お菓子の工房 ココン(8)『木いちごのケーキ』『雅(みやび)』『カシスショコラ』

阪急神戸線、三宮から一駅目の春日野道駅から、北へ3本目の道路を東へ5分ほどのところに「お菓子の工房ココン(COCON)」さんがあります。
地域に愛されるファミリー向けのお店で、私たちにとっても“見つけた”感の強いお店です。
当日も、食べ歩きが趣味だという大阪の中華料理屋さんが、「ここほど美味しいお店はないうえに、びっくりするほど安い」と、親娘でわざわざ訪ねてきていました。
未体験の方も、ぜひ発見の喜びを味わってみてください。


●『木いちごのケーキ』  径8cm 高さ(本体)4.5cmほど。
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わぁ、きれいな赤! 
ショーケースで一際目立っています。

この美しさ、じつは難行苦行の末に到達した技に支えられているとか。

ジュレに見えますがじつは、木いちごのナパージュ。
ペクチンなどで固めているのですが、中のムースを邪魔しない溶け心地と酸味で、しっかり覆うことが難しいようです。
一度はショーケースに並べてから数時間でずり落ちてしまったことも。開発中は固すぎたり、ひび割れたりと、苦労したそうです。

その甲斐あって、どうです。
艶のある美しさと美味しさ、適度な刺激の酸味を実現したのです。

中は、ディプロマットの配合を逆転したカスタードのムースを木いちごのムースで覆ったもの。木いちごのフレッシュも入っています。
ナパージュの酸味が一瞬過ったところに、淡い優しい甘酸っぱさが口いっぱいに広がります。

そうそう。パールクラッカンも隠れていて、サクサクッと食感のリズム感を生み出しています。退屈させないように心配り。

この味わいは癖になりますね。





●『雅(みやび)』  器/上径7.5cm 高さ5.5cmほど。
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一転して、和の世界。

緑も茶も渋く底光りする感覚が心地よいですね。

もちろん、抹茶を使っているので紫外線の影響で色合いが劣化するのも自然の摂理。
変に生々しい色を保っているものより、かえって美しいかもしれません。

抹茶を主役に仕立て、抹茶のシャンティ、ムース、ゼリーという3つの味わいのグラデーション。
とくに、味わいの持続時間の長いゼリーのおかげで、最初から最後まで抹茶が強く感じられます。
ホワイトチョコ入りのクリームでまろやかに支え、ビスキュイで全体の持続時間の延長を図っています。

アクセントに、相性のいい小豆。自家製の黒蜜を絡めています。
粒餡もシロップと黒蜜で伸ばしたもの。黒蜜は黒砂糖だけでなくきび糖も使っているとか。

安富(あどみ)シェフの凝り性と遊び心が細部にまで盛り込まれています。結果の上品さが嬉しいですね。

上等の和菓子をいただいたような、心が和む想いがほんわかと漂ってきます。





●『カシスショコラ』  3×9.5cm 高さ4.3cmほど。
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以前に『カシスノワゼット』をご紹介していますが、これはその進化形と云えそうです。
複雑に幾層も重ねていたものが、シンプルに整理され、味の純度が高められた、そのように感じました。

おっ、澄んだピュアなカシス。いいなぁ。

カシスクリームに、カシス特有のアクのようなものが感じられない味わいを作り出しているところが絶妙。

カカオバター含有量の少ないホワイトチョコ風の製品を加えることでアクをマスキングし、酸味の角を取ることに成功しているのです。
この製品がカカオバターの重い風味ではなく、軽やかなミルキー風味で、練乳を加えたような効果を発揮。

ふむ、素材は使い様ですね。素材を知り尽くしている安富シェフならでは。

支えるのは、ジョコンド・ショコラと自家製のヘーゼルのプラリネ入りのガナッシュ。
チョコとの組合せは当たり前ながら安定感があり、ヘーゼルとカラメルの香りで幅が広がり、ザクシャリッとした食感の刺激が楽しく、ジョコンドの存在感が全体に力強さを与えてくれています。
トップのカシスの粒も強い酸味のアクセントとしてよく利いています。

いやあ、スッキリと美味しかった。お見事!






夕方にお邪魔してほとんど売り切れ状態。残るはこの3種と『バウムパルフェ』のみ。
パルフェは子供向けに“アンパンマン”のイラストだったので外しましたが、内容的にはトライフルなので、きっと美味しかったのでしょう。
これから最後に来られるかもしれないお客さんにも残しておいた方がいいかなと判断したのですが、惜しいことをしたと、食いしん坊は後になってぐずぐずと考えてしまいます。

それにしても、残りものに福ありというべきか、それとも無くなっているものはさらに美味しかったのか。安富さん、腕を上げています。
奥様の弓恵さんも一時期厨房に入った経験からか自信に満ちてきたし、若いスタッフの谷さんも笑顔がこぼれているし、お店の元気な姿に触れるのは、こちらも幸せを貰うような気持ちがして嬉しいものです。ケーキ屋さんて、そういう役割がありますよね。
その点、「COCON」さんは、美味しくて、安くて、一人ひとりのお客さまに気を配ったサービス。心温まるお店だと断言できます。お客さまのニコニコ顔を見れば一目瞭然。



●『木いちごのケーキ』370円  『雅(みやび)』『』450円  『カシスショコラ』390円

●「お菓子の工房 ココン」
 神戸市中央区宮本通2-1-13-102  TEL078-271-2611  定休日/火曜