DOMORI ドモーリ社/チョコレート『サンビラーノ』『スルデルラーゴ』『アプリマック』『アッリーバ
もうすぐ、ヴァレンタインデーということもあって、チョコレートが恋しくなります。
口溶けが大切なお菓子ですから、本当は適温と言われている15~18℃くらいの季節がいいんでしょうけどね。

さて。今回ご紹介する「DOMORI ドモーリ社」、最近、シェフの間でずいぶん評判のチョコレートのようです。
「サロン デュ ショコラ」でも、こちらのブースは知名度が低いので一般客は少ないのですが、シェフの訪問が途切れないという盛況ぶりだそうです。
というのも、輸入会社のホームページによると、カカオ豆に含まれている以上のカカオバターを加えないという方針により、品種別カカオマスと砂糖のみ。
よって、カカオの品種別、生産地別のチョコレートがそれぞれとても際立った個性を発揮するようになったのだそうです。アロマ性が高いとも書かれています。

社長のジャンルーカ・フランゾーニさんは元々小説家志望で、マック・ドモーリというペンネームで活動し、ベネズエラに居を構えていたときに、カカオの魅力に囚えられたとか。
その後、絶滅しかかっていたクリオロ種の復活を手掛けるなど、単一品種チョコレートの魅力を切り開いた会社なのです。
これなら、シェフたちが飛びつくのも無理ないですね。
●『サンビラーノ Sambirano 』 6.5×7.5cm 厚み0.3cm 25gほど。

トリニタリオ種マダガスカル産。 70%。
「ロトス洋菓子店」がチョコレートケーキの『サンビラーノ』や『オペラ』に使っているもの。
同じ70%のものでありながら、とても力強く個性的なチョコレートです。香り高く、持続時間も長い。
説明ではベリー系の香りと書かれていますが、サンビラーノの香りというほかないような独得の香り。焙煎香燻し香、どこか金臭いようなキーンとした刺激もほんの刹那、かすかに感じられます。
そしてベリーとは特定できないけれど、フルーツの香り。
渋みは弱く、苦味は重く円い。そして、なんといっても酸味。チョコレートとしては稀にみる強度です。その強さが『サンビラーノ』を特別な存在にしていると云えるでしょう。
●『スルデルラーゴ Sur Del Lago 』 6.5×7.5cm 厚み0.3cm 25gほど。

トリニタリオ種ベネズエラ産。 70%。
香りの特徴は弱く、苦味と渋みがかなり強い。豆自体が持つ甘味が弱いようで、苦さと渋さが前面に強く押し出されています。
70%のチョコは苦くて当然という部分はあるのですが、甘味や酸味があると緩和されて感じるのですが、渋みとの組合わせとなると、より強調されるようです。
これは大人のチョコレート。ストレートな焙煎香と苦味。
それを楽しんでいると、後口が甘く感じられてくるのですね。
●『アプリマック Apurimac 』 6.5×7.5cm 厚み0.3cm 25gほど。

トリニタリオ種ペルー産。 70%。
これは70%とは思えない、優しい味わい。フローラル系の甘い香りに満たされます。ミルクっぽい柔らかな甘さも含まれていますね。渋みがほとんどないところが優しさの源なのでしょうか。
軽くベリーを思わせる酸味が、薄っぺらに感じさせないポイント。素直に美味しく、誰もが納得する美味しさと云えるでしょう。
優しい味わいのものとしては、ほとんど例外的に個性的。ありがたい存在です。
●『アッリーバ Arriba 』 6.5×7.5cm 厚み0.3cm 25gほど。

ナショナル種エクアドル産。 70%。
説明ではヘーゼルナッツ、熟したバナナの香りと書かれています。
ふーん …… 食べてみると、特定できないナッツの香りのような戻り香があり、酸味や渋みがあるせいかバナナは青い未熟のものに感じられます。
このあたりの感じ方は、説明にリードされている可能性もありますね。ははっ。
口溶けの良さが魅力で、青いにせよバナナやナッツのようなふくよかさがあるのが魅力です。
チョコレートの食べ比べは難しいですが、これだけ個性を磨かれていると、さすがに楽しめますね。フランゾーニさんの情熱がひしひしと伝わってきます。
お店で使う卸の価格もかなり高いようなので、急速に広がるということはないでしょうが、今後のチョコレート、チョコレートケーキのキーワードになることは間違いないのではないでしょうか。
強い個性のチョコレートをシェフたちがどう使いこなすのか、出会いを心待ちにしています。
●『サンビラーノ』『スルデルラーゴ』『アプリマック』『アッリーバ』各25g @315円
●「ドモーリ社」 イタリア・トリノ市
輸入者 株式会社ノンナ・アンド・シディ
東京都大田区上池台4-25-20 TEL03-3748-2898