カッサレード (2) 『昭和の水ようかん』『スティッククレープ』『スクエアチーズケーキ』
神戸市、JR神戸線住吉駅の南西3分ほど2号線沿いにある「カッサレード」さん。
こちらの大西シェフは、主にご家庭で長年培われてきたおやつのノウハウをベースに、シェフになった人。家庭で育まれる味というのは、えてして採算を考えていない、手間を惜しまないからこそ、プロの域を越えている場合があるものです。
大西家は、まさに食に関して強い熱意を持って、代々、味わいを究めてきた家系のようです。
今回ご紹介するものはお祖母さまの、お母さまの、それぞれこだわりをもって築き上げた味を、かなり忠実に再現したものだそうです。
●『昭和の水ようかん』 内径7cm 深さ7cmほど。

ぜんざいやおはぎなど、小豆のお菓子が好きだった、シェフのお祖母さまレシピを再現したもの。
漉し餡を作るところからの手作りをなさっていたそうです。
小豆を炊いて、アクをよく取り、さらして、布巾で漉して、煮溶かした寒天に混ぜて砂糖を加える。
甘さは控えめ、ゆるい固まり具合。
のどにするりと滑り込むなめらかさが身上だったようです。
市販のもののように、口に甘さが残ることのない、もう一個食べたくなる水ようかん。
シェフも子どもの時から好物だったとか。
水ようかんの上は、薄甘く炊いた小豆と寒天のように見えるのは、アガと呼ばれるもの。
これも海草由来のもの。寒天より少し歯応えが強く、ややナタデココを思わせるようなところもあります。
この部分にケーキ屋さんならではの洋風感覚がチラッと匂います。
水ようかんはなるほど、サラッとした味わい。
少し小豆の粒子のざらつきやかすかなエグ味のようなものを感じますが、かえって手作りの素朴さを主張しているようで好感が持てるでしょう。
ちなみに通年商品です。
今の時期なら、あったか炬燵で、水ようかんをつるり、というスタイルでしょうか。
●『スティッククレープ』 13×4cm 高さ2cmほど。

これは子どもの時に、パンケーキの薄いものをよく食べていた想い出から発想したもの。
パンケーキからベーキングパウダーを抜けば、あらよっと、クレープに変身。
それと、一般に人気の高いシュークリームに変わる商品を作れないかと考えていたそうです。シュー生地がすぐに湿けて、魅力を無くすのが気になっていたとか。
クレープをスティック状にすることで、持ち運びがラクなこと、摘んで簡単に食べられること、シューのようにクリームがはみ出す心配も無いなど、シューを上回るメリット、という考え。
生地を一晩寝かすことで伸びがよくなるそうで、かなり薄いクレープに仕上がっています。片面を焼いて返したもう片面は余熱で火を通すようにしていて、しっとり。
2種類あって、カスタードは、卵本来の風味を大切にしながらマダガスカル産のヴァニラで香り付け、少し生クリームを加えて優しさと滑らかさを加味。
チョコバージョンは、生地にはヴァンホーテンのココア、カスタードにはカレボーのダークスイートを加えているそうです。
●『スクエアチーズケーキ』 5×4.5cm 高さ3cmほど。

お店の顔ともいうべき、人気商品。
大西家がアメリカ在住だった時代、カリフォルニアでご近所のおばさんからお母さまが習ったレシピ。
これもシェフが子どものころから好物だったもの。
オーストラリア産のクリームチーズでアパレイユを作り、上下にクッキー生地、トップにクルミとクランブル生地。
オリジナルのレシピから、食感は残して、甘みだけは控えめにしたもの。
その残した食感とは、ベイクドなのにレアのねっとり感。まったくぼそぼそしたところのない、しっとりした仕上がり。なめらかでねっとり。
濃厚なのにさっぱりしているのは、広島の無農薬レモンを使っているから。
その爽やかさで味のキレが良くなっているのです。シェフはレモン農家の望月さんとの出会いがなければ、このケーキは完成していなかったと言います。
それと上下のクッキー生地が濃厚なチーズに負けない豊かな風味を放っているのは、ミネラル分の多い粉を使っているからだそうです。さらに、クランブルはクルミの粒と均一な大きさにして一体感を持たせているとか。
なるほど、よくまとまった味わい。細部までよく詰められたケーキです。
大西さんのケーキを食べるごとに、なんだか温かな気持ちになっていきます。手作りの味の豊かさについて、子供頃の家庭の味について、いろいろと考えさせられます。
これからも、想い出とともにいろいろと秘密の宝物を引っ張り出してくるのでしょうね。楽しみです。
●『昭和の水ようかん』315円 『スティッククレープ(カスタード&チョコ)』各168円 『スクエアチーズケーキ』294円
●「パティスリー カッサレード」
神戸市東灘区住吉宮町7-2-10 TEL078-821-3553 定休日/木曜
こちらの大西シェフは、主にご家庭で長年培われてきたおやつのノウハウをベースに、シェフになった人。家庭で育まれる味というのは、えてして採算を考えていない、手間を惜しまないからこそ、プロの域を越えている場合があるものです。
大西家は、まさに食に関して強い熱意を持って、代々、味わいを究めてきた家系のようです。
今回ご紹介するものはお祖母さまの、お母さまの、それぞれこだわりをもって築き上げた味を、かなり忠実に再現したものだそうです。
●『昭和の水ようかん』 内径7cm 深さ7cmほど。

