エス・カガワ(2) 『バゲット』『パン スーヴニール』

大阪、地下鉄谷町線中崎町駅からすぐの「ブーランジェ エス・カガワ」。加川慎二さんの店だ。じっくり粉の旨味を抽き出すことに長けた、若いけれど腕っこきのパン職人。
注目していながら半年以上、間が開いてしまった。うかうかしている隙の、7月に1周年も過ぎ、若手は着々と味わいに深みを増し、自信も深めているようだ。


●『バゲット』 44×5.2cm 高さ3.9cm 210gほど。
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う~ん、姿がいいね。
焼き色の深さ、クープの美しさ、申し分なく、見た目でもう、そそられてしまう。

フランス産の石臼挽き小麦粉を使って2日間かけてじっくり醗酵させているとか。
それでもまだ内相は肌理の細かな気泡が主体。よほど低温で醸しているのだろう。

クラストはバリッと歯切れ良く、クラムはもっちりと気持ちのいい弾力を備えている。
クラストを厚くしすぎていないので、フリュートと呼びたくなるような細いプロポーションでクラスト主体となっても重くなりすぎていない。
よく焼けている上にクラストの比率が高いので、香り高い。
最初から最後まで香りを堪能できる。意味のあるプロポーションなのだ。


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クラムも負けていない。いい粉、じっくりと時間を掛けた醗酵で旨味が十二分に抽き出されている。
前回にも言った通り、塩を控えているので、旨味は粉と酵母の味わい。


これだけインパクトの強い、印象の強いバゲットを塩分控えめで達成するとは、見事というしかない。





●『パン スーヴニール』 14.5~16.5×13cm 高さ3.5cm 250gほど。
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1周年記念と書かれていた。
好評だったのか、2ヵ月過ぎた今も作ってくれていた。あるいは、新たに定番に加わったのか。
細いリボンを掛けた姿が洒落ている。

粉は石臼挽き粉がメイン。ほかにも色々とのこと。
加水の多い生地にグルノーブル産のクルミ入り。
こちらは、水分多めのためかもっちりどっしりした生地だが、気泡はかなり大きい。

クルミはちらほら程度でさほど大量に入っているわけではない。
それなのに、たっぷり味と香りが行き渡っている。よく煎られていて、じつに芳ばしいのだ。
とくにクルミのところに当たった時はクルミの油脂が全体に広がって、すばらしく美味しい。
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記念日に大きく遅れて行ったのにありつけたのが、嬉しくなる出来映えだ。






連休初日の土曜日ではあったが、4時過ぎたばかりだというのに、残すは数点のみ。前回気になっていたタルトが買えなかったのは残念だが、ハード系が首尾よく残っていたのが幸いだった。
自分の出したい味わいの着地点と、醗酵、焼きの技術の関係を明確に把握していることが、この2つのパンだけからでもよく分かる。それだけ説得力のあるパンだった。



●『バゲット』250円  『パン スーヴニール』473円(※切り分けたサイズによって値段が異なる)

●「ブーランジェ  エス・カガワ」
 大阪市北区中崎1-10-10  TEL06-6374-0181  定休日/火曜・水曜