エミル(1) 『ヨハネスベーレ』『カッサータショコラ』『フィナンシェ』

2014年9月オープンの新店、「エミル」さん。神戸市灘区、阪急神戸線・六甲駅から南東に5分、JR六甲道駅からだと北東になりますが、同じくらいの距離。神戸市バスのバス停が目の前という好立地。
ファミリー向けの顔をして、じつはさにあらず、という面白いお店が登場しました。


●『ヨハネスベーレ』   辺9cm 高さ4.8cmほど。
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Johannisbeere とは、独語で赤スグリ(仏語グロゼイユ)のこと。

ドイツでは、スーパーではヨハネスベーレジュースの紙パックが当たり前のように並んでいるほどにポピュラーなものだそうです。シェフのドイツ人の奥様もお気に入りの果物だとのこと。

さて。ケーキ名は独語ですが、フランス風のムース菓子。
『パラディ』という名前で、つとに有名ですね。

「選択肢として酸っぱいものもないといけないし、赤系の色合いも欲しかったので」とちょっと韜晦する答えでしたが、かなりの自信作とみました。

ジョコンドの上に白ワインのムースがあり、その中にヨハネスベーレのムース、そのセンターに同じくジュレ。
トップの飾りに、赤でなく白のスグリを置いている辺り、粋ですねぇ。

そっと口へ含むと …… あぁいいですねぇ、白ワインのムース。
 
アルコール感はありませんが、風味の良さ、マイルドな酸味が柔らかく広がって行きます。
トップに置かれたライムのゼストが単なる彩りではなく、爽やかさを上手くプラスして、印象を高めています。
と、その刹那、スッペェ~! 赤スグリ、主張してきます。
ですが、白ワインのベースに支えられて、赤スグリの少しえぐみのある濃厚な味わい、キリッとした酸味が、すっかり手なづけられているのです。

どちらも甘酸っぱいムースですが、一体化してしまうのではなく、酸味、甘みに落差があることで、立体的な味わいになっています。お見事です。




●『カッサータショコラ』   2.7cm×9cm 高さ5cmほど。
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カッサータは、日本では乳脂肪の少ないラクトアイスに相当するものとして知られていますが、イタリア(シチリア)では古くからケーキの世界でもカッサータと呼ばれるケーキがあります。

アイスでは生クリームがベース、ケーキではリコッタチーズがベースという違いがあるようです。

底から、チョコのジョコンド、チョコ(カカオ分65%程度のクーベルチュール)ムース、ジョコンド、リコッタチーズのムース(ナッツ、ドライフルーツ、チョコチップ入り)。

こちらの新しい試みはチョコムースと合わせているところ、といえるでしょうか。
奥村シェフはどうやら甘さ一辺倒になるのを嫌っているようで、甘さ自体が控えめだし、苦みや酸味と合わせることで、気品のある甘さの世界を作り出しています。

カッサータからイメージすると、濃厚な甘さを予想しますが、チョコのほろ苦さが基調にあるので、わりとあっさり、後味スッキリ。

少し地味な味わいですが、大人の世界。
圧倒的な感動とは違いますが、だんだん好きになり、リピートして食べる、飽きのこない味わいという感じがしますね。




●『フィナンシェ』   上径5.5cm 高さ3.4cmほど。
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んん? この型のフィナンシェ、珍しいですね。

色黒で分厚め。これが最大の特長。

焦がしバターはよく焦がして、ブールノワゼットの香りがたっぷり。
しっとりとした生地の魅力は分厚い生地をしっかり噛み締めることで、明確に伝わってきます。

アーモンドの香ばしさも感じられるし、美味しさのツボを外しませんね。




今年50歳の奥村シェフ。長いキャリアと幅広い経験から、豊かなレパートリーを持っている様子がうかがえます。1品1品に、自分なりのこだわりを持っているので、次に何が出て来るのか、シーズンごとに楽しみがありそうです。



●『ヨハネスベーレ』454円  『カッサータショコラ』475円  『フィナンシェ』194円   (※内税)

●「エミル」
  神戸市灘区日尾町2-3-17  TEL078-843-1880  定休日/水曜  営業時間/10:30~19:30

  ※ブログ「パイ日和」では、こちらのお店のパイ&タルトをご紹介しています。