ぜんざいやおはぎなど、小豆のお菓子が好きだった、シェフのお祖母さまレシピを再現したもの。
漉し餡を作るところからの手作りをなさっていたそうです。
小豆を炊いて、アクをよく取り、さらして、布巾で漉して、煮溶かした寒天に混ぜて砂糖を加える。
甘さは控えめ、ゆるい固まり具合。
のどにするりと滑り込むなめらかさが身上だったようです。
市販のもののように、口に甘さが残ることのない、もう一個食べたくなる水ようかん。
シェフも子どもの時から好物だったとか。
水ようかんの上は、薄甘く炊いた小豆と寒天のように見えるのは、アガと呼ばれるもの。
これも海草由来のもの。寒天より少し歯応えが強く、ややナタデココを思わせるようなところもあります。
この部分にケーキ屋さんならではの洋風感覚がチラッと匂います。
水ようかんはなるほど、サラッとした味わい。
少し小豆の粒子のざらつきやかすかなエグ味のようなものを感じますが、かえって手作りの素朴さを主張しているようで好感が持てるでしょう。
ちなみに通年商品です。
今の時期なら、あったか炬燵で、水ようかんをつるり、というスタイルでしょうか。
●『スティッククレープ』 13×4cm 高さ2cmほど。

これは子どもの時に、パンケーキの薄いものをよく食べていた想い出から発想したもの。
パンケーキからベーキングパウダーを抜けば、あらよっと、クレープに変身。
それと、一般に人気の高いシュークリームに変わる商品を作れないかと考えていたそうです。シュー生地がすぐに湿けて、魅力を無くすのが気になっていたとか。
クレープをスティック状にすることで、持ち運びがラクなこと、摘んで簡単に食べられること、シューのようにクリームがはみ出す心配も無いなど、シューを上回るメリット、という考え。
生地を一晩寝かすことで伸びがよくなるそうで、かなり薄いクレープに仕上がっています。片面を焼いて返したもう片面は余熱で火を通すようにしていて、しっとり。
2種類あって、カスタードは、卵本来の風味を大切にしながらマダガスカル産のヴァニラで香り付け、少し生クリームを加えて優しさと滑らかさを加味。
チョコバージョンは、生地にはヴァンホーテンのココア、カスタードにはカレボーのダークスイートを加えているそうです。
●『スクエアチーズケーキ』 5×4.5cm 高さ3cmほど。

お店の顔ともいうべき、人気商品。
大西家がアメリカ在住だった時代、カリフォルニアでご近所のおばさんからお母さまが習ったレシピ。
これもシェフが子どものころから好物だったもの。
オーストラリア産のクリームチーズでアパレイユを作り、上下にクッキー生地、トップにクルミとクランブル生地。
オリジナルのレシピから、食感は残して、甘みだけは控えめにしたもの。
その残した食感とは、ベイクドなのにレアのねっとり感。まったくぼそぼそしたところのない、しっとりした仕上がり。なめらかでねっとり。
濃厚なのにさっぱりしているのは、広島の無農薬レモンを使っているから。
その爽やかさで味のキレが良くなっているのです。シェフはレモン農家の望月さんとの出会いがなければ、このケーキは完成していなかったと言います。
それと上下のクッキー生地が濃厚なチーズに負けない豊かな風味を放っているのは、ミネラル分の多い粉を使っているからだそうです。さらに、クランブルはクルミの粒と均一な大きさにして一体感を持たせているとか。
なるほど、よくまとまった味わい。細部までよく詰められたケーキです。
大西さんのケーキを食べるごとに、なんだか温かな気持ちになっていきます。手作りの味の豊かさについて、子供頃の家庭の味について、いろいろと考えさせられます。
これからも、想い出とともにいろいろと秘密の宝物を引っ張り出してくるのでしょうね。楽しみです。
●『昭和の水ようかん』315円 『スティッククレープ(カスタード&チョコ)』各168円 『スクエアチーズケーキ』294円
●「パティスリー カッサレード」
神戸市東灘区住吉宮町7-2-10 TEL078-821-3553 定休日/木曜