レーヴァンデユース(1)『ショコラ』『シューアラクレーム』『焼菓子6種/フィナンシェ、マドレーヌ、…

神戸市灘区、阪急神戸線・王子公園駅から東へ5分。水道筋商店街を山側に抜けて、2、3分のところにある「レーヴァンデ ユース」さん。昨年、2013年5月5日にオープンした新店です。
オーナーシェフは、岸本哲男(1972年生まれ)さん。一人で作っておられます。
訪れた日は、生ケーキ12種ほど、焼菓子19種ほど並んでいました。北欧風の木の扉を入ってすぐに、工房が見えます。なんだか親しみが湧きますね。


●『ショコラ』  3.5×7.5cm 高さ6cmほど。
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チョコレートそのものを楽しむケーキ。

ビスキュイサンファリーヌ、パータボンブベースのクレームショコラオレ。
パータグラッセでコーティング、アーモンドダイス入り。

何よりも、しっかり風味があることが嬉しいですね。
すべての材料が高騰しているなかで、この価格でこの味わいの豊かさは稀有。

有難い思いで、一口。
表面のパリンと締まったパータグラッセに守られて、中はふわふわ。
サンファリーヌが柔らかいのは当たり前ですが、クリーム類の柔らかさは格別。泡がへんに自己主張せず、滑らかさと儚さにひたすら貢献しています。

チョコレートを軽やかに体験できることに加えて、クレームショコラに入っているVSOPが入っているせいか、キリッとした感じもあります。




●『キャラメルミルクポワール』  3×7.5cm 高さ5.2cmほど。
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アーモンドのビスキュイ、ミルクカラメルのムース、ビスキュイ、ヴァニラのムース。
中とトップに、洋梨のコンポート。
トップの表面は、コーヒーエッセンスで軽く彩られています。

最近“キャラポワ”は定番のお菓子として認知されてきていますが、カラメルを強く焦がして、その強い風味の中で、ポワールを浮き立たせようとしています。

しかし、こちらのものは焦がしが淡く、ミルクも加えられているので、優しいコクが魅力となり、ポワールとの一体感が高められています。

ふんわりとした柔らかさのなかに、軽やかなほろ苦さと、ほのかな甘酸っぱさが素直に美味しいですね。




●『シューアラクレーム』  径9cm 高さ5.5cm 80gほど。
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フランスパン用の中力粉で皮を作り、センターにクッキー生地(アーモンド入り)を載せて焼いています。
カスタードは生クリームが加わった、ディプロマットタイプ。

クッキー生地を載せたことで、皮のサックリ感が増し、軽やかな食感。

生地は中力粉を使うことで柔らかすぎず、硬すぎない食感が得られたとのこと。時間が経っても柔らかくならないし、窯伸びが良く、縦によく浮いてくれるという。

クリームは卵より牛乳の風味が強いくらい。キルシュが入っているので、後口まで軽やかで、柔らかな味わい。

シュークリームに求められる魅力を一つひとつクリアした結果がここにある、という感じがします。




●『フィナンシェ』  4弱×8cm 厚み2cm  30gほど。
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溶かしバターを使い、卵白も割卵したてのものを温め、作業性を高めて使用。
かなりの高温で焼き、途中で天板をかませたりして、焦げるのを防いでいます。

バターの香りが高く、アーモンドも香っています。
高温で焼いているため、わずかに卵白のモロッとした食感も。

それよりもふんだんに使ったバターが滲みだすジュワッと感がたまりませんね。
ふふっ、いいなぁ。






●『マドレーヌ』  6.5×6.5cm 厚み2.5cm  30gほど。
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レモンがピールで香り付けするのではなく、ジュースを使っているのが珍しいですね。

シェフは“クラシックなマドレーヌにしたい”との考え。

このマドレーヌは、中はサクサクと比較的軽い食感でいながら、ジュースのせいでややコクのある味わいになった生地が、なぜかチーズが加わったような印象を受けました。

ちょっと不思議だけど、それだけ美味しいということ。
余所では味わえないマドレーヌです。





●『ガレットブルトンヌ』  径6.5cm 厚み1.5cmほど。
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軽くアレンジの加わったガレット。
現地では様々だと言いますから、アレンジの内に入らないかもしれませんが。

