エメラ(4)『エクレールアリバ75』『マカロン』『パートドフリュイ』『ボンボンショコラ』『タブレット
奈良市、近鉄奈良線・富雄駅から南へ3分のところにある「パティスリー ショコラトリー エメラ」さん。
グランメゾンとはまだ言えませんが、その目くるめき品揃えの充実ぶりは匹敵するものがあります。シェフ一人で身に付けられる技術や知識には限りがあるものですが、こと藤原尚樹シェフに関しては、限界とは無縁のようです。焼き物、ムース、チョコレート、折り込み生地、醗酵生地…。すべて最高水準にあります。
とくに昔風にチョコレートも含めたコンフィズリーは傑出していると云えそうです。
●『エクレール アリバ75』 3.5×13cm 高さ3.8cmほど。

その名の通り、ドモリ社のカカオ分75%のアリバを使ったチョコカスタード(生クリーム入り)が閉じ込められています。
75% と聞いて、わっ苦いかも?
なーんて心配はご無用。
以前ちょこっと食べ比べた時に、アリバはもっともクセがなく、香りもいかにもチョコという印象。
花やフルーツ、ミネラルといったアロマ、酸味や苦みといったプラスアルファの個性ではなく、オーソドックスなもっともチョコらしい気品高いチョコレートだと感じたものです。
数ある単一豆のなかから、なぜアリバなのかについては、おそらく、ポピュラーなエクレアというステージで正統派のチョコを覚えて貰おうとしているのだろうと、読んでいます。まァ、でもこれはあくまで憶測。本当のところは次回詳しくショコラティエとしての考えを聞いてみましょう。
固すぎず、かといって柔らかすぎないシュー生地は、芳ばしく焼き上げられ、チョコの濃厚な風味に負けない個性を発揮。
表面のフォンダンや飾りのチョコプラックも数段上のチョコであるアリバに臆することなく、チョコの旨味を補っているのですから、素材使いが上手というしかないですね。
●『エクレール カフェ トラディション』 3.5×13cm 高さ3.8cmほど。

トラディションで、シェフ自ら「ひねり無し」と言っています。すぐさま「ノーマル」という意味ですよ、と訂正されましたが。あはっ。
エスプレッソとトラブリ、生クリームをカスタードに加えています。よく焼き込んだ生地はアリバと同様。フォンダンもお約束通りコーヒー風味。
ちょっと変わっているのが、飾りのチョコプラック。
コーヒーで染めたホワイトチョコと思うでしょうが、さにあらず。
ヴァローナのドゥルセ DULCEY というブロンド色のチョコ。ヴァローナのシェフがホワイトチョコの固まりを、うっかり捨て窯に置きっぱなしにしてしまった。翌朝、発見して、ああ大失敗と諦めかけたのですが、ものは試しで嘗めてみたら“こりゃいける”。失敗が元で商品化された珍品なのだとか。
この説明は、供してくれた製造スタッフの方が「ねっ面白い話でしょ」とにこにこと教えてくれたので、いつもは書かないことまで書きたくなったというわけです。
ともあれ。ミルクジャム、あるいはカラメルに近い味わいといえば、想像がつきますでしょうか。コーヒーとも好相性で、味わいのトーンを高めています。
ちゃんとヒネリが入っていましたね、シェフ。
えっ味について書いていないって? もうお分かりでしょう、もちろんリピートしたくなる美味しさです。
●『マカロン4種』 径4.5cm 高さ2.7cmほど。
粗挽きのアーモンドプードルを使って、生地の食感と風味を増しています。
ガルニであるガナッシュやクリームがたっぷり。生地は比較的量感はないのですが、味と食感で存在感を示し、ガルニとのバランスが取れています。
全部で10種。カシャサクッ、お約束通り甘~くって品よく、んー、なんともいえない後引き感。全部制覇したくなりますね。
『アリバ75』
ドモリ社のアリバのガナッシュ。チョコレート好きなら、まず最初にチョイスしたくなるはず。チョコレート感満喫。濃厚なのに優しい味わい、奥深い香り。
『モガドール』
モガドールとは、フランボワーズとチョコの組み合わせのお菓子だと思っていたのですが、これはパッションとミルクチョコ。パッション、冴えています。華やかで、どこか優雅。
『キャラメルサレ』
あっ、みんな好きになる味。サレ系は、これでもかの塩使いの人もいますが、こちらは品下ることはありません。キャラメルのバターの芳醇さが印象に残ります。
『ピスタチオ』
ピスタチオ党としては厳しい判定を下すかも? ちょいと気になりながらパクッといけば、たちどころに、にっこり。ローストしたピスタチオ、風味が活き活きと。
なお、これと『ヴァニラ』の生地は、マジパン+バター。使い分けておられます。なんでも「ル サントーレ」ではそうだったそうです。
●『パートドフリュイ4種』 径3~3.3cm 厚み1.3~1.5cmほど。

