シュトーレン「グロス・オーフェン」「ズーセス・ヴェゲトゥス」「ツッカベッカライ カヤヌマ」&リース

我が家のクリスマスの定番、シュトーレン。キリスト教徒でもないのに、毎年、待降節をこのお菓子と共に過ごしています。慌ただしい時期の、ほんのひとときの、安らかタイム。12月は、これだけが楽しみで日々頑張っているようなものです。
ただ、このところ年々エスカレート気味。今年も3つ食べてしまいました。それも不景気を吹き払うかのように、ちょっと奮発傾向。我が家のお菓子係数だけは、右肩上がりなのです、う~む。

さてさて、今年はというと…。
3つとも、日本語の呼び名が微妙に異なっています。シトーレン、シュトレン、シュトーレン。
それと、パッケージも、箱入り、おくるみ風のまま、枕の形と様々。
では、個性的な3点をご紹介しましょう。



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●『グロス・オーフェン/シトーレン(L)』 28.5×9cm 高さ4.5cm 600gほど。


真っ白な箱入り。クリスマスのレトロっぽい紙でラッピング。赤いリボン。
あぁ、包装紙を解き、箱をあけるワクワク感といったら……ふふふっ~やはり、いいですねぇ。


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ミックスフルーツの漬け込みに時間がかかるのはよく聞く話ですが、こちらでもずいぶん手間暇かかっているようです。

クリスマスに売り切ってしまって、年が明けるともう仕込み。
レーズン、リンゴ、オレンジピール、ドレンチェリー、アーモンド、クルミなどに加えてヘッド(牛脂)。
これらをラム酒に漬け込み、折りをみて、かき混ぜる必要があるそうです。

とくに夏は危険で、アルコールに浸かっていてもカビが生えることがあるとか。ぬか床のように、丹念な世話が大切なんですね。




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こちらのシトーレンは、地味に美味しい。

というのは、焼き上がった生地をどっぷり溶かしバターに漬けて、たっぷり粉糖という処理が定番なのですが、あえてバターも砂糖も控えめにして、生地をしっかり味わうお菓子になっているからです。

その生地にはマジパンが練り込まれていて、豊かなコクとほんのりとした甘さ、そしてなにより生地の醗酵した香りと旨味。
さらに手塩にかけたミックスフルーツの豊穣。
しかも、嫌みなほどには入っていない。どこまでも控えめで楚々とした味わいなのです。





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1cmほどの厚みにスライスして二人で2週間足らず(計算が合わない? だってだんだん厚く切ってしまうのです)、じわじわと美味しさに浸っている喜びを味わえます。
日ごとに味が馴染んで行く、というのにあっという間になくなりました。





一歩控えた味のおかげで、深い味わいと温雅さ溢れる魅力を獲得してるのではないでしょうか。
食べていて穏やかな気持ちになれるのは、希有のことです。お見事!







●『ズーセス・ヴェゲトゥス/シュトレン(大)』 21×7.3cm 高さ4cm 250gほど。
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おやまぁ、こりゃこりゃ、赤ちゃんのイエズスのイラスト付き。毛布に包まれている姿そのまま。抱っこしたくなりますね。
このお顔は、スタッフの消しゴム版画アーティストのタカトモさんが作ったものだとか。
むふふっ、茶目っ気のあるイエズスさんですねぇ。




見た目の大きな特徴として、生地の色がほかのものと比べて黄色っぽく、そして表面が粉糖ではなくざらざらした黍糖での仕上げ、まん中にマジパンがどーんと太く入っていること。
多くの店では生地にミックスフルーツを混ぜ込むときに、漬け込んだお酒も一緒に入れることでしっかり色が染まっていて、熟成期間を長く取ることでアルコールが飛んだ状態に仕上がっています。
こちらのものは、ふっと余韻としてアルコールを感じます。熟成期間が短い証拠。

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そして、フルーツは別々に漬け込んでいるのだとか。
レーズンはキルシュヴァッサー、オレンジピールはグランマニエとアマレット、クルミは漬けずに炒っただけのもの。オレンジピールにしっかりした苦味が残っていたりするので、この漬け込み期間も短めではないかと思います。
これらが生地に混ぜ込むときにはじめて、合されているようです。
だから濁った茶色の色に染まることなく、黄色っぽい状態に仕上がっているのでしょう。
ミックススパイスもじつにいきいきと香ってきます。じつに、スパイシーです。
調香師、と私たちは勝手に命名しているのですが、このシュトレンもまさにそう。なかでも、シナモンが少し強めで、さらにコリアンダー、クローヴが香っているのかなと思います。

