こはく (1) 『桜餅』『甘酒饅頭』『こはく』(2010年3月25日オープン)
わが町、洋菓子の町・苦楽園にもやっとお気に入りの和菓子屋さんができました。「こはく」さんです。2010年3月25日にオープンしたばかりの、ほやほやのお店。阪急甲陽線苦楽園口駅から西へ5、6分のところです。
くしくも、時を同じくして「宗家 源吉兆庵」さんが苦楽園の駅近くにオープンした日でもあります。とても立派な店舗です。新聞折り込みチラシには、『苺あん入り葛ぜりぃ』の1個引換券もありました。
しかし、私たちがご紹介したいのは、やはり「こはく」さんです。
じつは、オープンの翌日のお昼頃、近くをたまたま通ったら、花輪が眼に入ったのです。
むむ、新店かしらん、と思いいそいそと行ってみると……こじんまりとした和菓子屋さんではないですか。
しかし、なにかが違う、この違和感。
オープン特有の華々しさがないのです。ひっそりしています。
興味津々で、子供のようにガラスの戸から中を覗くと、ショーケースは、がらーんがらん。
桜餅と饅頭の2種類、しかも数少なめ。生菓子がたった1個ぽつんと淋しそうにあります。あと、なにか干菓子っぽいものが2、3個見えるだけ。
右手にある喫茶コーナーは、椅子はテーブルに載せてあるし、照明は落としてあるような薄暗さ。その奥の方に眼をやると、ブルゾンやうさぎのぬいぐるみ(?)かなにか私物のようなものが段ボールに入って無造作に置いてあります。
そして、真正面の厨房の丸窓から見えるのは、若そうな男性がうつむきがちになにか作っているもよう。
ううーん、お店、はじまっているの? どうなの? 一体どうなのよ?
という疑問がむくむくと湧きましたが、なぜだか私、この時すでに気に入ってしまったようです。ツボにはまったといいましょうか。
すると、先程のお兄ちゃん風の男性が奥から出て来て、引き戸を開けてくれました。
一歩入ると、真新しい清々しい木のにおいに包まれます。新店特有の匂いです。
お話すると、やはり“昨日の午後2時頃にオープンしたんですよ”とのこと。2時頃、というアバウトな表現がまたしてもツボにはまりそう。
そ、そうなのか。ふむ。パティスリーのオープン当日(何種類もの生ケーキや焼菓子がどうだとばかりにバーンッときらびやかに並んでいるのがつね)を知っているので、こののーんびりした脱力したような空気感。新鮮でした。
さてさて、あまりの面白さ(といっても、ご本人は真剣です)に、食べる前から弾んだ気分になりましたが、予想通りお味もいい出来でした。
とても品のいい、きれいな甘さの和菓子です。
●『桜餅』 径4.7cm 厚み2.7cm 60gほど。

あぁ、美しい姿。
見ているだけで、満たされそうな佇まい。素敵です。
浅い塩漬け葉っぱのようで、新鮮な緑色にちかいですね。
塩分も薄く、パリッとしていて、フレッシュな食感です。匂いもさり気なく香る程度。
そして、まわりの餅米。透明な一粒一粒。
それになんてうすーい桜色なのでしょう。
もしかして、白? と勘違いしそうなほどの奥床しさ。
同様に、なかの“こし餡”もじつに上品。清らかな味わいです。
ふつう、和菓子の世界では、塩はつきものだと思っていました。ほんの少し使って、甘さを深めるというか、そんな役割があります。
しかし、ここでは塩はなし。砂糖も、グラニュー糖なんぞは使わず、白ザラメのみ。
こし餡は仕入れで、白ザラメをほんの少量足してご自分の味に仕上げておられるそうです。この白ザラメ、所謂、雑味がないのです。
それでなのでしょうね、この清流のような澄んだきれいさは……。
桜を愛でた満足感が知らない間にそっと深まっている、といった感じです。
久々に逸品と出会いました。
●『甘酒饅頭』 4.5×5.4cm 厚み3.6cm 50gほど。

これまた、きれいな形。
肌もすべすべ。
これだけで、もう気に入ってしまいました。
甘酒のにおいがふわんと広がる、お饅頭。
酒蔵の町、西宮ならではですね。
中の餡は、桜餅とおなじでしょうか。
皮と餡、いいバランスで成り立っています。

和菓子の経験があまりにも少ないので、なんともなんですが、酒饅頭って、庶民的で土着的な印象を勝手に抱いていたのですが……。
ふうっ、これは楚々とした魅力を称えていますね。じつに、いいですねぇ。
●『こはく』(蝶々の型) 幅2.5cm 厚み1cm 30gほど。

