パティスリーエメラ(8) 『モンブラン』『エベンヌ』『クレーム・キャラメル』『シューアラクレーム』

昨夜に引き続き「パティスリー エメラ」さん。


●『モンブラン』  径7cm 高さ(本体)4.8cmほど。
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昨年もご紹介していますが、ビジュアルが変わりましたので、再登場。

藤原シェフ曰く「表面のモンブランクリームが時間が経つにしたがって微妙に崩れて行くのが、嫌なのです」。

えっ、前回いただいた際に、崩れたなんて印象がまったくなかったので、一瞬ポカン。シェフは徹底的にこだわりたいそうです。
じゃあ、注文が入ってから絞るスタイルもありますよね? と尋ねると、「駅前店なのでお客様を待たせるのも気になりますし、オペレーション的にもこちらのほうが」。

と同時に、密かに、奈良を意識してのデザインでもあるようで。むふふっ、東大寺の尊いお姿を思い浮かべてしまいませんか。螺髪というんでしたっけ。ちょいと遊び心を感じますね。
なお、ドーム型にしたことで、バランスもよくなるそうで、しかもフォークも入れやすいそうです。はぁ、緻密です。


はてさて。ドーム型の内側に絞って冷やし固めたものにクレームシャンティ(ラム酒風味)、ダイスのマロングラッセがチラホラ。
そして、大きく分厚いメレンゲ、存在感ありますね。

こちらの『モンブラン』の美味しさの核は、アングレーズソースを使ったことによるマロンクリームに口溶けの良さも、メレンゲの軽やかさも特別の域に達しているから。

メレンゲを大切にしているので、2時間ごとに針で突いてみて、サクサク感を確認。湿気てしまっている時は、差し替えるのだか。もぅ、そこまでやるぅ? 
ちょうど、11時のオープン時に出されて4時間経過したものをいただきました。
サクッサク! 活き活きと、音が鳴ります。その軽快な食感といったら。そりゃあもう、美味しくて当然。
努力してますねぇ、頭が下がります。

同時に、濃厚なマロンの風味、どこかフルーティさも併せ持つラム酒(ベルギー時代から使っていたセントジェームスのもの)も馥郁と。それらが渾然一体となって… ふぅぅなにからなにまでいいですね。

何度食べても美味しいんだな、これが。いやはや、お見事。




●『エベンヌ』  2.4×8.7cm 高さ7.8cmほど。
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一瞬、ヴェイス社のチョコ(ノワールエベヌ)を思い浮かべましたが、綴りが違いますね。
Evenne 何か意味があるのかと思ったら、今夏渡欧した際、ベルギーで雑誌のなかで目にした名前に、単純に「いいな」と思ったから。
ははは、何だシンプルな発想のネーミングもあるのですね。

所謂、チョコバナナのロールケーキ。
このケーキは「子供に食べさせられるものは?」と聞かれることが多いので、そういうファミリー向けの商品。

とはいえ、分かりやすくストレートに『チョコバナナロール』とネーミングしないところ、センターに四角いガルニを入れるところなどに、シェフの意気地が見え隠れしていますね。
姿も味わいもお子ちゃまにはもったいないほど、素敵です。大人も満足できるロールになり得ています。

ロールのお約束の優しい生地とクレームシャンティの組み合わせをベースに、ひと捻り。親しみを感じさせつつ、ケーキの奥深さに引き入れてしまう力があります。
生地は、ビスキュイショコラノワゼット。チョコ味にするだけでなくヘーゼルで味わいを一段と深くしています。
ミルクチョコとプラリネペーストを合わせたフィアンティーヌがちりばめられていて、繊細な刺激も。
シャンティもヴァローナ社のカライブとカラクを合わせて、厚みと奥行を。
表面にはキャラメルでグラッサージュし、満足感を高めています。

何より、センターのバナナのクレムー。不二家のLOOKチョコ(あはっ)に使われているバナナのように、バナナのイメージど真ん中の香りのものが選ばれています。
この仲のいい対比があってこそ、立体的な味わいが完成していると云えるでしょう。

そう、これは一流の音楽家が書いた「青少年の管弦楽入門」「ピーターと狼」のような入門編の音楽に似ています。
少々、解説的ではあるけれど、分かりやすくてたっぷり楽しめるのです。うん、いいね。




●『クレーム・キャラメル』  器内径5.3cm 器高さ5.8cm 85gほど。
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たしか以前お会いした時に「いまはプリンとシューは作りません」と宣言していたのですが、シェフ藤原の世界が構築できて、ようやく自分らしいプリンとシューが出せるようになったということのようです。
ここを入り口に「エメラ」の味を知ってもらいたいという思いも強いようです。

むむむ、3層に分かれていますね。すっいとスプーンを差し込んで底から…。

! おぉとろ~り。
濃厚だけど柔らかな味わい。
シェフも言っていましたけど卵より乳が勝っています。

牛乳だけでなく生クリームをたっぷりと使った濃厚な乳の世界。
極低温で湯煎焼きにしているので、とろーりとしたなめらかな食感が得られただけでなく、乳脂肪の高い部分が上に分かれてきたようで、上の方がより乳っぽくなっています。最上部は流し入れた生クリーム。

もちろん、卵にも力を入れていて、卵黄の色が濃い、特別の卵を使っているのです。
マダガスカル産のヴァニラも入っています。カラメルも優しいほろ苦タイプ。

シェフ自慢のミルクプリン、リッチな味わいを真綿でくるんだような、独自のプリン世界、いいですねぇ。




●『シューアラクレーム』  径7.3cm 高さ4.8cm 70gほど。
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力強いシュー皮に少しゆるめのクリームの組み合わせ。
剛柔の対比。

「食べた時にクリームがだらっと出てくるのが好きなんです」とのこと。

生地は内側に白いところがなくなるところまでしっかり焼き込み、表面にはアーモンドダイスを散らした硬派の代表のような、力強い食感、タフな香り。
アーモンドダイスもよく焼き込まれて素晴らしく香ばしいですね。
クリームは、パティシェール8に対して生クリーム2。

画像豪快にパクッといきましょう。
わぉ、美味しいっ! 
ひゃあ、クリームを吸うようにしないと、本当にダラリと垂れてしまいそうです。
いやあこのコントラスト、ギャップが堪らない。
繊細だけどその根底に力強さがある、エメラらしさが見事に表現されています。

まさにこれこそ藤原シェフならではの『シューアラクレーム』、天晴れ、桃太郎旗を立ててやりたくなりますね。




いかがでしたか。2夜連続のエキサイティングな「エメラ」の世界。
息をのむような美しいお菓子を作るシェフは、孤高になりがちで、お客様の方を向いていないことがあります。ですが、エメラさんは両方をとても大切にしている希有な存在です。
お店に行けば、きっと感じていただけると思います。さぁ、貴方も、奈良の富雄を目指して!



●『モンブラン』480円  『エベンヌ』450円  『クレーム・キャラメル』320円  『シューアラクレーム』250円  (※外税)

●「パティスリーショコラトリー エメラ」
  奈良市富雄元町2-6-40  TEL0742-44-6006  定休日/水曜  営業時間/11:00~20:00 (日祝~19:00)

  ※ブログ「パイ日和」では、こちらの焼きっぱなしのタルトをご紹介しています。