セセシオン (2) 『シュトレン』

またまた常連「セセシオン」さんの登場です。こちらのケーキがどれも美味しいのでいたしかたのないことです。一度、禁を犯して食べてしまうと、すぐにまた次を食べたくなる、そんなお店なのです。
多彩な品揃えの「セセシオン」さんですが、とくにウィーン菓子を中心としたヨーロッパ菓子の充実ぶりには目を見張るばかり。
そこで今回は、ドイツのこの季節にはなくてはならないお菓子、『シュトレン』をご紹介しましょう。いま、毎朝1cmずつ、クリスマスに向けて食べ進めているところです。

画像●『ヴァイナハツ シュトレン』 19cm×8.5cm 455gほど。
ヴァイナハツ Weihnachts(独語)=クリスマスという意味です。
ヨーロッパではクリスマス定番のケーキ。といってもイーストの入った醗酵生地を使った、本来パンに近いもの。少しパサパサしているくらいが本場風(?)ということになるのでしょうか。
ドイツではシュトレンと呼ばれるには、規定の分量が要求されたりと、厳しいルールがあるのだとか。種類もいくつかあるようです。伝統菓子に対する思い入れの強さは見習いたいですね。

画像こちらのものは、飯田シェフのお話では「伝統的なレシピそのまま」。
がっしりとしたボディで、切り分ける時に脆くも崩れる感じがあります。スパイスの香り、ラム酒に漬け込まれたレーズン、オレンジピール、クルミ、アーモンドなどのミックスフルーツの食感やそれぞれの味、香り。
そしてなによりたっぷりのバターの芳醇な香りが鼻腔いっぱいに充満します。規模は小さいけれど古くから評価と信頼を集めている、熊本の乳業メーカーの純度の高いバターを使っているそうです。
本場もの風に少しポソポソとした食感ですが、まず粉糖の甘さにふっと微笑み、噛み締めるほどに味わいが豊かに広がり、幸せに満たされてきます、ほぅ、ふうっ~。
どうやらラードも使われているようで、味わいにコクが加わり満足感を高めているようです。ラードはバター以前に北ヨーロッパで広く使われていた油脂ですから、古いレシピを参考にしているということなのでしょうか。
このようにして、ヨーロッパの人たちは幸せな気分を重ねて、クリスマスの朝を迎えるのですね。こんな食文化が定着しているなんてうらやましいかぎり。

ふだん「セセシオン」さんはウィーン菓子を洗練させたものを作っているのですが、今回の『シュトレン』に限っては本当に伝統そのものということのようです。
ときには、復古的になるのもいいですね。温故知新の考えもありますが、それが本当に美味しいのですから。


画像シュトレンはずっと以前からいただいたりして食べたことが何回もあったのですが、じつは「う~ん、タイプじゃないなぁ」と思っていたのです。
が、6年前に巡り合った、あるお店のシュトレンが、このお菓子を再評価するきっかけになりました。こんなに美味しく、しみじみとした味わいのお菓子があるなんて…と驚きとともに心を動かされたのです。
それ以来、毎冬、クリスマスまでのこの時期に、楽しむ習慣になりました。毎年同じお店ではなく、違うお店から買っているところが、気の多い私らしいのですが…。しかも、途中でなくなるのでまた別のお店に買いに走ったりして。私走、です。

ともあれ、わが家の12月の風物詩的お菓子。
毎朝、ミルクティとともに一切れいただくと…師走の慌ただしさも忘れて、あぁ今年もあと少しだなぁと感慨深く思います。時間にするとほんの一瞬ですが、そんな気持ちになれるのは贅沢なことですね。



●『ヴァイナハツ シュトレン』1700円(大)  (g=3.7円)  

●「セセシオン」
 神戸市東灘区御影町御影字城ノ前1486  TEL078-854-2678 定休日/水曜