ココン(お菓子の工房COCON)(6)『抹茶プリン』『北アルプスあづみ野 生チーズ』『ザッハトルテ
神戸市中央区、阪急神戸線春日野道駅と王子公園駅のちょうど中間あたり、線路の北3筋目にある「お菓子の工房 COCON 古今」さん。
地元の人たちに広く支持され、ジワリジワリと業績を伸しているお店です。
●『抹茶プリン』 器上内径7cm 深さ4cmほど。

たまたま訪問当日、初お目見えの品。
まだショーカードも出来ていないほどのホヤホヤ。
プリンとは名付けられていますが、卵をいっさい使わないジュレのような食感のもの。
抹茶を生クリーム、牛乳などで伸し、葛と寒天などで固めたもの。
上は、ミルクプリン。
ほんのり甘く、とろりんつるりんと粘りのある感触。はじめに食感ありきのプリンと言えるでしょう。
繊細微妙な舌触りの底から沸き起こるのが、抹茶の風味。
焙煎の度合も、粉の目の細かさもすべて特注にして納得の行くものを仕入れているとのこと。ココンオリジナルの抹茶というわけです。
おかげでとても円やかだし、プリンの滑らかさを打ち消す粉っぽさがどこにもありません。抹茶の甘さを堪能した後に、フッとほのかな苦渋さが残り、たしかに抹茶だねと確認するほど。
ミルクプリンがより以上にマイルドな味わいにしてくれているのも見逃せません。
これから暑い季節、ひんやりお抹茶プリンで一服といきましょう。
●『北アルプスあづみ野 生チーズ』 ハート型、4.3×5.5cm 高さ3cmほど。

ふっふっ、ばらしてしまいましょう。
安富シェフはチーズ嫌い。
それで、自分が気に入るチーズケーキを作れば誰にでも好かれるチーズケーキができるだろうと、今回初めてレアチーズに挑戦したとのこと。
チーズ選びからスタートし、資料を見て美味しそうと感じた“あづみ野”産生チーズを取り寄せるところから一苦労。
直接だと自分で消費しきれるロットではなく、いったん断念。卸業者が扱ってくれることになってようやく試作開始。
ゼラチンもレモンの酸味も使いたくない、チーズそのものの滑らかさを強調したい、とシェフ。
メレンゲの泡の力なので、トロトロ、フルフル。で、形を保つのがやっと。“自転車でガタガタ持って帰ったら崩れてるかも”というほど。
たしかに、口に入れたとたんに消えてしまっているほどに口溶け滑らかで、泡ですら邪魔という意味がよく分かります。ゼラチンの粘りも、レモンの刺激を伴う酸味も同様に斥けられたのですね。この舌触り、いいですね。
サワークリームやヨーグルトを加えて酸味が強化され、塩も利いているのでけっこうチーズのコクが感じられます。冷やした白ワインとも合いそうな気もしました。
おやっ、チーズ嫌いと言っていたのでは? けっこうチーズの存在感楽しめますよ。
●『アプリコット』 3×8.7cm 高さ5cmほど。

こちらでは珍しく、ムースを使ったケーキ。
口溶けのいいチョコスポンジの上にチョコレートのムース。
スポンジを置いた上に、セミドライのアプリコットをピュレとカソナードで煮詰めたコンポートのみじん切り。
その上に、サバイヨン(?)ベース、ほのかな杏仁風味のムース。
アプリコットのナパージュという構成。
杏仁まで含めて、まさにアプリコット尽し。
アプリコットとチョコの対比がピタリと決まっています。
チョコレートにもわずかに酸味があり、その分アプリコットはややマイルドになっていて無理のない相性の良さが生まれているのでしょう。
マイルドにした分、セミドライの歯応えを残して存在感をアピールするというのが、シェフの譲れない自己主張のように感じました。みじん切りにしてあるので、食べにくさもなく、いい手法。
食べている間はアプリコットが全面に出ていますが、食べ終るとチョコレートの残り香が楽しめ、組み合せの妙もしっかり味わえます。
●『ザッハトルテ』 辺8.7cm 高さ5cmほど。

ホテルザッハのオリジナルとは2つの点で異なっています。
まず、上掛けのチョコレートのなかの砂糖を再結晶(ザッハグラズール)させていないこと。
そして、生地の間に挟むアプリコットジャムをチョコレートに置き換えていること。
すべて、シェフ自覚の上での変更。
もともとは本格ザッハトルテを作っていたそうですが、結晶の粒が嫌われ、チョコレートが酸っぱいなんて、というお客さまの声多数。
いろいろ試した上で、シンプルなチョコレートケーキに落ち着いているのです。
とはいえ、“ザッハトルテを名乗る以上は”ということで、ザッハマッセと呼ばれるチョコレート生地の製法だけは忠実に守っているとのこと。
ドシリとした生地に、これまた重厚なグラッサージュ。
トップのシャンティと一緒に頬張れば、重いけれどじんわりと溶け、たっぷりチョコレートを楽しめます。シンプルで重厚なチョコレートケーキと云えるでしょう。
明るく気さくな奥さんの接客も気持ちよく、地元のお客さんに愛されるお店。
技を駆使してマニアックに走ろうとする道人シェフと、あくまで素人目線の弓恵さん。ご夫婦の綱引きもこのお店の楽しみのうちでしょう。
●『抹茶のプリン』220円 『北アルプスあづみ野 生チーズ』380円 『アプリコット』370円 『ザッハトルテ』380円
●「お菓子の工房 COCON 古今」
神戸市中央区宮本通2-1-13 TEL078-271-2611 定休日/火曜・第3水曜
※ブログ「パイ日和」(http://pie.at.webry.info/201105/article_3.html)にも、このお店のパイを紹介しています。よかったら、どうぞ。
地元の人たちに広く支持され、ジワリジワリと業績を伸しているお店です。
●『抹茶プリン』 器上内径7cm 深さ4cmほど。

