カフェ・ヴィーナーローゼ(4)『キルシュトルテ』『ヴィーナトルテ』『フリヒトクーヘン』『ビスコッティ
代替わりして、大阪市玉造に再オープンした「ヴィーナーローゼ」さん。エコール辻大阪製パンの主任教授を務めるなど経験豊富な江崎修さんがオーナーパティシエです。
気さくな人柄で、だれとでも気楽にお話をしているので、とても開放的な空気が流れています。アシスタントの女性も知識が豊富で積極的。オープン半年ほどで早くも街に溶け込んだ、カフェの雰囲気が。いいアンサンブルを奏ではじめています。
●『キルシュトルテ』 辺10.5cm 高さ6cmほど。

下から、タルト生地、チョコスポンジ、生クリームとチェリー、チョコスポンジ、生クリーム、チョコスポンジ、生クリーム。
トッピングの生クリームとチェリー、飾りにチョコを削ったもの。
名前の通り、チェリー(キルシュ漬け)とキルシュが主役のケーキです。しっかりアルコールが利いていて、香りも高いし、チェリーは甘酸っぱく、品良く主張しています。
スタッフの女性は“生クリームを味わうケーキです”と言っていましたが、その通り。
ほとんど砂糖を加えていないと思うのですが、コクと香りのある、軽い泡立ちのクリーム。淡い食感を作り出している主役です。チョコスポンジもふわふわでソフトな口当たり、軽い香り。こちらも存在を隠しつつ、しっかり陰から支えているというところ。
どんどん進化するフランス菓子に慣れてしまうと、ウィーン菓子はすごく昔のお菓子に見えてしまいます。
でも、口にしたときに感じる安心感と心の底から満たされる味わいは格別。静かにキルシュの美味しさを味わうための、最低限の組合わせ。力を抜きつつ、凛とした姿勢を崩さないところが、かつての大帝国の首都の気位なのでしょう。
そう、言ってしまえば、どうということのない味なのですが、惹き付けて止まない強さがありますね。
●『ヴィーナトルテ』 辺11cm 高さ3cmほど。

しっかりしたビスケット生地の上にクレームダマンド、マジパンローマッセとヘーゼルナッツのプラリネクリームを合わせたもの。
その表面にアイシング。コワントローの香りが漂います。
これも素朴ながら香り豊かなお菓子。
粉の焼けた香しさ、ヘーゼルとアーモンドの芳ばしさ、コアントローのオレンジの風味。仲良く一つになって官能をくすぐります。
底のビスケット生地は単独でも魅了されるほどの出来。ザックリと食感もいいし、鼻孔をくすぐる焼き込んだ香りが素敵です。
つくづくお菓子は香りだなと、感心します。
●『フリヒトクーヘン』 高さ7.5cm 60gほど。

フルーツケーキのドイツ版。
クグロフ型に焼かれたものの切り売りです。
ほのぼのと甘い生地に懐かしのアンゼリカ、ドレンチェリー、オレンジピール、ラムレーズンが入った可愛いケーキ。
地味なお菓子なのに、風味豊かな生地、オレンジピールの香り、ラムレーズンの美味しさ、アンゼリカのシャリッとした食感……そんな小さなことの積み重ねが、夢のなかのお菓子を思わせるから不思議です。
●『マンデルチーゲル』 5枚40gほど。

アーモンド風味の洋風お煎餅。
かつて大手メーカーがフルート奏者登場のCFを使ってずいぶん宣伝したことがありましたね。同じ商品名だったので、ふと思い出しました。
たしかあれは砂糖の分量が多く、カラメリゼの影響があるのかパリンとした歯触りだったはず。
こちらのものは、軽くサクッと焼き上げているところがセンスのあるところ。
生地がしっかり空気を含んでいて、わずか1、2mmの薄い生地なのにクシュッと崩れる感覚がたまりません。アーモンドの芳ばしさは言うまでもありません。
5枚、あっという間です。
●『ビスコッティ』 2.7×8cm 厚み1cm 8個90gほど。

わざわざ醗酵生地にして、思いきり固く焼き上げているそうです。
コーヒーに浸して美味しく食べられるようにという配慮なのだとか。
カリガリっ…う~ん、固い、歯は大丈夫かしらん。
これはコーヒーに浸さなければ…。
ふむふむ、なるほど、発酵しているから気泡が多くてコーヒーを吸いやすい。しっかり焼いているから、コーヒーを吸っても崩れない。よく考えられていますね。
そして、オレンジピールが入っているので、ちょっといつもと違う風。オレンジの香りが華やかさを運んできます。
ん、いい感じでカリッ!
●『コーヒー』

アウガルテンの器に注がれるコーヒーは味の純度が高く、研ぎ澄まされた味わいです。
気楽なカフェですが、この繊細な味わいからも、すべての質の高さを推し量れるというもの。コーヒーがあまり得意でない私でもストレートでスゥーッと飲めてしまいます。
中深炒りのコロンビアを選びましたが、苦味が円く、かすかな酸味と調和して、飲み応えがあります。でも雑味がないので、嫌みがないし、胃にもたれないという感じ。もう一杯、と頼みたくなるのが、玉に瑕かな。
前オーナー・パティシエールの横山さんとメニュー構成はほとんど同じのようですが、レシピは受け継いでいないとのこと。受け継いだとしても、微妙な配合、手さばきはどうしても個人の資質と趣味に左右されて同じものは出来ないということです。
江崎さんは江崎さんの道を進むということ、これからどんどん彼の個性がこの快適な空間と味覚を満たして行くことでしょう。
●『キルシュトルテ』450円 『ヴィーナートルテ』450円 『フリヒトクーヘン』250円 『マンデルチーゲル』250円 『ビスコッティ』400円 『コーヒー』(中深炒りのコロンビア)480円
●「カフェ・ヴィーナーローゼ」
大阪市中央区玉造2-25-18 TEL06-6167-9488 定休日/水曜
気さくな人柄で、だれとでも気楽にお話をしているので、とても開放的な空気が流れています。アシスタントの女性も知識が豊富で積極的。オープン半年ほどで早くも街に溶け込んだ、カフェの雰囲気が。いいアンサンブルを奏ではじめています。
●『キルシュトルテ』 辺10.5cm 高さ6cmほど。

