ワイン食堂 羊の家ア ラ ヴァントーズ(1)『グジェール』『ブランダード』『鱒の薫製』『チーズ盛合せ

ご主人の豊田伸正さんとは、前身の「ラ・トォルトゥーガ」時代を含めて20年近いお付き合い。
さらには修業時代の「ビストロ アミスター」時代もおぼろげに知っている(味はもちろん、その時のサービスがとても心地よかったのだ、多分豊田さんだったのだろう)ので、四半世紀に渡るのかもしれない。
今は料理にも手を染めているけれど、本職はソムリエでありサービスマン。何もしていないようでいて、すべてに目配りの利くサービスが嬉しくて、彼から離れられないのだ。もちろんワインの目利きも、アテ作りもいいのだけど、空気のように自然に人を包み込むサービスの心地よさは大阪中探してもまず他では出会えないだろう。
久しぶりに阿倍野界隈へ訪れると、再開発でスマートに様変わりしていた。都会的だ。
が、一転、路地裏へ足を踏み入れると、地下の巣窟で少し丸顔になった豊田さんが待っていた。とびきりの笑顔と冗句、ワインを片手にね。


●『グジェール』
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毎度お決まりの突き出し。

チーズ風味が食欲をそそる、塩味のシュー。
入れ物の新聞紙もイキだし、たこ焼き風に爪楊枝を差してくれるのも食べやすくていいね。









●『タラとじゃがいものブランダード』
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毎回欠かさず食べている。

塩抜きした塩ダラをクリームやオリーブオイルといっしょにすりつぶし、マッシュポテトと和えたもの。そこそこニンニクを利かしている。

付け合わせのパンは谷6の「ブーランジュリーグゥ」のもの。







●『鱒の薫製 桜チップ』
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写真はもうすでに食べ進んだ皿。本当はもう2、3切れ載っている。

スモーキーフレーバーは大人しめだが、桜チップ特有のいい香りはしっかり伝わってくる。
ねっとりとした食感が風味をより強く感じさせてくれるし、食感そのものが官能的でもある。

付け合わせの大きいケイパーのつぼみもいい。






●『チーズ盛合せ』
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しっかり熟成の進んだものが選ばれている。

この日は空腹だったので“たっぷりのチーズとたっぷりのパンを!”とお隣さん(女性一人でも安心の店なのだ)が連呼しながら頼んでくれたので、通常よりチーズもパンも多めにしてくれているかもしれない。
あははっ、どうだろう?

ハード、ウォッシュ、シェーブル、ブルー、白カビ、ドライフルーツともれなく盛り込まれていたようで食べ飽きずに最後まで楽しめた。





画像ワインの店なのでもちろんワインをメインに書くべきだというのは分かっているのだが、いかんせんワインについて御託を並べるのが好きではないし、豊田さんも求められれば少しは語るのだろうけど、ワインの特徴をさりげなく教えてくれるレベル。
そこが小難しく澄ましたワインバーとはまったく趣きが異なる。

そんなリラックスしたワインの愉しみを求めてやってくる客は自然、カウンターに並んで座って、豊田さんを中心に会話が進み、知らぬ間柄の客とも距離が縮まり、いつの間にやら言葉を交わしている。和やかな空気が醸されていく。

“ア ラ ヴァントーズ”という空間がオークの樽のように、通ってくる客をワイン代わりにエイジングしてくれるようだ。
豊田さんはベテランのブレンダーで、客と客のブレンド具合に長けていて、しっかりしたボディを作りながら口当たりのいい甘みとアロマをわれわれに纏わせてくれ、すっかりいい気持ちで帰途につかせてくれるのだった。ワインの酔いだけでないことはもうお判りだろう。
こうした独特の雰囲気は日々の積み重ねにより、自然と培われてきたのだろう。極上のワインのように上手い具合に熟成しはじめてきているようだ。



●『ワイン各3杯(計6杯)とアテ』 5940円くらい(2名分)

●「ワイン食堂 羊の家ア ラ ヴァントーズ」
  大阪市阿倍野区阿倍野筋2-4-48紀泉ビル地下1階  TEL06-6627-5739  定休日/不定休
  営業時間/18:00位から、かなりaboutということで