デリチュース(8) 『億千米ロール』『白いチーズケーキ』『大使館ショコラ』

北摂で圧倒的な人気を誇る「デリチュース」さん。
豪雨の日も雨が上がった直後から、満員だったとか。その人気を支えるのは、誠実なケーキ作りの姿勢、分りやすく滋味豊かな美味しさ。
今回もまた、明確な美味しさが伝わってくるケーキでした。


●『億千米ロール』 幅10cm 奥行4cm 高さ5.3cmほど。
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大人気商品『たまごロール』の姉妹品。
これこれっ、気持ちがほっこりと温かくなるような黄色の生地、好きだなぁ。

億千米とは、醗酵発芽玄米の商品名で、1袋25kgにたいして2億4千万個の乳酸菌を蓄えているから、億千の名があるとか。

長岡シェフは“まぁ、アイテムの一つですね”と謙遜しますが、なかなかどうして、米粉を使った生地は『たまごロール』以上にしっとり感の強い仕上がり。しっとり感が強すぎて、ロールに巻く作業が難しいとのこと。

そう、しっとりは生地がくっ付きやすくなるのです。だから、復元力のあるふわふわを実現するのは至難の技。
泡をたっぷり含んでふっくら柔らかな感触は“たまごロール”同様。手で触るとすぐに指の跡が残りますが、じんわりと元の姿に戻っていく強さも併せ持っているのです。

あまりに柔らかいので、大切にそぉーっと口へ運ぶと…… ふわふわぁ~。
えーっ、こんなにまで、しっとりふわふわなのですねぇ。巻くのが大変なのがよく分かります。

少し甘みが強い分、クリームにリンゴの白ワイン煮でトロトロになったものを刻み込んでいます。
その、ほんのかすかな食感と風味が、生地に対抗しつつ、うまく寄り添い、美味しさを強調しています。

シンプルだけど、素晴らしい味わい。謙遜なんか似合わない、ちゃんと個性を確立したロールですね。





●『白いチーズケーキ』 辺8cm 高さ4.8cmほど。
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これはクレームダンジュの表面を焼いたものだ、と思い込んでいました。

ところが、違うのです。

シェフの認識では“スフレチーズケーキ”。
表面の数ミリだけが食感が変わるところまで焼けているように感じるのですが、じつは“しっかり中まで焼き切っています”とのこと。

焼き切っていて、なおかつ表面に焼き色を着けないところが、このケーキの魅力の源泉、と云えるでしょうか。

中に射込まれているペパン入りのフランボワーズジャム、シュワシュワと消えるメレンゲの食感、淡いチーズの味わい。その3つの組み合わせから、てっきり、クレームダンジュのアレンジ、保形性を持たせるためのいい発明だと思い込んでいました。中まで焼き込んでいるとはねぇ。

ほのかに塩分の感じる優しい味わいのチーズに、時折、フランボワーズのキュンとした酸味と、ぺパンのアクセント。王道ですが、やはりいいですね。

ともあれ、見事な味わい。気に入りました。





●『大使館ショコラ』 3.5×7cm 高さ3.6cmほど。
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スイスのチョコレートメーカー、フェルクリン社のココアを使った生地と、チョコレートを使ったガナッシュを重ねています。
4回繰り返し。シンプルな構成です。

香りが高く、箱を開けたときから漂ってきます。

ふうぅ。はかないほどの、なんて柔らかな生地なのでしょう。
ガナッシュから水分を吸っているので、シュルッと溶けるほどの感触です。

でも、食べているとガナッシュの滑らかさが際立っているのに、どうしても生地を食べているような錯覚に陥ります。いやいやぁ、どうみてもガナッシュのとろける美味しさ。
…… んんぅん? 不思議な口溶けの世界へ。

シェフ曰く“固さが同じになるように調整していますからね”。
あぁなるほど。
だから、“ガナッシュでありながら生地、生地でありながらガナッシュ”という混同が生じるのですね。ふーむ、素晴らしい!

ちなみに、菓子名は、ブルガリア大使館勤務を経験した知人から教えてもらったレシピを参考にしているので、その人のネーミングをそのまま使っているとか。
“自分が名付けるなら、レジェール、とか、もう少しお洒落なものにするでしょうね”。
あはははっ、他人事みたいに飄々としているところが、長岡さんらしいな。




今回も期待に違わぬ美味しさ。いずれも、シンプルだけど深いですね。



●『億千米ロール』230円  『白いチーズケーキ』350円  『大使館ショコラ』350円

●「パスティチュリアデリチュース」
 大阪府箕面市小野原西6-14-22  TEL072-729-1222  定休日/火曜、第1&3月曜