カーベカイザー(1)『バウムトリオ』『カイザーテークーヘン』『シュヴァルツブロート』

兵庫県西宮市、甲子園球場の北1kmほどのところにある「カーベカイザー」さん。1977年創業の老舗です。
当ブログを開始する以前(12年以上前)にはちょくちょく遠出して食べていたのですが、ここのところとんとご無沙汰。
西宮北口の阪急百貨店に寄ったところ、たまたま出会いました。春夏に月1回のベースで臨時出店しているそうです。そういえば、以前は阪急ガーデンズの東側に当たる場所に2軒目のお店「カフェコンディトライカイザー」もお持ちでしたね。

画像バウムクーヘンやシュトーレンは、全国にファンを持つほどに存在が知られています。
ドイツのクラシックな考え方と手技を頑に守り、本当に美味しいお菓子とは何かを伝えてくれるかけがえのないお店と云えるでしょう。

明るく気持ちのいい対応の販売スタッフの方に聞くと、オーナーシェフの大隅さんは70歳を越えられたとのことですが、まだまだ毎月新作を考案するなど意気軒昂なご様子。安泰ですね。




●『バウムトリオ/バウムクーヘンクラシック』  5.7×6cm 厚み2cm 30gほど。
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以下3点のお試しセット『バウムトリオ』(写真上)を購入。

とても贅沢なバウムクーヘンで1段木箱入りは5724円もします。でも、その期待に違わぬ贅沢な味わいが充満しています。

ベルギーのA0Pバター“Haute Ardenne”やローマジパン、マルコナアーモンドを使うなど、出来る限り高級な素材を使用。
卵の風味も強く濃厚でリッチな味わい。しっとりどっしりとした食感、じわーんと広がる味わいは重厚。香りまで重いと感じさせるほど。

珍しいのは、アラブ地域から東南アジアなどで醸される蒸留酒“アラック”(アルコールの語源)を使っているところ。味わいのキレを考えてのことでしょう。

さらに、微かですがシナモンを加えて後口のスッキリ感を作り出すなど、気配りも満点。お見事な力技です。



●『バウムトリオ/バウムクーヘンスタンダード』  4.8×5.3cm 厚み2.6cm 30gほど。
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クラシックは卵砂糖よりバターの方が多い配合でしたが、こちらはバターが3番目。

たしかにスタンダード。それでも“カルピスバター”を使っています。

やはりアラックを使ったりしていますが、味わいはまさに王道。とても美味しく、なめらかな口溶けと優しい味わいにうっとり。

私たちはむしろこちらに愛着を感じるほど。クラシックが非日常の美味しさだとすると、スタンタードは日常の贅沢の極み。これまたお見事ですね。

ちなみに1段2592円ですが、キンダー Kinder (小)972円があるのも嬉しい。



●『バウムトリオ/ピラミッド』  5.5×5cm 厚み1.5cm 30gほど。
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平らに焼き重ねる簡易版。

ローマジパンの代わりに、ペルジパン(アーモンドの代わりに桃や杏の種を使う)を採用。

砂糖が少し少なめで、食べ比べのような味わい方をすると、ややさっばり味。
でも、ラム酒が甘く香って豊かな味わい、しっとりした口溶けであることには変わりありません。

もちろん、単独で食べればペルジパンであることも、味わいの濃度のことも気が付かずにただただ美味しいなぁと微笑んでしまうでしょう。






●『カイザーテークーヘン』  3×8cm 高さ3.5cm 60gほど。
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1977年、オープン以来の看板商品。

アーモンドプードルが沢山入ったバター生地をクッキー生地で挟んだ、見た目地味なお菓子を人気商品に育てあげています。
売れ続けるにはそれなりの理由がある、というわけです。

底とトップのクッキー生地は色違い(二つの焼き色で斜め模様)になっていますが、同じ味わいの生地のようです。
ところが火の通り方が違うので、同じソフトクッキーであっても、底の方がしっとりしつつもサクッと歯切れ良く、トップはふっくらとした柔らかさという対照をなしています。

バター生地はきめ細かくサラサラとした解け方。浮粉ではなく、アーモンドプードルでグルテンを切っている感じなのですが、プードルのザラつきは感じず、とても肌理の細かな食感がエレガントです。
フィリングとして入っているラムレーズンとレモンピールが品がいい。レーズンはよく戻っていてほのかなラム酒の香りで葡萄の旨味以上の満足感を作り出し、レモンは気品ある香りで清々しさを。

食べ飽きない、ほどの良い満足感。ロングセラーになるのも当然ですね。




●『シュヴァルツブロート』  8.5×7.5cm 厚み4.3cm 210gほど。
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「カーベカイザー」のカーベは、Konditorei(菓子屋)とBeckerei(パン屋)の頭文字。
ドイツでは兼業が普通だったそうです。東京にも「カーベーケイジ」というお店がありますね。

ということで、ドイツパン。
Schwarz Brot は文字通り黒パン。

ライ麦パンの代名詞のようなものですが、これはライ麦100%。ほかは水と塩、香辛料のキュンメル(クミン)と、22年間継ぎ足しで育てている自家製の天然酵母のみ。

いかにも潔いパン作りです。12時間掛けてじっくり焼くそうですから、蒸し焼きタイプでしょうかね。
ライ麦はグルテンが無いので醗酵しても膨らみません。100%のパンはさすがにどっしりしっとりとした食感。
キュンメルの爽やかな香りが美味しさを一段と際立たせ、それを覆うように粉の甘味旨味がジワジワと湧き上がってきます。濃厚な味わいなので、チーズやサーモンの燻製などにピッタリ。

特筆すべきなのは、天然酵母がまったく嫌な酸味を感じさせないところ。私たちは酸味のあるパンも好きですが、酵母に雑菌が加わって酸味が発生することがままあるので、まったく感じさせないということは、22年に渡って完璧な醗酵管理がなされているということの証明になるのではないでしょうか。
販売(普段は製造)スタッフも、「自家製サワー種、とても良い匂いなんですよ」とにっこり。

5枚スライスでパッケージされているのですが、1枚ずつが貼り付かないように、間にセロファンを挟む濃やかな気配り。
栞には繊維質が多く水分を含んで膨らむので食べ過ぎないようにとの、注意喚起まで。至れり尽くせりです。お見事。



久しぶりに食べる機会を得て、老舗の健在を確認した次第です。



●『バウムトリオ/バウムクーヘンクラシック/バウムクーヘンスタンダード/ピラミッド』(3点セット)680円  『カイザーテークーヘン(3本入)』756円  『シュヴァルツブロート』250円  (※内税)

●「ドイツ菓子&カフェ カーベカイザー」
  兵庫県西宮市甲子園4番町1-31  TEL0798-47-2466  定休日/火曜  営業時間/9:00~19:00