デリチュース(10) 『マンデル シュトーレン』(非売品)

大阪府箕面市、阪急電鉄千里線の終点、北千里駅から北東に20分ほどのところにある「パスティチュリア デリチュース」さん。
四半世紀ほど前から、クリスマスの時期に、毎年2、3本食べているシュトーレンのご紹介です。
このシュトーレンに何故にこうもこだわるかというと、美味しさはもちろん、忙しい歳末に、ほっとできるひとときを提供してくれ、あぁ今年も終わりだなぁとしみじみさせてくれるからかもしれません。こうやって、毎年1年を締めくくる。私たちにとって、なくてはならないとても大切なお菓子なのです。
今年の3本は、西宮のブーランジュリー&カフェ「オンコーアンマタン」さん、東京のパティスリー「シェフ フジウ」さん、そして、しんがりは箕面の「デリチュース」さんとなりました。

さて。「デリチュース」さん、大好きなお店だというのに、これまでシュトーレンはほとんど作っておられなかった(1回のみ)ので、初めての登場となりました。
ずっと以前に、長岡シェフから、ホテル時代に作っていたシュトーレンの美味しさを聞いていただけに、一体いつになったら作ってくれるの? と、いまかいまかと待ち焦がれていたのです。


●『マンデル シュトーレン』   長さ22.5cm 幅10cm 高さ4.2cm 430gほど。
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長岡シェフの「守口プリンスホテル」時代の名物。
スタッフたちがお客を差し置いて、争って予約したという曰く付きのお菓子です。

もう、これだけで食べたくなってきたでしょ。ふふふっ。

「デリチュース」をオープンしてから1度だけ焼いたことがあり、今回10年ぶり。
その間、10年前に食べた人が、ずっと「今年は作らないの?」とリクエストをつづけてくれたことへの恩返しとして、プレゼントしたとのこと。

多忙を極めるスケジュールのなか、半日ポッカリ開いたので、この日しかないと、朝4時から作業を開始して昼までに完成させたそうです。
レシピがシェフの頭の中にしかなく、普通は試作して、そのあと、微妙な調整を繰り返して完成させるところを一発勝負だったために、自己採点で70点の出来だそうです。
それと、フルーツ類を漬けておく時間が短かったから点数が厳しくなっているのでしょうね。


画像さてさて、70点がどれほどのものか食べてみようではありませんか。

薄力、強力半々、生イーストを少し多めに入れ、1次醗酵50分、醗酵の勢いがよく、分割を一気にやりおえ、50個ほどの成形を、どんどん醗酵が進む中、30分ほどで済ませてしまうとのこと。
パートダマンドクリュ(マジパン棒)が入るほか、アーモンドのホールがチラホラ入っています。
だからマンデルと名乗っているのですね。


画像中に入るフルーツは、本来半年以上1年近くもお酒に漬け込むものであるところを、思い立って1週間しかなかったので、少し香りが馴れていないというデメリットを抱えています。
お酒はブランデー、オレンジキュラソー、グランマニエなど。
オレンジとレモンのピール、レーズンのみというシンプルさ。

ところがそれとは別に、フルーツエッセンスが生地に練り込まれているのだといいます。
それは自分で作るフルーツペースト。
レモン、グレープフルーツ、パッション、マンゴーなどなど。さまざまなフルーツを1時間炊いてブレンダーにかけたもの。これは初体験ですねえ。
さらにエピスが入りますが、五香粉で代用。

焼き上がったものを浸ける澄ましバターはカルピスバターを使い、一度沸かして、アクとして浮いてくる乳の部分と底に沈む水分を完全に取り除いた、乳脂100%、という贅沢さ。
こうすることで香りが澄み渡ることに加えて、劣化が防げるとのこと。

非常に細かく砕いたグラニュー糖(ヴァニラシュガー)に、さらに粉糖をた~っぷり。



画像ほほぉ、これだけの能書きのあるシュトーレンも珍しいですね。
最近のフランス菓子店が作るフルーツたっぷりの贅沢さ(ベラベッカ風ともとれる)ではなく、たっぷりの生地そのものの美味しさがメインになっています。
香りの元があれもこれもと沢山入っていますが、まったく喧嘩することなく、複雑かつ繊細でとても品がいいですねえ。

少し固めによく締まった生地がスルリと溶け出す感覚も素敵だし、マジパンの餡を食べるような懐かしさ、アーモンドの弾ける香り、レモンやオレンジのピールの香りの爽やかさ。
バターも香るし、ヴァニラも。そして、レーズンの軽い酸味。
華やかな印象です。ふううぅ。
ほのかな優しい味わいで、もう一切れ、もっともっとと食べたくなるほど。千変万化で飽きさせないのがいいのでしょうね。うん、気に入りました。

今年の『マンデル シュトーレン』50本は、残念ながら非売品です。
でも来年はスタッフが充実するので、ノウハウを教え込んで、作らせてみたいとのことなので、発売が期待できそうですよ。
来年の百点満点にさらなる希望を託して、とても美味しいのだけど、“お見事”の言葉は1年保留ということにしましょう。



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そうそう、いつものことながら、パッケージ(紙袋、箱、ラッピング用紙)、なんて素敵なのでしょう。
ワクワク感満載。クリスマス商品はこうでなくっちゃ、ね。




それでは、みなさん、メリークリスマス!




●『マンデル シュトーレン』参考価格2000円(非売品) 4.65円/g

●「パスティチュリア デリチュース」
 大阪府箕面市小野原西6-14-22  TEL072-729-1222  定休日/火曜、第1&3月曜