パティスリーアトリエタケ(1)『苺ショート』『ザッハトルテ』『プリン』『ベークドチーズ』『クッキー』

兵庫県西宮市北名次町に、昨年(2011年)9月25日にオープンしたお店「パティスリー アトリエ タケ」さん。阪急甲陽線・苦楽園口駅から徒歩4分ほどの場所にあります。
私たちの地元ですが、通常、ネットで新店情報を探すことは一切しないこともあり、まったく知らずにいました。たまたま、ニテコ池方面に用事があって、初めての通りを選んだら“あれっ、こんなところにパティスリーが!”だったのです。まったく情報のないお店を自分で見つけたりすると、ラッキーな出来事に感じて、心弾みます。

さて、「アトリエ タケ」さんは、オーナーシェフの竹中広明さんご夫妻のパティスリーです。人柄の良さが滲み出た、とても親しみを感じるお店です。
奥様の品のいい柔和な笑顔は、幸せなおやつタイムをさらに心豊かにしてくれるのを約束してくれるでしょう。
そして、広明さんの誠実なお菓子作りの姿勢。1966年生まれの広明さんは、ご出身は「ミルフィーユ」とのことでしたが、ほかにも4、5軒のケーキ屋さんで腕を発揮してきた熟練の職人さん。
“これからは自分が美味しいと思うもの、うそやごまかしのないものを作って、地域の人に愛されるお店に”とのこと。材料も吟味して、国産のもので気に入ったものを選ぶようにしているそうです。


●『イチゴショート』 辺10cm 高さ4.8cm(本体)ほど。
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ジェノワーズと生クリームとイチゴ。

定番通りの組合わせですが、スライスのイチゴは下の層にだけ入っていて、控えめ。
“佐賀ほのか”を使っていて、箱を開けた時からいい香りがふんわりとしていて存在感は十分ですが、使いすぎることをしていません。

このショートの狙いは、儚く消える生地とクリームの美味しさにあります。

ジェノワーズは赤穂の“真宝の卵 ”というブランド(パプリカを食べさせていて、ビタミンEが多いのだとか)の卵を使っていて、色が濃いだけでなく、量は少ないのにコクを感じます。

シャンティは生クリーム47%のものと40%のものをブレンドしているそうです。コアントローをほんの少し使って、クリームの香りの重さを消しています。空気をよく含んでいてふっくらしているけれど、それだけではないトロリ感も強いですね。
ジェノワーズ、イチゴの香りが合わさって、とてもいい風味。

砂糖は極端なほどに控えめですが、その分、軽やかさが強調され、ふ~んわりやわらかさが満喫できます。
一口ごとに、穏やかな気持ちを取り戻せるような、そんな印象の苺ショート。いいですねぇ。




●『ザッハトルテ』 辺7cm 高さ4.7cmほど。
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名前はウィーンの銘菓と同じですが、外観だけコピーした食べやすいチョコレートケーキ。

ココアのスポンジとチョコレート入りの生クリームを交互に3段ずつ重ねて、ガナッシュで覆っています。
ここでも、ふわふわの生地にふっくらトロリとしたクリームの組合わせ。

竹中シェフは、軽やかさを極めていますね。
カカオやチョコレートのほのかな風味を楽しませつつ、少しも重くなりません。
両方にブランデーを少し入れてスッキリ感を作りだし、重さを避けているのですね。

全体を覆っているガナッシュもするりと溶けてくれると、この軽いイメージで全体が統一されるでしょう。我が家は室温が低すぎ、ややもったりしてしまいました。
でも、いいコンディションで食べた時の軽やかなイメージは想像できますね。





●『プリン』 本体径6cm 深さ4cmほど。
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こちらでは、卵はすべて“真宝の卵”を使っているそうです。

このプリンでは、まさにその卵の威力を確認できます。
少しオレンジ色に近い生地の色。そしてなにより濃厚な風味。力強いコク。
プリンに欲しいボディが豊満なほどに整っています。

そして35%の生クリームが加えられていて、食感はねっとりトロリ。
ごくごく低温でじっくり火をいれいるのだろうなぁ。舌に心地よくまとわり、味わいの良さを堪能させてくれます。

カラメルもしっかり焦げ風味を楽しめるのですが、卵の風味を隠すことはありません。ほどのよさ。

全体に濃厚な雰囲気はあるのですが、甘味は抑えられ、意外に軽い。
どうも、何個でも食べたくなる術中にはまりつつある感じですね。




●『ベークドチーズケーキ』 辺9cm 高さ2.5cmほど。
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北海道十勝産のクリームチーズを使った、ベイクドタイプのチーズケーキ。
ヨーグルト、卵、砂糖しか使われていないようです。
底に、薄いスポンジを敷いています。

シェフ自身“塩気が嫌で、クリームチーズは国産のものを選びました。チーズ好きには物足りないかも”と言うほどに、とても大人しいチーズケーキ。

むしろ、卵の風味の方が勝っているくらい。
正直に書きましょう、私たちはチーズ大好きなので“おやっ、これって卵焼きだね”という感想です。

でも、卵焼きだとするとチーズとヨーグルトにコクをもらって、ずいぶん美味しい仕上がり。ふふっ、ちょっと面白い体験でした。




●『ヘーゼルナッツクッキー』(2枚入り) 3.9×4.3cm 厚み0.9cmほど。
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アーモンドプードルの入った、固焼きクッキー。ヘーゼルナッツが入っています。

よく焼けていて、とても風味がいい。
アーモンドもヘーゼルも、ともによく香っています。

面白いのは生地とヘーゼルの固さが同化していて、どこにも違和感がないこと。
固焼きのなかでは軽い方(バターが多い?)で、サクサクと小気味良く崩れて行きます。ヘーゼルを比較的小さく砕いて入れているので、食感が強く出過ぎないのでしょうね。

うん、よく考えられたクッキーです。いいですね。



“うちは地域密着で行きます”明言されている通り、ご夫妻と談笑中にも馴染みのお客さまがちらほら。お向いのマンションから小学校低学年の女の子が一人で、おやつ用の焼き菓子を買いに来たり、おばあちゃんがお孫さんが来るからとにこにこと生ケーキを求めたり…。接客担当の奥様だけでなく、シェフも積極的に参加。自然に会話が弾んでいます。オープン4ヵ月で、もうすっかり地元に溶け込んだ存在となっているようです。
最近流行りの“本格派”のように、どっしとした生地を押し付けてくることはありませんが、品揃えのなかでムースは1種類だけ。ほかは、どれだけ軽い食感にしていても、生地があればこその生地ものを揃えてくれています。時には、このような軽やかな生地もシェフの個性が感じられていいですね。



●『イチゴショート』357円  『ザッハトルテ』346円  『プリン』210円  『ベークドチーズケーキ』315円  『ヘーゼルナッツクッキー(2個入り)』126円

●「パティスリー アトリエ タケ」
 兵庫県西宮市北名次町1-1  TEL0798-72-1857  定休日/火曜&第1・第3月曜