店名にもなっている、お菓子。
白ザラメ、粉寒天、そしてかすかにブランデーの馨り。
もっとブランデーが香ってもいいかなとも感じました(ご本人ももう少し香るようにしたいと正直におっしゃっていました)。
が、静かな水面に一滴滴り落ちたブランデー、といった風情が品のよさかもしれませんね。
外はチャリチャリ、対して、なかの琥珀かんの涼やかな舌触り。上等のゼリー、といえばわかりやすいでしょうか。
大事にそっと口にふくみたい、大人のおやつ、といった雰囲気がありますね。

なお、これは、蝶々の形ですが、形を変えて、フレーバーも変えて、多彩なシリーズが登場する予定なのだとか。
看板商品に育って行くといいですね。
店主の小林さん、いま35歳だそうです。お一人で作っておられます。
種類は、先程の『桜餅』(夙川の桜が散ったら、『柏餅』に替わります)『甘酒饅頭』『おちつき餅』『こはく』、そして『上生菓子』。
品数は少ないのですが、ご自分が好きな味のものだけを、という矜持をもって妥協せずに丁寧に作っておられます。
奥様が販売担当。でも、お子さんが小さいのでずっとおられるわけではないそうです。
和菓子の世界では、“琥珀”は定番のお菓子ですが、なぜ、この店名を? と尋ねると
「もともと実家は和菓子屋さんで、じいさんが営んでいたんです。祖父の名前をもじると、“こはく”。お店は継がなかったので、せめて職人魂を受け継いでいきたいと思って。それに、琥珀という商品もあるし」とのこと。
丁稚奉公(この表現もぐっときました)は、神戸元町の「二つ茶屋」さんだそうです。その後、実家にもどって修業し、専門学校で洋菓子の勉強もされたこともあるようですよ。
若々しいご夫妻です。お菓子の『こはく』の説明の際に、和菓子の本を持ち出して見せてくれたりも。えっ、手の内(?)を初対面の私たちに簡単に見せちゃったりして、とまぁ気軽な対応。気取りがなくて、優しい人柄も好感がもてますね。
包装紙は真っ白の無地、そこにお店の名前のシールを貼っただけ。明るい小豆色、とでもいいましょうか。お菓子の清新さに似合っていました。
待望の和菓子屋さん、祝!おめでとうございます。洋菓子の町に根付いていくことを願っています。
●『桜餅』150円 『甘酒饅頭』150円 『こはく』(3個入り)315円
●「こはく」
西宮市南越木岩町15-12 TEL0798-71-5889 定休日/不定(火曜・水曜・木曜の、どの日かを休みたいとのこと)
※喫茶もまだ工事が残っているそうです。たぶん、4月の中旬以降かなぁ、とこれまたマイペース。
くしくも、時を同じくして「宗家 源吉兆庵」さんが苦楽園の駅近くにオープンした日でもあります。とても立派な店舗です。新聞折り込みチラシには、『苺あん入り葛ぜりぃ』の1個引換券もありました。
しかし、私たちがご紹介したいのは、やはり「こはく」さんです。
じつは、オープンの翌日のお昼頃、近くをたまたま通ったら、花輪が眼に入ったのです。
むむ、新店かしらん、と思いいそいそと行ってみると……こじんまりとした和菓子屋さんではないですか。
しかし、なにかが違う、この違和感。
オープン特有の華々しさがないのです。ひっそりしています。
興味津々で、子供のようにガラスの戸から中を覗くと、ショーケースは、がらーんがらん。
桜餅と饅頭の2種類、しかも数少なめ。生菓子がたった1個ぽつんと淋しそうにあります。あと、なにか干菓子っぽいものが2、3個見えるだけ。
右手にある喫茶コーナーは、椅子はテーブルに載せてあるし、照明は落としてあるような薄暗さ。その奥の方に眼をやると、ブルゾンやうさぎのぬいぐるみ(?)かなにか私物のようなものが段ボールに入って無造作に置いてあります。
そして、真正面の厨房の丸窓から見えるのは、若そうな男性がうつむきがちになにか作っているもよう。
ううーん、お店、はじまっているの? どうなの? 一体どうなのよ?
という疑問がむくむくと湧きましたが、なぜだか私、この時すでに気に入ってしまったようです。ツボにはまったといいましょうか。
すると、先程のお兄ちゃん風の男性が奥から出て来て、引き戸を開けてくれました。
一歩入ると、真新しい清々しい木のにおいに包まれます。新店特有の匂いです。
お話すると、やはり“昨日の午後2時頃にオープンしたんですよ”とのこと。2時頃、というアバウトな表現がまたしてもツボにはまりそう。
そ、そうなのか。ふむ。パティスリーのオープン当日(何種類もの生ケーキや焼菓子がどうだとばかりにバーンッときらびやかに並んでいるのがつね)を知っているので、こののーんびりした脱力したような空気感。新鮮でした。
さてさて、あまりの面白さ(といっても、ご本人は真剣です)に、食べる前から弾んだ気分になりましたが、予想通りお味もいい出来でした。
とても品のいい、きれいな甘さの和菓子です。
●『桜餅』 径4.7cm 厚み2.7cm 60gほど。