下から、タルト生地、チョコスポンジ、生クリームとチェリー、チョコスポンジ、生クリーム、チョコスポンジ、生クリーム。
トッピングの生クリームとチェリー、飾りにチョコを削ったもの。
名前の通り、チェリー(キルシュ漬け)とキルシュが主役のケーキです。しっかりアルコールが利いていて、香りも高いし、チェリーは甘酸っぱく、品良く主張しています。
スタッフの女性は“生クリームを味わうケーキです”と言っていましたが、その通り。
ほとんど砂糖を加えていないと思うのですが、コクと香りのある、軽い泡立ちのクリーム。淡い食感を作り出している主役です。チョコスポンジもふわふわでソフトな口当たり、軽い香り。こちらも存在を隠しつつ、しっかり陰から支えているというところ。
どんどん進化するフランス菓子に慣れてしまうと、ウィーン菓子はすごく昔のお菓子に見えてしまいます。
でも、口にしたときに感じる安心感と心の底から満たされる味わいは格別。静かにキルシュの美味しさを味わうための、最低限の組合わせ。力を抜きつつ、凛とした姿勢を崩さないところが、かつての大帝国の首都の気位なのでしょう。
そう、言ってしまえば、どうということのない味なのですが、惹き付けて止まない強さがありますね。
●『ヴィーナトルテ』 辺11cm 高さ3cmほど。

しっかりしたビスケット生地の上にクレームダマンド、マジパンローマッセとヘーゼルナッツのプラリネクリームを合わせたもの。
その表面にアイシング。コワントローの香りが漂います。
これも素朴ながら香り豊かなお菓子。
粉の焼けた香しさ、ヘーゼルとアーモンドの芳ばしさ、コアントローのオレンジの風味。仲良く一つになって官能をくすぐります。
底のビスケット生地は単独でも魅了されるほどの出来。ザックリと食感もいいし、鼻孔をくすぐる焼き込んだ香りが素敵です。
つくづくお菓子は香りだなと、感心します。
●『フリヒトクーヘン』 高さ7.5cm 60gほど。

フルーツケーキのドイツ版。
クグロフ型に焼かれたものの切り売りです。
ほのぼのと甘い生地に懐かしのアンゼリカ、ドレンチェリー、オレンジピール、ラムレーズンが入った可愛いケーキ。
地味なお菓子なのに、風味豊かな生地、オレンジピールの香り、ラムレーズンの美味しさ、アンゼリカのシャリッとした食感……そんな小さなことの積み重ねが、夢のなかのお菓子を思わせるから不思議です。
●『マンデルチーゲル』 5枚40gほど。

アーモンド風味の洋風お煎餅。
かつて大手メーカーがフルート奏者登場のCFを使ってずいぶん宣伝したことがありましたね。同じ商品名だったので、ふと思い出しました。
たしかあれは砂糖の分量が多く、カラメリゼの影響があるのかパリンとした歯触りだったはず。
こちらのものは、軽くサクッと焼き上げているところがセンスのあるところ。
生地がしっかり空気を含んでいて、わずか1、2mmの薄い生地なのにクシュッと崩れる感覚がたまりません。アーモンドの芳ばしさは言うまでもありません。
5枚、あっという間です。
●『ビスコッティ』 2.7×8cm 厚み1cm 8個90gほど。

わざわざ醗酵生地にして、思いきり固く焼き上げているそうです。
コーヒーに浸して美味しく食べられるようにという配慮なのだとか。
カリガリっ…う~ん、固い、歯は大丈夫かしらん。
これはコーヒーに浸さなければ…。
ふむふむ、なるほど、発酵しているから気泡が多くてコーヒーを吸いやすい。しっかり焼いているから、コーヒーを吸っても崩れない。よく考えられていますね。
そして、オレンジピールが入っているので、ちょっといつもと違う風。オレンジの香りが華やかさを運んできます。
ん、いい感じでカリッ!
●『コーヒー』

アウガルテンの器に注がれるコーヒーは味の純度が高く、研ぎ澄まされた味わいです。
気楽なカフェですが、この繊細な味わいからも、すべての質の高さを推し量れるというもの。コーヒーがあまり得意でない私でもストレートでスゥーッと飲めてしまいます。
中深炒りのコロンビアを選びましたが、苦味が円く、かすかな酸味と調和して、飲み応えがあります。でも雑味がないので、嫌みがないし、胃にもたれないという感じ。もう一杯、と頼みたくなるのが、玉に瑕かな。
前オーナー・パティシエールの横山さんとメニュー構成はほとんど同じのようですが、レシピは受け継いでいないとのこと。受け継いだとしても、微妙な配合、手さばきはどうしても個人の資質と趣味に左右されて同じものは出来ないということです。
江崎さんは江崎さんの道を進むということ、これからどんどん彼の個性がこの快適な空間と味覚を満たして行くことでしょう。
●『キルシュトルテ』450円 『ヴィーナートルテ』450円 『フリヒトクーヘン』250円 『マンデルチーゲル』250円 『ビスコッティ』400円 『コーヒー』(中深炒りのコロンビア)480円
●「カフェ・ヴィーナーローゼ」
大阪市中央区玉造2-25-18 TEL06-6167-9488 定休日/水曜