サミープー (3) 『黒ゴマとけしの実のパン』『ソーセージのパン』『さつま芋のパン』

大阪、地下鉄心斎橋駅から北西に5分ほどのところにあるパン屋「サミープー」。以前の場所から1ブロック北へ移動し、カフェ付きの店になった。
9月にオープンしていたのだが、オペレーションなど、新しい環境に慣れるのに時間が掛かるから、宮本シェフに12月過ぎてから来て欲しいと言われていた。約束通り12月に入って訪問すると、以前同様の充実したパンの姿に出会うことができた。
でも“ランチや夜のピンチョス的な軽食の提供は人材が揃ってから”、とゆったりとした構え。作る側のスタッフも心のゆとりをもってパンや料理に愛情を注ぎ、商品を通じて客にその愛情が伝わるように、との考えのようだ。
そんな商品を介したコミュニケーションというのは、こちらも望むところ。うまく行くといいね。


●『黒ゴマとけしの実のパン』 9.2×32cm 高さ6.2cm 300gほど。
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「バゲット ペイザンヌ」というシリーズのなかの1本。

ペイザンヌ paysanne は、“お百姓さんの”といった意味。
バゲットが日本の食事でいえば白ごはんに相当するもので、じっさい戦後長らく漂泊された小麦粉でクラムの色の白さを競っていた時期があった。

対してペイザンヌは、麦ごはん、黍ごはんに相当する位置付け。
全粒粉が主体になるのだろう。
白の無味の美味しさのような純粋さとは異なる、力強い雑味が魅力。



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もうそれだけで十分なはずなのだけど、これはさらに黒ゴマとけしの実入り。
ゴマ入りのカキ餅を食べているような芳ばしさ。
とくにカリカリに焼けたクラストはその感が強い。
クラムはもっちり。

じんわりと美味しいパンだ。





●『ソーセージのパン』 4.7×18cm 高さ4cm 110gほど。
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良質のソーセージに粒マスタードをたっぷり塗ったものを包んで焼いている。

生地は少し全粒粉が加わったものだろう。
強い引きがこのパンの魅力の陰の力。

ついつい、ソーセージの美味しさに注意が行ってしまうけれど、生地なくしてパンは成り立たない。
最近、具のアイデア競争になりがちだけど、やはりパン生地で競ってほしい。
その点、これはいい。
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家で食べる時はほんの少しレンジで芯まで温めておいて、トースターで表面をあぶるようにすると焼き立てに近くなる。

ああ、ちょっとビールが欲しくなるね。







●『さつま芋のパン』 3.5×24cm 高さ2.6cm 110gほど。
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さつま芋はいずれ名のあるしっかりした甘味のあるものを使っているようで、その甘味だけで満足感を味わえる。

生地はソーセージのパンに近いもっちりタイプ。
もっちりしこしこ、クラストも薄く、クラムを食べさせたがっていることが分かる。

このままではややシンプルにすぎるところ。
表面にひまわり、亜麻仁の種、大麦のフレークをぴっしり張り付けて強烈なアクセントにしている。




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とくに亜麻仁の芳ばしさはさつま芋とよく合っていて、いい組合わせ。
大学芋的な発想かな。






相変わらずゆとりの中に深い味わいを感じさせるいいパン作りだと思った。今度は、もう少しパン自体の話を聞いてしっかり認識して食べることにしよう。



●『黒ゴマとけしの実のパン』300円 『ソーセージのパン』320円 『さつま芋のパン』180円

●「サミープー」
 大阪市中央区南船場4-9-11  TEL06-6282-0058  定休日/不定休