パイ日和・おまけ

アクセスカウンタ

zoom RSS 2016年11月オープン! 焼き菓子の里(1)『焼菓子10種/フィナンシェ、キャロットケーキ

<<   作成日時 : 2017/05/18 21:25   >>

トラックバック 0 / コメント 0

大阪市東淀川区、阪急京都線・淡路駅から北東に10分ほどのところにある焼菓子専門店、「焼き菓子の里」さん。2016年11月1日オープンの新店です。
シェフの古井和也さん(1979年生)は滞独10年、製菓マイスターの資格保有者です。かといってドイツに凝り固まっている訳ではありません。
専門学校卒業後はイタリアンドルチェを作っているし、ヨーロッパでの修業の最後は、たしかルレデセール3代目会長を務めた「オーバーワイス」。幅広い経験の持ち主です。
さらに、お店の名前といい、お菓子の名前といい、和風でアットホームな雰囲気に溢れています。
お店もご実家を改造したもので、人も雇っていないので、と格安料金設定。美味しさと相まって好循環を生み出しているようで、早くも軌道に乗っている様子。
初めての訪問ですっかり愉しく話し込んでしまったのですが、お菓子の話でなく何十分も話し込むお客さんもいるとのこと。構えたところのないリラックスした雰囲気、シェフの精神的な余裕が、お客を寛がせるのでしょうね。しっかりファンを獲得しそうです。かく言う私たちも惚れ込んでいます。


●『香ばしマドレーヌ』  7×4.7cm 厚み2.7cm 20gほど。
画像
マドレーヌを強い味わいで、という発想そのものがちょっと変わっています。
薄力粉をローストして焦がしバター。きび砂糖、卵と牛乳、レモンのゼストと果汁、蜂蜜、塩、ベーキングパウダー(アルミフリー)。
水分を残すために250℃という高温で焼いているとのこと。ポコンとでべそ。

マドレーヌ風のパサッとした食感がベースにありながら、たしかにどこかしっとりしています。蜂蜜の力もあるでしょうね。

ふむ、なんて力強い味わいなんでしょうね。焦がしバターの芳醇さ、香りの豊かさにレモンがよく香り、果汁のほのかな酸味が奥行きを作り出しています。
粉のローストした香りは特定できませんでしたが、なんだか得体の知れない満足感の正体なのでしょう。



画像
じつは、私たちがマドレーヌに求めるものと方向が正反対。
ですが、ちょっとやられた感じ。いいなぁこれ。






●『こめこのまどれーぬ。生姜と蜂蜜』 7×4.7cm 厚み2.3cm 25gほど。
画像
お母さんのご実家が佐賀で農業を営んでいて、そちらから米粉を送ってもらっています。

バター、卵、砂糖、イタリア産の樹木の有機蜂蜜、牛乳、高知産生姜、塩、BP。

グルテンをほとんど含まない米粉だから、サラザラーと軽やかな食感。
生姜がよく利いています。蜂蜜もなんか独特だなぁ。

明確な個性を主張するお菓子なのに、どこかに和みを含んでいて、平仮名、受け丸付きのネーミングがハマっています。むふふっ。









●『全粒粉のフィナンシェ ノルマンド』 8.2×4.6cm 厚み2cm 30gほど。
画像
ノルマンディー産の醗酵バターに北海道産の全粒粉。
卵白、砂糖、アーモンドプードル、コーンスターチ、トレハロース、塩、BP。

ほぅ! 粉の味がするぅ〜。こんなに粉が主張するフィナンシェは珍しいですねぇ。

普通、シェフたちはバター(ブールノワゼット)メインとか、アーモンドメインとか言うものです。
が、これは明らかに全粒粉が目立ちます、強いです。

そこへ醗酵バターが馥郁と香って来るのです。その分アーモンドはちょっと後退。
バターは焦がさず溶かしただけのもの。この香りに惚れ込んでいるのですね。

このフィナンシェも他所にはない独特の個性。いいです。




●『月光の雫』  3.6×2.5cm 厚み2.9cm 60g(5個)ほど。
画像
まっ、奇麗な姿。

キップフェルンの生地を1個1個雫型に成形し、ジャンドゥーヤをサンド。
イタリア菓子の“バーチディダーマ”と合体したようなお菓子です。

キップフェルンはヴァニラ風味を強く付けるものが多いのですが、ここでは儚い食感のみを採用。
厚みがあるので、今回、ふくよかでどこかあたたかな印象を抱きました。

ジャンドゥーヤのチョコとヘーゼルほんの少し、た〜っぷりじゃないところが、奥床しく品がいい。

カパッと一つ剥がしてキプフェルンだけで味わい、その後で残りを食べると、生地とジャンドゥーヤそれぞれの個性がより明確に分かりますね。ちょっとお行儀が悪いけど、5個あるから1個くらいは試してみる価値ありですよ。へへっ。