『苺』 『ピンクグレープフルーツ』 『フランボワーズ』 『青りんご』
パートドフリュイはクエン酸とペクチンで味わいのほとんどが決まってしまうので、同じ味、同じ食感のフレーバー違いとしか感じられないものが多いですね。
でも、こちらのものは、ペクチンが控えめで、食感が柔らかく繊細。フレッシュのジュースが滲み出してくる感覚があります。
付けられたフレーバーではなく、現にそこにフルーツがあるというイメージ。
一般のグミのようなグニグニとした食感からは新鮮な風味は期待できようはずもありませんが、クニュクニュシュルシュルと比較的素早い口溶けを獲得することで、フルーツの魅力が生かされたお菓子になり得ているのではないでしょうか。ナイストライです。
●『タブレットショコラ』 11.7×4.8cm 厚み1.3cm 70gほど。

サクッ!
ひゃあ、ムクのチョコかと思ったら、ヘーゼル風味のフィヤンティーヌ・ミルクチョコ和えを包み込んだものでした。
うかつにも、どういうチョコなのかまったく聞かずに、板チョコだとばかり思い込んで、ガブリッ。
予測していなかっただけに、余計に驚いた部分があるかも知れませんが、サクッ、チャリチャリというクリスピー感の楽しさ、押し寄せるヘーゼルの香り。
老若男女が安心して食べられる美味しさですね。
板チョコだと一カケごと、ゆっくりなめたのでしょうが、あまりの美味しさも手伝って、サクサク、チャリチャリ。
二人で奪い合いながらあっという間に食べてしまいました。
●『プラリネ4種』 径3cm 厚み1.5cmほど。

前回もお知らせしましたが、ベルギーではボンボンショコラのことをプラリネと呼んでいるそうです。
アプローチの方法は一つひとつ異なり、素材の強度によってチョコレートの合わせ方を工夫していますね。
『シトロン オランジュ』
ノワールとミルク半々のガナッシュでチョコレート感を強く打ち出しながら、柑橘の角を円めるという印象。爽やかな香気、余韻が残ります。
『フレーズ』
苺のパートドフリュイに、キルシュ風味のホワイトチョコガナッシュ。
イチゴミルク的な味かなと思って口にすると、むせ返るような苺が。
『ペッシュ ド ビーニュ』
赤桃。赤桃のパートドフリュイ、レモングラスのノワールのガナッシュ。
うぅむ、口に入れて、一瞬流れ出してきた時に赤桃かなぁと分かる繊細な感じ。
正直に白状しますと、赤桃って、「ジャック」の赤桃のタルトくらいしか浮かばなくて…。たはは。こちらの経験不足ですね(乞うご海容)。
『ゆず』
おっ柚子の酸味もあって、柚子全開。柚子のピューレの鋭さをホワイトチョコのガナッシュで和らげつつ、ストレートに表現。底のフタの部分にノワールを使ってチョコレート感を。
一粒のボンボンショコラ。持てる手練手管をフルに使って魅惑の世界に誘ってくれています。
小さな半球のなかから、一瞬の煌めきが飛び出してくる楽しさは格別です。
チョコレートの難しさはプラリネのようなモールド物のカバーチョコの厚み。薄ければ薄いほどいいと言われています。
こちらのプラリネでは1mmあるかないか。
この繊細さを維持するには、日々の修練しかないそうです。だから、藤原さんは売り上げの落ちる真夏にも作りつづけているのです。たとえ最盛期の何分の一というレベルに縮小したとしても、繰り返し作ることに意味があり、たとえ売れ残って損をしようが、必要な時に腕を振るえないよりずっといいという判断。見上げた職人魂です。
関西でも専門のショコラトリーが増えてきて、年中チョコレートを作っている店が沢山ありますが、藤原さんほどに薄くカバーを掛けられる人は何人おられるのでしょうか。
つくづく、ほれぼれ。
●『エクレール アリバ75』350円 『エクレール カフェ』350円 『マカロン4種』@200円 『パートドフリュイ4種』価格失念 『タブレットショコラ』500円 『プラリネ4種』@220円 (※外税)
●「パティスリー ショコラトリー エメラ」
奈良市富雄元町2-6-40 TEL0742-44-6006 定休日/水曜 営業時間/平日11:00~20:00 日祝11:00~19:00
※ブログ「パイ日和」では、このお店のパイ&タルトを紹介しています。
グランメゾンとはまだ言えませんが、その目くるめき品揃えの充実ぶりは匹敵するものがあります。シェフ一人で身に付けられる技術や知識には限りがあるものですが、こと藤原尚樹シェフに関しては、限界とは無縁のようです。焼き物、ムース、チョコレート、折り込み生地、醗酵生地…。すべて最高水準にあります。
とくに昔風にチョコレートも含めたコンフィズリーは傑出していると云えそうです。
●『エクレール アリバ75』 3.5×13cm 高さ3.8cmほど。