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まん中のマジパンは砂糖とローラーにかけたアーモンドではなく、蜂蜜を使ったもの。
シェフの森美香さんによると、アーモンドのかすかなえぐみが感じられずに奇麗な味わいになるとのことです。
たしかにレーズン、オレンジピール、くるみ、生地などがそれぞれに強く主張を繰り返すなかで、まろやかなマジパンがすべてを受け止めて、余裕の笑みを浮かべているような雰囲気があります。
蜂蜜も濃いコクというよりも品のいい甘さに貢献していて、気品あふれる味わいにまとまっています。

シュトーレンは本来醗酵菓子ですが、こちらのものは、香りも力強く、より新鮮な澄んだ味わいに魅力があると云えるかもしれません。


ドイツで食べたなかでもっとも気に入っているお店のレシピにしたがって作っているそうですが、まだ完全じゃないそうです。
かなりインパクトのある仕上がりなのですが、これでも発展途上ということなのですね。そんなこと聞くと、毎年食べなきゃならないじゃないですゥ。
それはともかく、素晴らしい!







●ツッカベッカライ カヤヌマ『シュトーレン』 12.8×15.5cm 高さ4cm 350gほど。
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こちらのものはいわゆる“イエスのおくるみ”姿ではなく、“イエスの枕”の形。丸っこくて独特ですね。リボンやカードも品良く、大人っぽいデザイン。
ほかの2店のものに比べて、g単位では、ほぼ倍。注文の際に、少し躊躇したのは事実です。


まずは、ぴっちり巻かれたラップを解いた瞬間、立ち上ってくる香りに魅了されました。は~っ……。
バターの香りに、なにか醗酵臭のようものもかすかに含まれているような。
ナイフを入れてみると、ぎっしりと詰まった生地の固さに驚かされます。まったく空気を含まない目の詰まり方。
これは生地を捏ねる時から水分を極力少なくして(レーズンなども絞っているのではと思わせます)、まとまるぎりぎりのレベルにしているのではないでしょうか。とすると、大変な力仕事。

画像口に入れるとふたたび、香りの良さに…蕩けるような心持ち。
いえいえ、“ような”ではなく、蕩けてしまいました。
バターの香りは濃いけれど、優しい。
そこへ生地の醗酵臭、いや酵母の香りというべきかもしれません。本能的に食欲をくすぐるような香りです。

本能的なものに近づきながら品下らないのは、レモンピールの香りの力だと思います。その爽やかさが高貴さにつながっているのでしょう。
さすが、気位の高いお店だけのことはあります。もうこの時点で、高い値段にも納得してしまいます。



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そして、生地の美味しさ。独得の優しく大らかな甘み。
バターの甘み、マジパンも入っているのかな、それに粉の甘みが主体で、砂糖の甘みが主役にならないところが魅力です。
レーズン、オレンジピール、レモンピール、ナッツ(特定が難しいくらい細かく刻んだもの。
クルミとヘーゼルナッツかな)がそれぞれに寄り添ってくるような、巧みなアンサンブル。
固く練り合わされた食感と同様に、味もよく練られているといったところでしょうか。

不思議と、懐かしさも感じられます。固い生地が香りとともに、スルーッと溶けて行くなめらかさも特筆ものでしょう。その優雅さ、圧巻!




と、今回は、個性豊かな3店のシュトーレン、細~く食べて、長~く食べて……じっくりとゆっくりと愉しみました。



そうそう、「グロス・オーフェン」さんの『クリスマスリース』もご紹介しておきましょう。
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12月中、リビングの棚に飾っていました(透明の袋に、赤と緑のリボン付き)。
すべて、クッキーで出来ているリース。とても手がこんでいて、パイピングも奇麗だし、可愛いし。
こんなに明るい気分になるなら、ということで、個展をひらく友達にプレゼントしようと、また買いに走ってしまったほど。
ねっ、素敵でしょ。



では、貴方にとっても、心豊かなクリスマスでありますように。
メリークリスマス!



●『シトーレン(L)』3150円 (g=5.3円)   『クリスマスリース』800円
●「グロス・オーフェン」
 大阪府箕面市桜井1-1-1  TEL072-723-9151  定休日/水曜

●『シュトレン(大)』1300円 (g=5.2円)  
●「ズーセス・ヴェゲトゥス」
 京都市北区紫竹下竹殿町16  TEL075-634-5908  定休日/水曜・木曜

●『シュトーレン』3675円 (g=10.5円)  
●「ツッカベッカライ カヤヌマ」
 東京都港区赤坂1-4-5  TEL03-3582-5689  定休日/日曜・祝