ローヌ(1)『チーズケーキ』『ビエンナドナウ』『焼菓子/フリアン、なすびサブレ』『バウムクーヘン…

京都山科の老舗「ローヌ」さん。以前からJRの車窓から見る、ピッカピッカのキッチュなネオンサインに惹かれるものを感じていたのです。サインポールや店内の小さなネオンなら見た覚えはいくらもありますが、屋上のネオン広告となるとちょっと珍しい。
何年越しでしょうか、どうしても行かなければ、という強い欲求ではなかっただけに、ついつい忘れたふりをしてきたのです。
ですが、フッと空白の1日があり、“そうだ、ローヌへ行こう”と思い立ったという顛末。さてお味の方はいかに。


●『チーズケーキ』 辺8cm 高さ5cmほど。
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そうそう、これこれ。
こちらの看板商品です。

かつてチーズケーキといえば、スフレの時代がありました。
その当時を代表するチーズケーキの一つ。
そして、お店では相変わらず人気No.1商品だとか。ずっと愛され続けているなんて、やはり凄いですね。

オランダ産ゴーダチーズを使っている、となにかの本に書いてありました。でもチーズの濃厚さはどこにもなく、拍子抜けするくらい軽いケーキです。

このケーキの長所はメレンゲをうまく取り込んでいること。
口に入れた途端にシュワシュワ! と泡が弾けて、一気に萎んで消えてしまうところ。消えて無くなる軽さの快感。これは特筆もの。
チーズケーキの美味しさか?と問われれば、いえ、メレンゲの、と答えざるをえない体のものではあるのですが。

ちなみに、表面に薄くスライスされたパイナップルが一切れ。軽いアクセント。
なんでもないこの模様が、なかなか眼に焼き付いて印象深いです。

じつは、先日、福知山の「マウンテン」さんに行ったら、まったく同じ見掛けのチーズケーキが並んでいたのです。その姿を見て、あっローヌさんだ!と二人で叫んだほど。実際は微妙に違うそうです。「マウンテン」さんはたしかフランス産とニュージーランド産のクリームチーズだったかな。
水野シェフによると、「ローヌ」さんとはお父様同士お知り合い(息子さん同士も)で、このチーズケーキはその時代の人にしか作れない独特のもの、とのことでした。うんうん、そうなのですよね。
じゃあ、これも、と話していたのですが、ぱらぱらおしゃべりしていたので、注文が通っていないのでした。残念。
ということで、また福知山には行けそうにもなくて、懸案だった「ローヌ」さんへ、ということになったのでした。




●『ビエンナ ドナウ』 辺8.8cm 高さ5.5cmほど。
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一見、ザッハのよう。
ですが、アプリコットジャムを使わず、チョコスポンジ(少しクルミのシャリ感あり)とチョコクリームを重ねたもの。6層ほどだったかな。
全体をチョコレートで覆っています。それも、ザッハほど濃厚なものではありません。
トップに、金箔一ひら。

柔和なチョコレートの魅力を全面に押し立てたケーキと言えるでしょう。
香りは高く、ケーキの箱を開けたときに一番香っていたように思います。


これを、68年当時食べていたなら……。
きっと虜になっていたでしょう。そして、今でも、ときおりふっと食べたくなっていたでしょう。
ことほど、味覚の体験時期や年齢はその後の味覚地図に大きく影響を及ぼすものだなぁと思います。





●『フリアン』 3.5×8.3cm 厚み1.7cmほど。
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バターの香りはたっぷり香っていますが、焦がしのノワゼット香はないようです。
アーモンドの風味があり、中のモロッとした食感が少しあります。
食べていて抵抗なく美味しいフリアンだと思います。


あ、そうそう、これから4つの焼菓子はいずれも105円也。
いいなぁ、この親しみやすいお値段。ふふっ嬉しくなってしまいます。




●『マドレーヌ』 3.5×7.5cm あつみ1.8cmほど。
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きれいな姿。

ベーキングパウダーを使ったふっくら感があります。
出べそなし、レモン香もなく(かすかに酸味みたいなものをふっと感じたのは気のせい?)、一般的なマドレーヌのイメージとは少し異なります。

素朴に粉と卵とアーモンドの味わい。
フリアンとはっきり区別が付く味わいにしているのは、当たり前のこととはいえ、いいですね。
ファミリー向けではほとんど同じということが結構ありますからね。





●『山科なすサブレ』 5.5×7.5cm 厚み0.7cmほど。
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今、山科では“山科なす”のキャンペーンを行っていて、なすキャラクター“もてなすくん”がいるようです。
そういえば、なすび色の風船がぷーらぷらといっぱい飾られていました。お店の前の通りにもたくさん、脳天気なかんじでふわふわと。

その山科なす(乾燥して砕いて使用?)を使ったのが、このサブレ。
ザクザク、サラサラと小気味のいい崩れ方。いかにもサブレ(砂)といった食感。
なすのへたの部分にグラニュー糖をまぶしているのが、ジヤリジャリと印象的。バターの香りとともに、後口に少し塩気を感じますね。

ちなみに、山科なすはどこに使われているのか、食べていてまったく分かりませんでした。
まっ、形がユニークなのでいいのかな。
地域振興ということもありますしね。






●『バウムシュニッテン』 4.5×6.5cm 厚み1.8cmほど。
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バウムクーヘン生地の真ん中辺に一層、薄くジャム(?)を塗っています。
甘い生地にかすかな酸味で、小さなアクセントを付けています。引き締めるというところまでは行きません。
甘い一口菓子のなかに気の利いたリズムを持ち込んだといったところでしょうか。

どこからかアマレットのような香りがするように思いますが、はて。






●『バウムクーヘン(カット)』 外周14cm 内周5.5cm 幅5cm 厚み4cmほど。
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バウムの生地はシュニッテンと共通で、少し甘めです。

が、それを甘くないと感じさせるほどに、生地全体にアプリコットジャムを塗っているし、
さらに外周部分にたっぷりのアイシング。
そこにラム酒をたっぷり使っているので香りも甘さでいーっぱい。


甘くなければお菓子じゃない、ときっぱりした考えがありそうなくらい、堂々と甘いお菓子です。
風格さえも感じます。
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たっぷりの甘さとどっしりとした生地。
けっこう受けて立っている感じ、いい勝負ですね。






うーん、これが老舗の味なのですね。現今のフランス菓子の最前線とは無縁の世界。ちょっと感慨深いものがあります。40年前はたしかにこういうものを食べていたんだ、としみじみしてしまいました。
同時代にオープンした大阪・帝塚山の「ポアール」さんは、甘さ控えめ、高級ブランド路線を打出して一世を風靡。関西中を薄味に変えてしまったほどです。
その反動と、フランス修業からの帰国組が活躍するようになったのが東京では30年ほど前、関西は20年前、でしょうか。ようやくしっかりした味わいのお菓子が広く受け入れられはじめたところ。
「ローヌ」さんは世の中が1周する間、泰然自若の構えで、甘いお菓子一筋だったのです。うーん、天晴れ!



●『チーズケーキ』300円  『ビエンナドナウ』300円  『フリアン』105円  『マドレーヌ』105円  『なすびサブレ』105円  『バウムシュニッテン』105円  『バウムクーヘン(カット)』525円

●「スイス菓子 ローヌ」本店
 京都市山科区御陵中内町4-4  TEL075-591-1111  定休日/無休?

※ブログ「パイ日和」(http://pie.at.webry.info/201004/article_5.html)にも、このお店のパイを紹介しています。よかったら、どうぞ。