スイス・ドイツ菓子こしもと(2) 『シュトレン』

東京、中野区西武新宿線・都立家政駅から南へ5、6分のところにある「スイス・ドイツ菓子 こしもと」さん。かの名匠ゴッツェさんの愛弟子、腰本祐二さんのお店です。
「こしもと」さんは技と知識、そして何より奥床しく気品の高い趣味を受け継いでおられるのではないでしょうか。昨年、初めていただいた時“あぁ美味しいなぁ素晴らしい香りだなぁ”と名だたる東京のパティスリーのなかでもとても印象深かったのです。
ということで、本日は、ゴッツェさんゆずりの『シュトレン』を取り寄せました。


●『シュトレン』  21×10.5cm 高さ5.5cm 550gほど。
画像
赤いリボンとレトロな紙包みをそっと外し、白い箱を開け、いよいよ雪模様が刷り込まれたセロファンを剥がすと……
わぁ、なんていい香りなのでしょう。
ふわぁとなんともいえないさまざまな香りが溶け合い、立ち上がってきました。

バターと醗酵の香り、そしてほのかに正体不明のスパイスが彩っているような。
もう食べる前から陶然としてしまいました。

定番通りの“おくるみ”スタイル。
薄くスライスしてみると、意外なほどの色白な生地、ドライフルーツの量もぎちぎちぎっしりというほどではない。
スリバードタイプのアーモンドとレーズン・カレンツ、レモンピール、オレンジピール。


画像さぁて。じっくり眺めた上でそろそろ一口。

ほおーッ、何でしょう、この香りは一瞬ツーンと爽やかな香りが過ります。
コリアンダー? ナツメグ? シナモン? クミンやアニスのような鋭さやくどさを持たない軽やかな爽やかさ。
この香りが気品を生み出していますね。醗酵の香りはしていますが控えめ。

お店に尋ねたところ、スパイスの配合は非公開とのこと。
ただ、ゴッツェさんの紹介で取引しているドイツのスパイスメーカーのものを使っているのだそうです。こうして味が受け継がれて行くのですね。

画像生地はドイツのバターたっぷりでしっとり、サラサラ溶けるミルククッキーを思い出させる部分が。優しいコクを感じます。
ギュッと締まっているのですが、口に入れるとサラリと溶けて口いっぱいに滋味が広がる。

ふうぅぅ、この瞬間の幸福感はたとえ様がないですねぇ。
例の清々しい香り(ピールの影響もあるのかな)が解き放たれる瞬間でもあるのですからね。

レーズンが主役でありながらしゃしゃりでないで、生地の美味しさをそっとフォローするレベルなのが、とても品がいい。
シュトーレンはやはり生地が命。その節度が守られた上での、贅沢限りない美味。見事でございました。


画像毎日薄くスライスし、一日一日、フルーツの風味が生地に移り、またスパイスが微妙に落ち着いてくる感じ(因みにツーンは次第に弱くなっていきます)、日毎の進化もシュトーレンならではの醍醐味。
待つ時間も愉しみになるのですよね。

ご近所を散歩していると、玄関扉には思い思いのリースが飾られ、庭木のお手入れのための植木屋さんを頻繁に見掛けるようになり、青い金柑が少しずつ黄色味を帯びてきて、白い山茶花が咲き誇り、そして我が家のシュトーレンが確実に小さくなっていく
…… あぁクリスマスがだんだん近づいてくるっ!




前回、クボタがお店を訪ねたとき、素っ気ない簡素な作りとお店のインテリアを語っていたのですが、その理由が少し分かったような気がします。
自分たちの外見などは一切気にせず、清潔であればいいと割り切り、全精力をお菓子に傾けているのではないでしょうか。今回のメッセージカードをはじめ、ラッピングの細部に至るまでの可愛い細かな気配りを見て得心しました。この精神があるかぎり、こちらのお菓子がすべてのお菓子の規範になりうるということを。



●『シュトレン』3600円(6.55円/g)  箱は28cmサイズ  (※内税) 
  ほかに、他に倍の重さの大きなサイズもあり(6800円)

●「スイス・ドイツ菓子 こしもと」
  東京都中野区若宮3-39-13   TEL03-3330-9047  定休日/火曜  営業時間/10:00~20:00