コンセントマーケット (6) 『バゲット』『カンパーニュ ボワ』『かのこ豆と穀物のパン』

兵庫県西宮市、阪急神戸線・夙川駅の南東1分のところにある「コンセント マーケット」。先頃オープン2周年を迎え、ますますお客さんで賑わっている。
最近、夙川近辺はすっかりパンの街になった感がある。駅から5分以内に、6店のパン屋が集中している。
“そんななかで、自店が選ばれているのだから、期待を裏切らないパンを焼かなければ”と岩井シェフは語っている。
競争に勝ち抜くこともあるが、むしろ、いかに自分の思い描くパンを焼きつづけるか、そのための体制をいかに整えるかに意識が集中しているようだった。


●『バゲット』 7×33.5cm 高さ5.5cm 230gほど。
画像
以前にも紹介しているけれど、シェフはすべてのパンがどんどん変わっているという。

とくにこのバゲットは粉を変えたとか。国産小麦100%、天然酵母。

断面を見て分かるだろうか、生地の色が濃い。
黄色っぽい生地にはよく出会うけれど、これはその段階を通り越して、やや薄茶色っぽさを帯ている。よほどミネラルが多いのだろうか。
はたして、味わいが深い。

クラストがカリカリに焼けていて香ばしいし、クラムはしっとりもっちり。素晴らしい引きの強さ。

内相に大きな気泡が出来ているところがあったのだが、その部分の薄膜は透明でピカピカ。コネが十分で、醗酵も十分な証拠。

香ばしい華やかな香り以外にも、粉の香り、醗酵の心を落ち着かせる奥行きの深い香りがする。
味わいが深くて食事の主役にもなれるようなパンだが、その前に、種々の香りだけで満足を味わえるだろう。

画像奥さんの由紀子さんは、“いつもはもうほんの少し伸び伸びしてるんですけどね”とにこっと一言。

この日は湿度が高く、ずっと寒かったのに急に温かくなった日。
ベンチタイムの間にも盛んに湧いて、やや醗酵オーバーだったのかもしれない。それでもこのレベルを保つというのは大したもの。

パンは生もので、天気相手。小さな波があって当然だし、聞いた話では、パリでは有名パン屋ですら荒波だそうだから。
パンを食べながら、その日の気候やら温度やらに思いを馳せるのは、じつは面白い。




●『カンパーニュ ボワ(1/2)』 9×10.5cm 高さ5.9cm 240gほど。
画像
こちらの定番の“石臼カンパーニュ”の生地にクルミ、カシューナッツ、マカダミアナッツを練り込んで焼いたもの。

元々カンパーニュが美味しい上に、ナッツの旨味が充満していて、美味しすぎるほどのパン。

マカダミアなんてものは、ただシャリシャリするだけと思って、どちらかというと避けていたのだけど、しっかり火が通って香ばしく、甘味が湧き出てきている。
クルミがあまりに美味しくて、個性的なはずのカシューの影が薄くなるくらい。
画像

クリームチーズやシェーブルと相性がいい。いいね。










●『かのこ豆と穀物のパン』 7.2×8.8cm 高さ4cm 110gほど。
画像
ヘルシーな菓子パン。
豆類の甘煮の優しい甘さが、人なつっこい。

豆は商品名にうたわれている“かのこ”だけでなく、ウグイスや黒豆、インゲンなどかなりの種類が入っているようだ。穀物もゴマ、亜麻仁、ライフレークなど。さらにオレンジピールも入っている。

表面は胡麻油(?)を塗ってカリッとさせていて、抜かりがないね。

画像特筆すべきは、これだけ複雑にいろいろ入っているのに、味の混乱がない。
豆の甘煮のベースがしっかりしていて、穀物の刺激が心地いいアクセント。

なんだか食べていて楽しくなるパンだ。





調理パンに独自の感性と閃きに満ちたアイデアを盛り込んでいて、人を惹き付けてやまない。
でも、その美味しさの根底にあるのが生地。商品群を縦に追って行くと、一番奥にあるのが、その商品群の基本となるパン。バゲットであり、石臼カンパーニュであり、フォカッチャであり、と岩井シェフの根底にある指向を推し量ることのできるパンだ。
その武骨な見掛け、力強い男性的な味わい、これがいいんだな。



●『バゲット』242円  『カンパーニュ ボワ(1/2)』378円  『かのこ豆と穀物のパン』221円

●「コンセントマーケット」
 兵庫県西宮市寿町5-15  TEL0798-23-0707  定休日/月曜・第2火曜