パティスリーショコラトリー エメラ(2)『ボンボンショコラ6種』

奈良県生駒市、近鉄奈良線・富雄駅を南へ降りてまっすぐ1分。ここに創業1970年の「パティスリー ショコラトリー エメラ」さんがあります。
初代、藤原洋治さんが築き上げたお店。昨年、2013年10月下旬に、ご子息の尚樹さん(1973年生)が2代目シェフに就任。接客は奥様の伊公子さん。
お店をリニューアルするとともに、レパートリーも2代目のルセットのものがほぼすべてを占めるようになりました。凛とした姿のケーキが美しく並んでいます。
なんといっても、他店との大きな違いは、年中チョコレートを作っていること。店名からもわかるように、尚樹シェフ、ショコラティエでもあるのです。
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※写真 手前中央の唇型から時計回りに、
『ローズライチ』
『パッションシトロンベール』
『プラリネフランボワーズ』
『キャトルフリュイルージュ』
『スペキュロス』
『カフェ』

なお、シェフが修業したベルギーでは、ボンボンショコラとは呼ばず“プラリネ”と呼ぶのが普通だそうです。





●『ローズライチ』  5.3×2.5cm 唇の厚さ1.8cmほど。
おぉ! ショッキングな真っ赤な唇。サスペンス映画では蠱惑的な誘惑から事件が起こるんですよね。
ローズライチはピエール・エルメ以来定番になった感があります。
が、アラン・デュカスはライチが元々バラの香りがすると言っていたように記憶しています。相性が良くて当たり前。不思議な組み合わせではなかったようです。
でも、このプラリネを一口食べると、改めて相性の良さに目を見張りました。
カバー、ガナッシュともにホワイトですが、ゆっくりトローリと溶けるにしたがって広がるバラの香りの豊かさ、ライチの優しい甘さ。
うっとりしてしまって、事件に巻き込まれるだけの素早い行動も取れそうにないですね。


●『パッション シトロンベール』  径3.1cm 高さ1.6cmほど。
カバー・ホワイト、ガナッシュ・ミルク。
パッションとライムの合わせ方が素晴らしいですね。
パッションの鋭い酸味(思わず、わおっと叫びそうなほど)を活かしつつ、ライムの品のいい香りで、高貴な酸味に変身。
ショッキングでありながら、親しく味わいたい、そんな気持ちを起こさせる力強くも上品な世界。お見事です。


●『プラリネ フランボワーズ』  径3.1cm 高さ1.6cmほど。
カバー・ミルク、ガナッシュ・ダーク。
プラリネとフランボワーズ、アーモンドシロップの組み合わせ。少し変わった組み合わせかな。
ジャンドゥヤ的なナッツの油っぽさのある香りに、フランボワーズのキリッとした酸味のスッキリ感、加えてアーモンドシロップのマイルドさ。
あまり出会わない味だけど、複雑ではないので、慣れるとハマる味のような気もします。


●『キャトル フリュイルージュ』  径3.1cm 高さ1.6cmほど。
カバー・ダーク、ガナッシュ・ダーク。
4種の赤い実のフルーツ、名前からしてフルーツメインだと思いますよね。
ところがどっこい、一筋縄ではいかないんですよぉ。
ん? 今回食べたものの中で一番ビターな仕上がり、という印象。カカオ分60%とか70%といった強い苦みが利いています。
そこに4つの赤いフルーツのややマイルドな酸味が加わって、苦みを旨さと感じさせてくれます。ほぅ巧みですね。


●『スペキュロス』 菱形3×2.5cm 高さ2cmほど。
カバー・ダーク、ガナッシュ・ダーク。
前回のブログで登場した、ベルギーの銘菓、スペキュロスの香辛料(シナモン、クローヴ、カルダモン)をガナッシュに加えています。
スウィートチョコといったところですが、スパイスの香りが、味わいに奥行きを与えるだけでなく、鋭さも加わっているようです。いいですね。


●『カフェ』 菱形3×2.5cm 高さ2cmほど。
カバー・ダーク、ガナッシュ・ダーク。
ガナッシュに珈琲風味。これはどこのショコラトリーにもあるだろうフレーバーですね。
その意味ではノーマルですが、品良くフッと香るレベルに抑えているのは、逆に勇気のいることだと思います。もちろん苦みもマイルド。
ガナッシュの味わいを繊細なものにしているからこそ、ガルニやフレーバーが引き立つということなのでしょうね。



ほかに、『シトロンオランジュ』『フランボワーズ』『プラリネシトロン』『フレーズ』『ゆず』など、ボンボンショコラ11種ほどが並んでいました。あっそうそう、タブレットと小便小僧像のチョコも。
キッチンにチョコレートルームがあるのかと思ったら、「ないんです。夏場はスポット冷房で凌いでます」とのこと。そう、こちらはバレンタインだけのチョコレートではなく、1年中作りつづけている本物のショコラトリーなのです。
「微妙な手作業ですから毎日作りつづけて、勘が鈍らないようにしないといけませんからね」と自分にプレッシャーを与えているそうです。今年も猛暑にスポット冷房が活躍しそう。

食べて驚くのは、カバーチョコのグラッサージュの薄さ。そして口溶けの軽やかさなめらかさ。
カバーとガナッシュの素早い一体化、たちどころにフレーバーと相対峙し、ガナッシュのゆるりとした溶け心地に魅せられることになるのです。
口に入れてから“美味しい!”までに間然がない、ということが日々の修練を物語っていると云えるでしょう。

繊細でビロードのようななめらかさ、心がとろける甘美な味わい、深い風味、お見事です。



●『ボンボンショコラ6種』
  正価@220円  デギュスタシオン(お試しセット)@200円    ※すべて外税

●「パティスリー ショコラトリー エメラ」
 奈良県生駒市富雄元町2-6-40  TEL0742-44-6006  定休日/水曜  営業時間/平日11:00~20:00 日祝11:00~19:00

※ブログ「パイ日和」では、このお店のパイ&タルトを紹介しています。