アルチザナル(3)『グリエール』『くるみぱん』『パテ・ド・カンパーニュ』『ひまわりの種入りバゲット』

京都、御所の北側、同志社の東にあるのが「ブーランジュリ アルチザナル」。
ハード系はやや少なめだが、惣菜パンと菓子パンのセンスの良さに脱帽せざるをえない。技術も味わいも繊細を極めているけれど、神経質にはならないところが最大の魅力ではないだろうか。


●『グリエール』  径7.5cm 高さ6cmほど。
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バゲットの生地でグリュイエールチーズを包んで焼いている。表面にも削ったものを振りかけている。

チーズが暖められて湧き出た水蒸気に押し上げられてまん丸な焼きあがり。
中はほとんど空洞。

バゲットにチーズを挟んだだけ、というのはフランスの日常的なサンドイッチのあり方だけど、構成から言うとそれに近いものでありながら、まったく似て非なるものを作り出してくれた。

素朴だけど、噛みしめるほどに美味しい。
香りの立ち方、バゲットとグリュイエールのバランス、グリュイエール自体の旨味、そのすべてがベストという言葉を呼ぶ。

そして、その言葉に対して無批判に喜んでいる自分を発見してしまうのだった。お見事。




●『くるみぱん』  径7~7.8cm 高さ6cmほど。
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こちらはパン オ レの生地にクルミを入れたもの。

なんといっても、クルミの処理の良さに尽きる。事前にクルミがあめ色になるまでよく煎っており、渋皮を丹念に剥いている。

この手間を掛けることで、アクのない、クルミの香ばしさと旨味だけを抽出することに成功している。
職人仕事の見本のようないい仕事振り。

そういうことを一言も触れようとしない姿勢が清々しいね。






●『パテ・ド・カンパーニュ』  7×17cm 厚み6cmほど。
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イタリア料理店の「クァルテット コルサーレ」(京都市中京区/御所南)にパテを作ってもらっている。

先方が常に作っているものはフォアグラ入りで高すぎるので、鶏のレバーに置き換えたものにしているそうだ。
それでも12月は奮発してフォアグラ入りになるとか。

自分ででも焼けるでしょ、と水を向けると、「プロが本気で作っているものには敵いません」と素直にリスペクト。
先方にはバゲットなどを卸していて、物々交換の関係だとか。

バゲットはいつものバゲットでしっかりした味わいと歯切れの良さ、ビアンキュイならではの風味の良さ。

それに対抗するパテは、粗引き肉に少量のレバー。肉の旨味がたっぷり。
ひょっとするとミンサーにかけずに包丁で叩いているのかもしれない。そういう、肉を丁寧に扱った美味しさ。
酒だ香辛料だ、隠し味だとうるさく味付けするのではなく、軽い塩気で肉の旨味を引き出してやろうという意欲が感じられる。素直に美味しい。

パンとの相性も良く、絶賛したいが、いや待て。
これだけのパテなら、ただ挟むだけはもったいない。十分説得力はあるのだけど、ピクルスやタマネギのスライスを挟んだり、ディジョンマスタードを掛けたりしたら、1品として完成するのではないだろうか。
それとも、元々のパテ作りの精神を裏切ってしまうことになるのだろうか。





●『ひまわりの種入りバゲット』  6.8×27.5cm 高さ5cm 160gほど。
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バゲット生地によく煎って薄皮を剥いたヒマワリの種がたっぷり。

ヒマワリと聞いて期待するのはグレーの薄皮の色。
ところが中に入っているのは真っ黒、艶々の種。

一瞬、亜麻仁かなと思ったけれど、よくよく見ると、ヒマワリの種の薄皮を丹念に剥かれたものだった。クルミの渋皮といい、潔癖性なのかもね。

こちらは『くるみパン』ほどの効果は発揮していないように思う。元々ヒマワリの種は渋みがないから、気にしなくてもよかったのに。それとも黒光りしている色に惹かれたのかな。

たしかに、切り分けた時の、黒い粒の魅力は捨てがたい。画像



シーズ類の中で、大人しい部類なので、大げさに言う必要はないだろうけれど、やはり油脂の焼けた香ばしさが、バゲットを数段美味しく感じさせてくれる。
いいですねえ。





こちらでは外れのパンに出会ったことが無いですね。それだけよくよく考え丹念に手を掛けたものばかりということなのだろう。頼もしいかぎり。



●『グリエール』210円  『くるみぱん』160円  『パテ・ド・カンパーニュ』460円  『ひまわりの種入りバゲット』260円  (※税込み)

●「ブーランジュリ アルチザナル」
  京都市上京区今出川通寺町東入一真町89  TEL075-744-1839  定休日/水曜木曜 営業時間/8:00~19:00

※ブログ「パイ日和」では、このお店のパイ(デニッシュ)を紹介しています。