ジャック(5)『クグロフ マロン』

福岡、地下鉄大濠公園駅から北西に5分ほどのところにある「パティスリー ジャック」さん。全国に名を馳せる名店。
福岡に帰郷して、時間さえ許せば立ち寄ることにしています。毎回、知っているはずのお菓子について、何か新しい発見があるのも嬉しいお店です。さて、今回も。


●『クグロフ マロン』(プティ)  底径11.8cm 高さ6.3cm 280gほど。
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ギフト用の素敵な箱に、惚れ惚れ。シックですね。

さて。クグロフには、2種類の生地があります。
より一般的なのは、醗酵生地のブリオッシュ風(レーズン入り)のもの。
もう一つは、ケーク生地。
以前に、醗酵生地の方(『クグロフ』)を食べているので、今回はケーク生地を。

クグロフ型の底の凹みごとに、渋皮栗(九州産)のラム酒風味の甘露煮を詰め、上からケーク生地を流し込んで焼き上げています。
表面は、目の細かなグラニュー糖と粉糖のようです。

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じつに、なんともシンブル。素朴の極みとも言うべき作りです。
ところが、なのです。味わいの豊かなことといったら。

ナイフを入れた時から、いえ、袋を開けた時から、馥郁たる香りが強烈に立ち上がってくるのです。否が応でも期待が高まりますね。

そっと、口へ運ぶと …… あぁ、なんて美味しいのでしょう。
紅茶を飲むのも忘れ、しばし陶然としてしまいました。ふうぅぅ。

マロンの味わいの深さ、ねっとり感。思いっきり利かせたラム酒。
この2つを受け止める、生地の軽やかな食感。ホロホロと崩れ、たちどころに口いっぱいに味わいが押し寄せてきます。
卵とバターとアーモンドが三位一体となった豊満な風味。そしてマロンの力強いコク。
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栗のお菓子は、栗自体がコクを感じさせることは少なく、バターや生クリーム、アーモンドやヘーゼルナッツなどの素材との組み合わせで奥行きを感じさせることが多いのです。

でもこちらは、そんな手を借りずに、圧倒的なラム酒の香り、表面に振ったグラニュー糖のたっぷりの甘さ、生地の繊細さと野趣を兼ね備えた風味の良さで、素晴らしい味わいを創り出していると云えるでしょう。


一見して分かるように、けして気を衒ったものではありません。お菓子を食べ慣れていない人も満足させる王道の美味しさ。でありながら、お菓子通の心も魅了してしまう、香り・食感・風味の研ぎすまされた追求がなされていると感じました。
基本に忠実なままに、なんという味わいの強さ、きっぱりとした思い切り。格調高い逸品ですね。



●『クグロフ マロン』(プティ)2400円 (※税込み)     他に、一周り大きなサイズもあり

●「パティスリー ジャック」
 福岡市中央区荒戸3-2-1  TEL092-762-7700  定休日/火曜・第1月曜  営業時間/9:30~19:30

※ブログ「パイ日和」では、このお店のパイ&タルトを紹介しています。