その名の通り、ドモリ社のカカオ分75%のアリバを使ったチョコカスタード(生クリーム入り)が閉じ込められています。
75% と聞いて、わっ苦いかも?
なーんて心配はご無用。
以前ちょこっと食べ比べた時に、アリバはもっともクセがなく、香りもいかにもチョコという印象。
花やフルーツ、ミネラルといったアロマ、酸味や苦みといったプラスアルファの個性ではなく、オーソドックスなもっともチョコらしい気品高いチョコレートだと感じたものです。
数ある単一豆のなかから、なぜアリバなのかについては、おそらく、ポピュラーなエクレアというステージで正統派のチョコを覚えて貰おうとしているのだろうと、読んでいます。まァ、でもこれはあくまで憶測。本当のところは次回詳しくショコラティエとしての考えを聞いてみましょう。
固すぎず、かといって柔らかすぎないシュー生地は、芳ばしく焼き上げられ、チョコの濃厚な風味に負けない個性を発揮。
表面のフォンダンや飾りのチョコプラックも数段上のチョコであるアリバに臆することなく、チョコの旨味を補っているのですから、素材使いが上手というしかないですね。
●『エクレール カフェ トラディション』 3.5×13cm 高さ3.8cmほど。

トラディションで、シェフ自ら「ひねり無し」と言っています。すぐさま「ノーマル」という意味ですよ、と訂正されましたが。あはっ。
エスプレッソとトラブリ、生クリームをカスタードに加えています。よく焼き込んだ生地はアリバと同様。フォンダンもお約束通りコーヒー風味。
ちょっと変わっているのが、飾りのチョコプラック。
コーヒーで染めたホワイトチョコと思うでしょうが、さにあらず。
ヴァローナのドゥルセ DULCEY というブロンド色のチョコ。ヴァローナのシェフがホワイトチョコの固まりを、うっかり捨て窯に置きっぱなしにしてしまった。翌朝、発見して、ああ大失敗と諦めかけたのですが、ものは試しで嘗めてみたら“こりゃいける”。失敗が元で商品化された珍品なのだとか。
この説明は、供してくれた製造スタッフの方が「ねっ面白い話でしょ」とにこにこと教えてくれたので、いつもは書かないことまで書きたくなったというわけです。
ともあれ。ミルクジャム、あるいはカラメルに近い味わいといえば、想像がつきますでしょうか。コーヒーとも好相性で、味わいのトーンを高めています。
ちゃんとヒネリが入っていましたね、シェフ。
えっ味について書いていないって? もうお分かりでしょう、もちろんリピートしたくなる美味しさです。
●『マカロン4種』 径4.5cm 高さ2.7cmほど。
粗挽きのアーモンドプードルを使って、生地の食感と風味を増しています。
ガルニであるガナッシュやクリームがたっぷり。生地は比較的量感はないのですが、味と食感で存在感を示し、ガルニとのバランスが取れています。
全部で10種。カシャサクッ、お約束通り甘~くって品よく、んー、なんともいえない後引き感。全部制覇したくなりますね。
『アリバ75』
ドモリ社のアリバのガナッシュ。チョコレート好きなら、まず最初にチョイスしたくなるはず。チョコレート感満喫。濃厚なのに優しい味わい、奥深い香り。
『モガドール』
モガドールとは、フランボワーズとチョコの組み合わせのお菓子だと思っていたのですが、これはパッションとミルクチョコ。パッション、冴えています。華やかで、どこか優雅。
『キャラメルサレ』
あっ、みんな好きになる味。サレ系は、これでもかの塩使いの人もいますが、こちらは品下ることはありません。キャラメルのバターの芳醇さが印象に残ります。
『ピスタチオ』
ピスタチオ党としては厳しい判定を下すかも? ちょいと気になりながらパクッといけば、たちどころに、にっこり。ローストしたピスタチオ、風味が活き活きと。
なお、これと『ヴァニラ』の生地は、マジパン+バター。使い分けておられます。なんでも「ル サントーレ」ではそうだったそうです。
●『パートドフリュイ4種』 径3~3.3cm 厚み1.3~1.5cmほど。