たまたま訪問当日、初お目見えの品。
まだショーカードも出来ていないほどのホヤホヤ。
プリンとは名付けられていますが、卵をいっさい使わないジュレのような食感のもの。
抹茶を生クリーム、牛乳などで伸し、葛と寒天などで固めたもの。
上は、ミルクプリン。
ほんのり甘く、とろりんつるりんと粘りのある感触。はじめに食感ありきのプリンと言えるでしょう。
繊細微妙な舌触りの底から沸き起こるのが、抹茶の風味。
焙煎の度合も、粉の目の細かさもすべて特注にして納得の行くものを仕入れているとのこと。ココンオリジナルの抹茶というわけです。
おかげでとても円やかだし、プリンの滑らかさを打ち消す粉っぽさがどこにもありません。抹茶の甘さを堪能した後に、フッとほのかな苦渋さが残り、たしかに抹茶だねと確認するほど。
ミルクプリンがより以上にマイルドな味わいにしてくれているのも見逃せません。
これから暑い季節、ひんやりお抹茶プリンで一服といきましょう。
●『北アルプスあづみ野 生チーズ』 ハート型、4.3×5.5cm 高さ3cmほど。

ふっふっ、ばらしてしまいましょう。
安富シェフはチーズ嫌い。
それで、自分が気に入るチーズケーキを作れば誰にでも好かれるチーズケーキができるだろうと、今回初めてレアチーズに挑戦したとのこと。
チーズ選びからスタートし、資料を見て美味しそうと感じた“あづみ野”産生チーズを取り寄せるところから一苦労。
直接だと自分で消費しきれるロットではなく、いったん断念。卸業者が扱ってくれることになってようやく試作開始。
ゼラチンもレモンの酸味も使いたくない、チーズそのものの滑らかさを強調したい、とシェフ。
メレンゲの泡の力なので、トロトロ、フルフル。で、形を保つのがやっと。“自転車でガタガタ持って帰ったら崩れてるかも”というほど。
たしかに、口に入れたとたんに消えてしまっているほどに口溶け滑らかで、泡ですら邪魔という意味がよく分かります。ゼラチンの粘りも、レモンの刺激を伴う酸味も同様に斥けられたのですね。この舌触り、いいですね。
サワークリームやヨーグルトを加えて酸味が強化され、塩も利いているのでけっこうチーズのコクが感じられます。冷やした白ワインとも合いそうな気もしました。
おやっ、チーズ嫌いと言っていたのでは? けっこうチーズの存在感楽しめますよ。
●『アプリコット』 3×8.7cm 高さ5cmほど。

こちらでは珍しく、ムースを使ったケーキ。
口溶けのいいチョコスポンジの上にチョコレートのムース。
スポンジを置いた上に、セミドライのアプリコットをピュレとカソナードで煮詰めたコンポートのみじん切り。
その上に、サバイヨン(?)ベース、ほのかな杏仁風味のムース。
アプリコットのナパージュという構成。
杏仁まで含めて、まさにアプリコット尽し。
アプリコットとチョコの対比がピタリと決まっています。
チョコレートにもわずかに酸味があり、その分アプリコットはややマイルドになっていて無理のない相性の良さが生まれているのでしょう。
マイルドにした分、セミドライの歯応えを残して存在感をアピールするというのが、シェフの譲れない自己主張のように感じました。みじん切りにしてあるので、食べにくさもなく、いい手法。
食べている間はアプリコットが全面に出ていますが、食べ終るとチョコレートの残り香が楽しめ、組み合せの妙もしっかり味わえます。
●『ザッハトルテ』 辺8.7cm 高さ5cmほど。

ホテルザッハのオリジナルとは2つの点で異なっています。
まず、上掛けのチョコレートのなかの砂糖を再結晶(ザッハグラズール)させていないこと。
そして、生地の間に挟むアプリコットジャムをチョコレートに置き換えていること。
すべて、シェフ自覚の上での変更。
もともとは本格ザッハトルテを作っていたそうですが、結晶の粒が嫌われ、チョコレートが酸っぱいなんて、というお客さまの声多数。
いろいろ試した上で、シンプルなチョコレートケーキに落ち着いているのです。
とはいえ、“ザッハトルテを名乗る以上は”ということで、ザッハマッセと呼ばれるチョコレート生地の製法だけは忠実に守っているとのこと。
ドシリとした生地に、これまた重厚なグラッサージュ。
トップのシャンティと一緒に頬張れば、重いけれどじんわりと溶け、たっぷりチョコレートを楽しめます。シンプルで重厚なチョコレートケーキと云えるでしょう。
明るく気さくな奥さんの接客も気持ちよく、地元のお客さんに愛されるお店。
技を駆使してマニアックに走ろうとする道人シェフと、あくまで素人目線の弓恵さん。ご夫婦の綱引きもこのお店の楽しみのうちでしょう。
●『抹茶のプリン』220円 『北アルプスあづみ野 生チーズ』380円 『アプリコット』370円 『ザッハトルテ』380円
●「お菓子の工房 COCON 古今」
神戸市中央区宮本通2-1-13 TEL078-271-2611 定休日/火曜・第3水曜
※ブログ「パイ日和」(http://pie.at.webry.info/201105/article_3.html)にも、このお店のパイを紹介しています。よかったら、どうぞ。