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zoom RSS 鍵善良房(1) 『岩山椒』『菊寿糖』『くずきり』『わらびもち』

<<   作成日時 : 2017/05/07 21:57   >>

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京都、四条河原町から東へ、鴨川を渡って八坂神社までのちょうど真ん中くらいにあるのが「鍵善良房」さん。享保年間の創業といいますから、もう300年くらいは経っているということですね。
『くずきり』でつとに有名ですが、どうやらそれだけではない奥の深さを湛えた名店のようです。まァ、今更ながらですが。


●『岩山椒』  3.7×3.5cm 高さ2cmほど。
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こし餡を求肥で包み、和三盆を薄くまぶしているのですが、その求肥に粉山椒を煉り込んでいるのです。

一口含んで、ワオッ! 痛烈な香り。
木の芽田楽の比ではありませんぞ。ちりめん山椒でもまだ手ぬるいと思ってしまうほど。

目覚ましい味わい。
それでいて過剰というのではないのですねぇ。不思議。
凛とした気品に満ちていて格式すら感じてしまいます。

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普段洋菓子を主に食べていると、和菓子の軽やかな甘味だと5、6個は平気で食べてしまうのです。
が、このお菓子はあまりの完成度に一個食べれば十分に満足。

後口のお茶の美味しいことといったら、嗚呼! 
いやあ満足満足。まことにお見事でございます。







●『菊寿糖』  2.5×2.3cm 厚み0.9cmほど。
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これも看板商品ですね。美しい姿、見蕩れてしまいます。

円ではなく微妙に楕円。少し斜めから見た姿なのですね。

中国の故事“菊慈童”に因んで菊の花をかたどっています。周の王様の侍童が地方に流され、その地で菊の露を飲んで不老不死になったと云うお話。縁起のいいお菓子。

阿波和三盆糖にほんの少しの粉糖と片栗粉を加えて押し固めただけの、シンプルさ。
カリッと噛み砕くのも良し、舌に載せて静かに溶けるのを待つのも良し。

和三盆独特の優しく品のいい雑味を含んだ甘味がゆるりと溶け出してきます。一粒の小さな甘味に心を任せるゆとりこそが最上のおやつなのかもしれません。

ところで。和三盆に人参の風味甘味を嗅ぎ取ってしまったのですが……、何処か遠くから微笑んでいる人参、ふーむ、これって私たちだけ?




●『くずきり』(喫茶)
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夏になるとお店の外まで行列ができるほどの、大人気の品。

吉野本葛を水で溶き、湯煎して冷水にとり、素早く切り分け、氷の入った器に。好みによって白蜜、黒蜜が選べます。
今回は黒蜜。

この命はほんのひととき。
15分ほどで伸び、30分もすると白濁してしまい食感も異なるそうです。そのため、店内の喫茶でしか味わうことができません。

滑りやすく氷に邪魔されて摘みにくいものを懸命に2、3本摘んでは黒蜜へ。
ツルツル、ヒンヤリ、のど越しよし。

コクの強い黒蜜の甘味が追いかけてきますが、氷水の水分に洗われる部分もありますね。でも、一口ごとにほうじ茶で洗い清めた方が、次の一口が新鮮に感じられるようです。
それ自体には味がなく、蜜(スープの)味わいで妙味を得る“お菓子界のフカヒレ”と私たちは命名致しました。
究極のシンプルさの中に、他店が追随できない奥深さもあるようです。

お陽様に照らされ汗ばむ季節になると、ごちそう感が増しますね。
ん、水上勉は“くずきりは京の味の王者”と表現していますが、“舌つづみを打つのは宿酔の朝”とも。ふふふっ、なんだかわかるなぁ。

ちなみに器は輪島塗、信玄弁当のような形で、くずきりと氷の入った器と蜜の器が重ねられています。
特別の器を誂えることで、『くずきり』の値打ちが格段に高くなっていますね。




●『わらびもち』(喫茶)
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奇麗に四角く切られた形が保たれていることからも分かるように、最近流行りのゆるゆるとろっとろのわらび餅とは一線を画しています。
餡入りでもありません。

もちろん、ねっとりとろりとした食感は楽しめるのですが、はっきり甘味を付けられた生地と掛けられたきな粉の味わいのバランスを味わうことに重きを置いたお菓子です。

口に入れた一瞬、モゴとした食感が伝わるかどうかの内にねっとりと溶け出す食感の変化に惹かれます。
わらび餅の淡い味わいを邪魔しない、ほのかな香りのきな粉の品の良さがよくマッチしています。

この美味しさを味わうには、ついてくる黒蜜を掛けない方がいいようにも思いました。




画像いつも行列に恐れを成して避けていたのですが、たまたま空いていて久方ぶりの訪問。お店も床しく、奥の喫茶も落ち着いた雰囲気で、気持ちがゆったり。

お店の佇まいはもちろん、包装紙、栞や冊子なども品よくお洒落。
そこに書いてあった文章を少し牽いてみましょう。
「京都の花街・祇園の一角で菓子をつくり続けております。一般のお客さまを始め、茶人や僧侶の方々に菓子を供してきましたが、祇園という場所柄、お茶屋や料亭に出入りする文人墨客や旦那衆、さらには花街の女性たちにも広く好まれました」
たしかに、黒田辰秋や河井寛次郎、武者小路実篤、水上勉といった巨匠の名前とともによく紹介されていますね。そうそう、ギャラリー「空・鍵屋」も運営されており、その真摯な姿勢に心惹かれます。

品揃えや一品一品の完成度、そしてお店の在り方まですべてが行き届いたお見事なお店なのでした。



●『岩山椒(12個入)1700円』 『菊寿糖(20個入)』900円 
  喫茶/『くずきり』1000円  『わらびもち』900円           (※内税)

●「鍵善良房」本店
  京都市東山区祇園町北側264  TEL075-561-1818  定休日/月曜(祝日の場合は翌日)  営業時間/9:00〜18:00(喫茶9:30〜)

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