ちなみに、夏場はジャンドゥーヤに替えてマーマレードを予定しているとのこと。チョコレートが溶け出すのを避けるだけでなく、味わいもスッキリするでしょうね。



●『カップケーキ(キャラメルバナナ)』  径4.7cm 高さ4.4cm 60gほど。
画像
ケーキを浮かせるにはいくつもの方法がありますね。
卵やバターのフォーミング力に頼る方法。イースト菌やBPの生み出す炭酸ガスによる方法など。

マフィンは初心者が家庭でよく作るものでホットケーキミックスで代用したりするので簡単だと思い込んでいるけれど、イーストまたはBPを使った速成パンの一種。
卵を使わないので、グルテンをしっかり出さないとBPなどが生み出してくれる炭酸ガスを抱き込むことが出来ない。しかし、強力粉だと重くなり過ぎ。しかも水分の多い配合と来ては、どれだけミキサーを回さなければならないかがかなり難しいという。

東京であるシェフに教えてもらったレシピに基づいているのだけど、試作になんと4ヵ月掛かったのだとか。夏場に向かい、温度が上がって行くとさらに調整を加える必要が出てきそうだとのこと。
へーっ、難しいんだね。普段ほとんど買って食べないだけに知らなかった、ちょっとびっくり。

きめ細かく繊細な生地。モゴモゴとした印象しかなかったのだけど、本物はちゃんと美味しいんですね。
定番のキャラメルバナナだから味の決まり方もバッチリ。

季節によって果物が変わる予定で、つねに3種類ほどあるようですよ。



●『アメリカンココナッツクッキー』  径10.7cm 厚み0.7cm 40gほど。
画像
グラムを測ってちぎり分けた生地を1枚1枚押しつぶして円く成形しているような仕上がりですね。

こういう大きく薄いクッキーは大方平らなシートを作ってセルクルで抜くのが普通だと思うのですが、手作り感があっていいのかな。
それとも、一人で多種類作っているから2番生地が出て成形し直す手間がない方法を選んでいるのかもしれません。

ザクッ、カリカリといい歯応え。
口元へ持ってくる以前からココナッツが甘く香るのですが、噛み砕くとさらに香りが弾けます。

ココナッツの甘味が漂ってきて……いいんじゃないですかぁ。


●『アメリカンチョコチップクッキー』  径11cm 厚み0.7cm 40gほど。
画像
ブラックココアを煉り込んだ生地にチョコチップがたっぷり。

生地と色が同化していて写真では分かりにくいのかな。
おかげで半分チョコレートを食べているように口溶けがいい。

ザクッカリカリの次の瞬間に、とろんと溶けて行く浮遊感、快感ですね。
堅焼きにして落差を大きくしているところが妙手。






●『こめっきー。嬉野アールグレイ』  径10.5cm 厚み0.7cm 40gほど。
画像
こちらも佐賀の米粉を使用。
さらに同県内の嬉野にある和紅茶専門店「紅葉〜くれは〜」さんのアールグレイの茶葉が入っています。

これが、豊かな薫り…… は〜っふうぅ。

ただベルガモットが強いだけでなく、緑茶の風味も感じられるのです。
完全に醗酵して紅茶になっていても日本茶らしさが残るらしく、紅茶の風味よりも清潔で澄んだ香りという印象を抱きました。

古井シェフはお母さんの実家へ帰ると「くれは」さんへの顔出しをかかさないんだそうです。素材の提供者への感謝を忘れない職人気質が表れていますね。




●『ドイツ風キャロットケーキ』  12.3×5.1cm 高さ5.5cm 190gほど。
画像
キャロットケーキ、地味に流行っているのでしょうか。先日、伊丹の「ウサギ」さんで見かけたばかり(売り切れでしたが)。

こちらは Rubli Kuchen(リューブリクーヘン)。
イギリス、アメリカだけでなくドイツにも人参ケーキはあるのだそうです。
ドイツで覚えたレシピをもとに、日本の素材に置き換え、ぐっと糖度を下げて作っています。