一口齧ると、ザクッザクザクッ! 
お約束通りの、心地いい食感。

ヘーゼルナッツのダイス が利いていて、たっぷり使われているラム酒とともに、香り高いガレットとなっています。

焦げ茶色になるまでしっかり焼き込まれていますが、少しも苦みを出していません。
そこが、素晴らしいところ。風味の高さを追求しながら、けしてやり過ぎない節度を心得ています。

こういう焼菓子が食べたいんですよね。





●『フロランタン』  3.5×7.5cm 厚み1.6cmほど。
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誰が作っても美味しいはずのお菓子ですが、“ああ、いいね!”と相槌を打てるものは案外少ないのが現実。

カラメルがぬちゃついたり、アーモンドの香りが弱かったり、サブレ生地とのバランスがもうひとつだったり。
なかなか満足できない“フマンタラタラン”のことが多いのですね。

ところが、こちらのものはカラメルはカリカリ、アーモンドは香ばしく、よく焼き込んでいるけれど少しも苦みのないサブレ生地とのバランスも絶妙。

ほほっ、いいですねぇ。





●『マンデルゲベックショコラーデ』  3×6.3cm 厚み0.5cmほど。
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ホロ苦のチョコ生地にアーモンドダイス、チョココーティング。

軽いサクサク感が心地いいですね。アーモンドは量が少ないにもかかわらず、ちゃんと香りが弾けます。

生地のほろ苦加減とチョコの甘い香り、優しく慰撫してくれるような甘い味わいの対比も決まっています。

プチフールと呼んでもいいような、なんでもないお菓子ですが、こういうところに手抜きのない、美味しさの追究があるのが嬉しい限り。
岸本シェフの心意気を感じます。





●『ケークオフリュイ』  6×7.5cm 厚み1.5cm 60gほど。
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一転して、ジットリとした柔らかな食感なのに、ハードな内容のケーク。

フルーツを漬け込むのにコニャックのVSOP、洋梨のリキュール、オレンジのリキュール“ソミュール”の3種をたっぷり使っていて、生地にフルーツを加える際に、お酒を切らずにドバドバ入れているようです。

レーズン、ドライいちじく、アーモンド、クルミ、レモンとオレンジのコンフィが入って、華やかな印象。

お酒がさらにそれを高めてくれています。酒好きの方なので、嬉しい限りですが、弱い人やコドモちゃん舌の方はご注意。

後からフッとかすかにシナモンを感じたりするあたりが、ますます大人好みのリッチなケーキです。





岸本シェフはお菓子の説明にかなり遠慮がちに応えてくれました。オープンしてから1年経っていませんし、お客様の好みをまだ手探り状態、自分のすべてを出し切れていない、というような思いもあるのでしょう。
誤解を恐れずに言えば、鬼面人を驚かせるようなお菓子はないですし、ニュース性のあるお菓子でもありません。
でも、お菓子の日常性ということを考えれば、穏和で納得感の高い味わいを築いていることの素晴らしさを感じずにいられません。
落ち着いた優しい人柄で、お客様とのやりとりを眺めていると、早くもこの土地の新たな顔として定着しているようですね。
この地域に、ケーキの明かりを灯しつづけてほしいものです。



●『ショコラ』400円  『キャラメルミルクポワール』420円  『シューアラクレーム』180円  
『フィナンシェ』190円  『マドレーヌ』170円  『ガレットブルトンヌ』170円  『フロランタン』170円  『マンデルゲベックショコラーデ』(2枚入り)170円  『ケークオフリュイ』210円

●「洋菓子店 レーヴァンデ ユース」
 神戸市灘区水道筋5丁目2-10-102ハイマート王子公園  TEL078-882-5568   定休日/水曜、第1・第2火曜  営業時間/10:00~19:00

※ブログ「パイ日和」では、このお店のタルトを紹介しています。