『苺』 『ピンクグレープフルーツ』 『フランボワーズ』 『青りんご』
パートドフリュイはクエン酸とペクチンで味わいのほとんどが決まってしまうので、同じ味、同じ食感のフレーバー違いとしか感じられないものが多いですね。
でも、こちらのものは、ペクチンが控えめで、食感が柔らかく繊細。フレッシュのジュースが滲み出してくる感覚があります。
付けられたフレーバーではなく、現にそこにフルーツがあるというイメージ。
一般のグミのようなグニグニとした食感からは新鮮な風味は期待できようはずもありませんが、クニュクニュシュルシュルと比較的素早い口溶けを獲得することで、フルーツの魅力が生かされたお菓子になり得ているのではないでしょうか。ナイストライです。
●『タブレットショコラ』 11.7×4.8cm 厚み1.3cm 70gほど。

サクッ!
ひゃあ、ムクのチョコかと思ったら、ヘーゼル風味のフィヤンティーヌ・ミルクチョコ和えを包み込んだものでした。
うかつにも、どういうチョコなのかまったく聞かずに、板チョコだとばかり思い込んで、ガブリッ。
予測していなかっただけに、余計に驚いた部分があるかも知れませんが、サクッ、チャリチャリというクリスピー感の楽しさ、押し寄せるヘーゼルの香り。
老若男女が安心して食べられる美味しさですね。
板チョコだと一カケごと、ゆっくりなめたのでしょうが、あまりの美味しさも手伝って、サクサク、チャリチャリ。
二人で奪い合いながらあっという間に食べてしまいました。
●『プラリネ4種』 径3cm 厚み1.5cmほど。

前回もお知らせしましたが、ベルギーではボンボンショコラのことをプラリネと呼んでいるそうです。
アプローチの方法は一つひとつ異なり、素材の強度によってチョコレートの合わせ方を工夫していますね。
『シトロン オランジュ』
ノワールとミルク半々のガナッシュでチョコレート感を強く打ち出しながら、柑橘の角を円めるという印象。爽やかな香気、余韻が残ります。
『フレーズ』
苺のパートドフリュイに、キルシュ風味のホワイトチョコガナッシュ。
イチゴミルク的な味かなと思って口にすると、むせ返るような苺が。
『ペッシュ ド ビーニュ』
赤桃。赤桃のパートドフリュイ、レモングラスのノワールのガナッシュ。
うぅむ、口に入れて、一瞬流れ出してきた時に赤桃かなぁと分かる繊細な感じ。
正直に白状しますと、赤桃って、「ジャック」の赤桃のタルトくらいしか浮かばなくて…。たはは。こちらの経験不足ですね(乞うご海容)。
『ゆず』
おっ柚子の酸味もあって、柚子全開。柚子のピューレの鋭さをホワイトチョコのガナッシュで和らげつつ、ストレートに表現。底のフタの部分にノワールを使ってチョコレート感を。
一粒のボンボンショコラ。持てる手練手管をフルに使って魅惑の世界に誘ってくれています。
小さな半球のなかから、一瞬の煌めきが飛び出してくる楽しさは格別です。
チョコレートの難しさはプラリネのようなモールド物のカバーチョコの厚み。薄ければ薄いほどいいと言われています。
こちらのプラリネでは1mmあるかないか。
この繊細さを維持するには、日々の修練しかないそうです。だから、藤原さんは売り上げの落ちる真夏にも作りつづけているのです。たとえ最盛期の何分の一というレベルに縮小したとしても、繰り返し作ることに意味があり、たとえ売れ残って損をしようが、必要な時に腕を振るえないよりずっといいという判断。見上げた職人魂です。
関西でも専門のショコラトリーが増えてきて、年中チョコレートを作っている店が沢山ありますが、藤原さんほどに薄くカバーを掛けられる人は何人おられるのでしょうか。
つくづく、ほれぼれ。
●『エクレール アリバ75』350円 『エクレール カフェ』350円 『マカロン4種』@200円 『パートドフリュイ4種』価格失念 『タブレットショコラ』500円 『プラリネ4種』@220円 (※外税)
●「パティスリー ショコラトリー エメラ」
奈良市富雄元町2-6-40 TEL0742-44-6006 定休日/水曜 営業時間/平日11:00~20:00 日祝11:00~19:00
※ブログ「パイ日和」では、このお店のパイ&タルトを紹介しています。