新潟・魚沼産の雪割り人参を自家製パウダーにしてシナモンを加えたものを生地に加えています。
パウダーの香りを嗅がせてもらいましたが、あらん、とってもいい香り。
特別に甘い人参で糖度が高いために濃縮されて蜂蜜っぽい香りもし、シナモンも加わって洗練された香りに。それでいて人参の本性を失わずにいます。

トップのしっとりしたショトロイゼルは、砂糖を入れず、蜂蜜と全粒粉のみ。真っ白の粉糖を振って、雪のなかの人参畑をイメージさせたのだとか。

画像シェフの説明ではコーンスターチは入っていないそうですが、ザントクーヘンのような軽いザラザラ、サラサラとした食感。アーモンドプードルがグルテンを切り、素晴らしい食感を生むと同時にふくよかなコクを与えているのですね。
かなり甘味控えめで人参の甘さが活かされています。軽くてほとんどパンのような感覚。毎朝の食事に欲しいな。

雪割り人参の良さもあって、家庭的なイメージを払拭して、日常的でありながらワンランク上の気品ある美味しさに到達しています。
素晴らしい、お見事です。





●『週末のひととき レモン』  12.5×5.3cm 高さ5.8cm 200gほど。
画像
ウィークエンドのこと。
ネーミングに古井シェフ一流のひねりが加わっています。

本当に土日しか作っていないのですが、この日は金曜にもかかわらず、「明日どしゃぶりのようなので」と土曜をやめて金曜にお引っ越し。たまたま運良く出会うことが出来ました。ラッキー!

最初に白状致しましょう。素晴らしく美味しく、久々の感動のウィークエンドとの出会いでした。わぉ!
パウンド? いやいやとんでもない。まったく別種の食感。
なんて儚くほろほろと崩れてしまうのでしょう。口に入れると、いや手に持つときから要注意ですぞ。
軽やかさの極み、繊細な口溶け、まるで“雲”を食べているよう。

画像焼き上がりにアプリコットジャムを塗ってフォンダンを掛けるのがウィークエンドの定法ですが、ジャムを塗らずにいきなりフォンダン。

生地にもほのかにレモン果汁を加えていますが、フォンダンはキリッとした酸味が鋭く感じられるほどに加えています。
ジャムを塗らないのはジャムの水分でフォンダンが泣くことがあるからとのことでしたが、それよりも、ジャムがないことでレモンの酸味がより清楚に感じられるのがいいのではないでしょうか。

生地の繊細さを裏切らない清潔感、香気。素晴らしい取り合わせです。
なんというセンス! なんという技術! 天晴れ、お見事でございます。



画像
古井シェフ独自の世界観を感じていただけたでしょうか。
このお菓子はこういう決まりだという、強いこだわりよりも、ひとつひとつのお菓子の着地点について柔軟に考えているように感じられます。それでいて絶対的な到達点に至ってしまう。
そこには、上質素材を使わなくてはけっして美味しくならないという強い思いが隠されているようです。
お菓子によって使い分けてはいるのですが、一例を挙げると、能登の珠洲市の塩、五郎島きんとき、北海道産の小麦粉、イタリアの樹木の蜂蜜、新潟の雪割り人参、嬉野のお茶、レープンクーヘン用のオブラートはドイツから、などなど。現地に足を伸ばして購入しているものも多いようです。
この熱意があるからこそのパフォーマンスの高さ。いやはやいやはや、恐れ入りました。  
 


●『香ばしマドレーヌ』160円  『こめこのまどれーぬ。』160円  『全粒粉のフィナンシェ』160円  『月光の雫(5個入)』320円  『カップケーキ(キャラメルバナナ)』180円  『アメリカンココナッツクッキー』130円  『アメリカンチョコチップクッキー』130円  『こめっきー。』160円  『ドイツ風キャロットケーキ』600円  『週末のひととき』600円  (※内税)

●「焼き菓子の里」
  大阪市東淀川区菅原4-10-35  TEL06-6648-8357  定休日/第1・3日曜&第2・4水曜  営業時間/10:30〜19:00
  ※ブログ「パイ日和」では、こちらのパイをご紹介しています。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

2016年11月オープン! 焼き菓子の里(1)『焼菓子10種/フィナンシェ、キャロットケーキ パイ日和・おまけ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる