ドイツ菓子 フラウピルツ(1)『ケーニヒス クーヘン』『スパニッシェ バニレトルテ』『ヌスクーヘン』

ここのところ京都はドイツずいていますね。パンの「ペルケオ」さんにつづいて、今度はお菓子のお店がオープンしました。2010年11月23日、白川通りと北大路の交差点から一筋下がった道を東へ50mほど。「ドイツ菓子 フラウピルツ」という名のお店です。
Frau Pilz とは、キノコ夫人という意味ですが、シェフの宮下あゆみこさん(38歳)ご本人はお嬢ちゃんと呼びたくなるような雰囲気の方。自分でも、永遠の14歳と言っていました。なんでもキノコが大好きなのだとか。それで店名が「キノコ」。うん、ストレートです。
明るく清々しいお店ですが、どこかファンタジーの世界に迷い込むような摩訶不思議な雰囲気を漂わせたお店でもあります。そんなお店の魔法のケーキをご紹介しましょう。


●『ケーニヒス クーヘン』 3.5×8cm 高さ5.8cm 125gほど。
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今まで、ウィーン風のパイ生地を敷き込んだ『ケーニヒス クーヘン』しか食べたことがなかったのです。が、彼女が修業したドイツのお店ではドライフルーツたっぷりのパウンドケーキを指すようです。

パウンド本来のミシッと目の詰んだ重いような食感から、じわりととろけていく口溶けの良さが魅力。
ドライフルーツは盛り沢山。イチジク、プルーン、レーズン、アプリコット、ペカンナッツ、アーモンド、オレンジピール。
ラム酒漬のレーズンが味わいのメインになっているでしょうか。オレンジピールの香りも利いています。イチジクのプツプツ感もいいアクセント。

なかなか贅沢な味わい。
濃厚ではあるけれど、少しも嫌みがなく素直にパクパク食べられます。いいですね。

こちらでは果物など農産物はなるべく低農薬のものを使う主義なのだそうですが、このケーキではベーキングパウダーもアルミフリーのものを使っているとのこと。消費者の安全を第一に考えてくれているのも嬉しいですね。




●『スパニッシェ バニレ トルテ』 辺6cm 高さ4.5cmほど。
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マジパン入りのスポンジという、いかにもドイツ的な生地の魅力が満開のケーキです。

ビスケット生地とスポンジを交互に3回繰り返し、上からバニラ風味のバタークリームで覆い、その上からマジパンで覆って、カバーチョコでさらに覆い、格子状に焼きめを付けて完成。

このケーキがなぜスペイン風かというと、チョコレートが使われているからだと思います。
スペインはメキシコから最初にカカオを持ち帰ってヨーロッパに広めた発信源の国。だからチョコ=スペインなのでしょう。
たしか、チャイコフスキーの“胡桃割り人形”でも、チョコレートの踊りはスペインからのお客さまの踊りだったはず。

カバーチョコは室温にもよるでしょうが、我が家ではパリンとした仕上がり。
チョコチップ入りのスポンジがソフトな、ふっくらした食感なので、その差が余計にスポンジの魅力を強調しているようです。
マジパンのコクをたっぷり内に含んだスポンジですから、その味わいの豊かなこと。

さらにバニラのバタークリームの優しさが、その世界をさらに柔和なものにしてくれています。
バタークリームがコクを与えるというより、全体の滑らかさ、スムースさをもたらしていると思います。

これも存在感を強くアピールしていますが、やはりマジパンでしょう。
よくできたマジパンはもう異次元の世界。ああ、いいもの食べたなあ。大好きです。




●『ヌス クーヘン』 辺8cm 高さ6cm maxほど。
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ヘーゼルナッツとクルミのバターケーキ。
トップにシュトロイゼルをパラッと振りまき、ミルクチョコを線状に流しかけています。

パサッと乾いた感触の生地ですが、焼き切っているからこそ、口の中の水分に出会った時、スルッと溶けて行くスムーズさが味わえるのです。しっかりした焼きの技です。

バターケーキの優しくてリッチな味わいに、ナッツ類の香りとコクがプラスされ、2種のナッツを使っていることによる味わいの輻湊感。
さらシュトロイゼルやチョコもただの飾りに終ることなく、それぞれに主張しています。

軽い食感ながら重厚な満足感がありますねぇ。親しみやすく、また食べたくなるお菓子です。



いいお店が出現しました。同じ京都のドイツ菓子の老舗「グリュックスシュヴァイン」さんで6年半修業し、その後、ドイツに渡って3年ほど修業してきたそうです。専門学校に通っている時から、地味なドイツ菓子に進もうと考えていたそうですから、14歳の顔に似合わず(失敬!)、意思強固。
キノコは目立たないうちに地下にしっかり根を張って、いい環境が整うといっせいに芽を出してくる強さを持っています。
宮下キノコ嬢ちゃんも、きっといつか色とりどりのキノコをいっせいに吹き出してくるのでしょう。期待大です。



●『ケーニヒス クーヘン(小)』500円  『スパニッシェ バニレ トルテ』380円  『ヌス クーヘン』280円

●「ドイツ菓子 フラウピルツ」
 京都市左京区一乗寺樋ノ口町19-6  TEL075-712-7517  定休日/日曜・月曜+不定休

※ブログ「パイ日和」(http://pie.at.webry.info/201103/article_9.html)にも、このお店のタルトを紹介しています。よかったら、どうぞ。