あぁ、美しい姿。
見ているだけで、満たされそうな佇まい。素敵です。
浅い塩漬け葉っぱのようで、新鮮な緑色にちかいですね。
塩分も薄く、パリッとしていて、フレッシュな食感です。匂いもさり気なく香る程度。
そして、まわりの餅米。透明な一粒一粒。
それになんてうすーい桜色なのでしょう。
もしかして、白? と勘違いしそうなほどの奥床しさ。
同様に、なかの“こし餡”もじつに上品。清らかな味わいです。
ふつう、和菓子の世界では、塩はつきものだと思っていました。ほんの少し使って、甘さを深めるというか、そんな役割があります。
しかし、ここでは塩はなし。砂糖も、グラニュー糖なんぞは使わず、白ザラメのみ。
こし餡は仕入れで、白ザラメをほんの少量足してご自分の味に仕上げておられるそうです。この白ザラメ、所謂、雑味がないのです。
それでなのでしょうね、この清流のような澄んだきれいさは……。
桜を愛でた満足感が知らない間にそっと深まっている、といった感じです。
久々に逸品と出会いました。
●『甘酒饅頭』 4.5×5.4cm 厚み3.6cm 50gほど。

これまた、きれいな形。
肌もすべすべ。
これだけで、もう気に入ってしまいました。
甘酒のにおいがふわんと広がる、お饅頭。
酒蔵の町、西宮ならではですね。
中の餡は、桜餅とおなじでしょうか。
皮と餡、いいバランスで成り立っています。

和菓子の経験があまりにも少ないので、なんともなんですが、酒饅頭って、庶民的で土着的な印象を勝手に抱いていたのですが……。
ふうっ、これは楚々とした魅力を称えていますね。じつに、いいですねぇ。
●『こはく』(蝶々の型) 幅2.5cm 厚み1cm 30gほど。

店名にもなっている、お菓子。
白ザラメ、粉寒天、そしてかすかにブランデーの馨り。
もっとブランデーが香ってもいいかなとも感じました(ご本人ももう少し香るようにしたいと正直におっしゃっていました)。
が、静かな水面に一滴滴り落ちたブランデー、といった風情が品のよさかもしれませんね。
外はチャリチャリ、対して、なかの琥珀かんの涼やかな舌触り。上等のゼリー、といえばわかりやすいでしょうか。
大事にそっと口にふくみたい、大人のおやつ、といった雰囲気がありますね。

なお、これは、蝶々の形ですが、形を変えて、フレーバーも変えて、多彩なシリーズが登場する予定なのだとか。
看板商品に育って行くといいですね。
店主の小林さん、いま35歳だそうです。お一人で作っておられます。
種類は、先程の『桜餅』(夙川の桜が散ったら、『柏餅』に替わります)『甘酒饅頭』『おちつき餅』『こはく』、そして『上生菓子』。
品数は少ないのですが、ご自分が好きな味のものだけを、という矜持をもって妥協せずに丁寧に作っておられます。
奥様が販売担当。でも、お子さんが小さいのでずっとおられるわけではないそうです。
和菓子の世界では、“琥珀”は定番のお菓子ですが、なぜ、この店名を? と尋ねると「もともと実家は和菓子屋さんで、じいさんが営んでいたんです。祖父の名前をもじると、“こはく”。お店は継がなかったので、せめて職人魂を受け継いでいきたいと思って。それに、琥珀という商品もあるし」とのこと。
丁稚奉公(この表現もぐっときました)は、神戸元町の「二つ茶屋」さんだそうです。その後、実家にもどって修業し、専門学校で洋菓子の勉強もされたこともあるようですよ。
若々しいご夫妻です。お菓子の『こはく』の説明の際に、和菓子の本を持ち出して見せてくれたりも。えっ、手の内(?)を初対面の私たちに簡単に見せちゃったりして、とまぁ気軽な対応。気取りがなくて、優しい人柄も好感がもてますね。
包装紙は真っ白の無地、そこにお店の名前のシールを貼っただけ。明るい小豆色、とでもいいましょうか。お菓子の清新さに似合っていました。
待望の和菓子屋さん、祝!おめでとうございます。洋菓子の町に根付いていくことを願っています。
●『桜餅』150円 『甘酒饅頭』150円 『こはく』(3個入り)315円
●「こはく」
西宮市南越木岩町15-12 TEL0798-71-5889 定休日/不定(火曜・水曜・木曜の、どの日かを休みたいとのこと)
※喫茶もまだ工事が残っているそうです。たぶん、4月の中旬以降かなぁ、とこれまたマイペース。