーエメラ(15)『雅』(再) 『ほうじ茶ティーバッグ』

<<   作成日時 : 2017/03/18 13:09   >>

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奈良市富雄の「パティスリー&ショコラトリー エメラ」さん、もうお馴染みですね。わざわざこのお店のために出掛けるだけの値打ちがあるという意味では、三ツ星。
ただカフェはないので、その点はご容赦のほどを。私たちは、それでも行かずにいられないのです。


●『雅』(再)   サイズ測り忘れですが、前回と同じはず
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まず最初に断っておきましょう。

“雅”という商品名から、奈良のほうじ茶と抹茶、そして相性のいいミルクチョコレートを使った“和”を意識したプチガトーだと思って食べれば、とても美味しいケーキです。
“エメラ”さんらしい繊細なケーキに仕上がっています。前回のデビューの時も今回も。

ということで、普通はそこで完結します。
が、シェフがこのケーキに期待する到達点、理想形をはるかな高みに設定しているため、まだルセットが固まっていません。

機会あるごとに進化を遂げて行くお菓子でもあるのです。“雅”についての考えも年齢とともに深まって行くでしょうし、このお菓子とずっと付き合って行くことで、シェフの心境の変化を探ることも出来るというものです。
これらのことを踏まえて、以下の文章をお読みくださいね。

            *   *   *

お店の在り方を考え、1300年の歴史を持つ都にあることと、自分の優美なお菓子作りのスタイル、を合わせて“雅(みやび)”をコンセプトに定めたのでした。
お店のコンセプトを菓名に貰ったプチガトーが、この『雅』。
そして、ここでしか作れないものをと考えた時にどうしても外せないのは、奈良の地元の素材を活かすこと。

前回は大変に複雑な内容でした。
ミルクチョコのムースの中に抹茶のムース、ほうじ茶のムース、フランボワーズのクレムー、胡麻のチュイル。抹茶のフィナンシェのエスプーマの飾り。
一騎当千の強者が犇めいていました。食べて美味しく美しいケーキではあるのですが、すべてを味わい尽くそうとすると、ちょっと疲れるという側面も。


さぁて今回は、どう深化したのでしょう。
まず、フランボワーズが省かれました。ミルク感たっぷりのムースショコラは活かして、月ヶ瀬のほうじ茶と奈良の抹茶を使った“ご当地”にこだわった開発をより際立たせる方向へシフト。
とくに前回、ほかの素材に隠れがちだったほうじ茶を強化。ムースをやめ、ビスキュイ2枚とグラッサージュもほうじ茶風味(細かく粉砕した茶葉入り)に。

少しシンプルになったことで、落ち着いたとても美味しいケーキに仕上がりました。もちろん、コンセプトを聞いていなければ、大満足間違いなし。
しかし、“ご当地”の抹茶とほうじ茶ではなく、脇から胡麻が主役に躍り出てクローズアップされたような感が。前回も激賞したように、このチュイルは美味しすぎるのです。焼菓子として単独で販売してもいいかも。

華やかな抹茶をホロ苦のほうじ茶が支える構図はよくできていてまとまりもあり、前回よりはるかに分かりやすい。食感の上でチュイルのようなものが欲しいのはやまやまだけど、ごく普通にフィヤンティーヌでいいのかもしれない。あるいは胡麻以上に雅なイメージに沿った薫りがフッと過るレベルに加えるのも手かもしれない。例えば、季節ごとに木の芽や新生姜が薫るような。あはっ、ウソウソ。

基本的に、抹茶はどう扱ってもすべてが“まっちゃ”と主張する我の強い素材。だから、抹茶のケーキはよく見かけるし、そのほとんどがほどよくまとまっているでしょう。
一転ほうじ茶は、苦み渋みを強調すれば味は出るのですが、それでは本来のほっとするような優しい持ち味ではなくなるというジレンマを抱えた素材。大変難しい素材で、とくにほかの素材とのコンビネーションではさらに難しくなります。
ソフトクリームやホワイトチョコなど、白いカンヴァスだとほうじ茶らしさは出やすいのですが、シェフは「それではありきたりなので、あえて選びません」とのこと。しかも、単純にガツンと派手に主張するのは“エメラ流”ではなく、繊細洗練さがベースになければならない、とくればなおさら。うーむ。

あっそうだ、フレンチシェフの斉須政雄氏の本にたしかこんなことが書いてありましたっけ。
「かぼちゃのスープを作るといっても、かぼちゃじゃないものを入れることでかぼちゃ以上になる。かぼちゃをいくらたくさん入れてもそれだけではかぼちゃ以上にならない」云々と。もちろん、これは一つの素材を際立たせることなので、きっちり当てはまるわけではありませんが。

なーんて、またまた迷宮入りしそうなことを書く私たち。それもこれも、腕を見込んだ藤原シェフだから、なのです。
このお菓子については毎回、安心して身を委ね、脳内夢想プレイをさせてもらっています。
藤原シェフ、今後どんな到達点を見出すことでしょう。




●『ほうじ茶ティーバッグ』(4g10個入り)
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月ヶ瀬のほうじ茶。「エメラ」ブランドで販売しています。

優しくすっきりとした飲み口。芳ばしいいい薫りですが過剰ではありません。
「エメラ」さんらしい選択。

奈良のお茶といえば、利休の先達の村田珠光がたしか、奈良出身。侘び茶の始祖ともいうべき人ですね。
という意味からも奈良のお茶はもっと注目されるべきなのでしょう。
品のいい味と薫りで、それだけの期待に応えられるお茶だと思いました。

じつは、ほうじ茶、大好きです。
神経を宥めるような穏やかさがあって、強ばった心も身体もほぐれるような気がします。優しさが身上のお茶ですね。




奈良公園などを歩いていると、空間のゆとり、空の広さに開放感を感じますね。お店の人たちもどこか不器用で朴訥。大宮人とは思えない大らかさです。京都とは違った魅力が味わえます。
すっきりとスタイリッシュなお菓子作りをする「エメラ」さんにも、奈良特有のゆとりの時間が流れているように思います。それはきっと、シェフの藤原さんをはじめ、奥様の伊公子さん、スタッフの皆さんのおもてなしの気持ちが溢れているからでしょう。いつも明るい笑顔で迎えてくれるのです。
一度、体験していただけると嬉しいな。



●『雅』520円   『ほうじ茶ティーバッグ』610円  (※外税)

●「パティスリー&ショコラトリー エメラ」
  奈良市富雄元町2-6-40  TEL0742-44-6006  定休日/水曜  営業時間/11:00〜20:00(平日) 11:00〜19:00(日祝)

  ※ブログ「パイ日和」では、こちらの新作チョコパイをご紹介しています。

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