タツヒトサトイ(3) 『キュイブル』『アルモニー』

京都市左京区、今出川通、市バス停留所の京大農学部前と北白川の中間あたりにあるのが「パティスリー タツヒトサトイ」さん。
ケーキとパンの2本立てで頑張っています。キッチンに一人スタッフが入り、少しはゆとりが出たのか、師匠安食雄二さんのケーキよりオリジナルの数が上回るようになってきたようです。
今回は双方から代表的なものを一つずつご紹介しましょう。なお、シェフ本人から聞いておりませんので、間違っていたらお許しを。


●『キュイブル』  横幅8cm 高さ6.9cm 厚み2.8cmほど。
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cuivre 褐色のという意味、でしょうか。

底生地が驚くことにガレットブルトンヌ。
その上にビスキュイマロンを2層。間にカシスのコンフィチュール。
ビスキュイの上にマロンのムース。ムースの中に甘露煮のダイスがチラチラ。
カラメルでグラッサージュ。

洋栗(サバトン社のペースト)を使っているので、和栗のモンブランのような優しい儚げな香りではなく、やや力強さがあり、押し出しのいい味わい。
だからこそ、カラメルとも合うし、ガレットブルトンヌの塩気やカシスともピッタリとハマるのですね。お互いが主張し合う感じ。画像


面白く思ったのはムースとビスキュイが合わさると、栗のベースと独特のもったりした感触に近づくところ。
風味はあまり強く感じられなかったのですが、このもったりに出会った瞬間、わっ栗だ! ヒュー、やるね!






●『アルモニー』  径5.5cm 高さ4.8cmほど。
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harmonie 調和、ハーモニー。
安食シェフのオリジナル、だそうです。

底生地はマジパンを使ったチョコレート生地。周囲にミルクチョコムースを置いて器にしています。
なかにジャスミンフラワーのクレームブリュレ、上にカモミール風味のアングレーズソース。

運ばれてきた時に、ソースがたぷたぷ~、優しく揺れているのです。
なっ、なにこれ、と目が釘付け。
それにムースを器にするなんて発想、ちょっとないですね。外側を覆うというレベルを超えています。中に入るのが固形物と液体では次元が違いますからね。

発想だけでなく、味わいも格別。これだけ優雅なケーキに出会うのは、じつに久々。
ジャスミンフラワーとカモミール。2つの香りが争うことなく無理なく同居。あぁなんて心寛ぐ上品な香りなのでしょう。静かに広がって行く、香りの世界。

画像とくにカモミールの風味が蜂蜜のように濃厚なのですが、アングレーズという濃度の低いものに合わせているせいで少しもくどさにいたらず、説得力だけを増しているのです。ふうぅぅ~、しばし陶然。

ミルクチョコの優しさもいいし、ブリュレのねっとり感も印象に深いし、底生地ですら、味わいを引き締めているようだし、嗚呼!

名品です。菓名通り、溶けあった美しい響きが心にずっと残るのだろうな、きっと。



里井シェフ、師匠のルセットをそのまんまではなく、少し触ることがありますが、今回は果たしてどうなのでしょう。
このあたりの内情をもう少し聞きたかったな、残念。次回はぜひ。



●『キュイブル』480円  『アルモニー』480円  『コーヒーラテ』290円   (※内税)

●「パティスリー タツヒトサトイ」
  京都市左京区北白川追分町2番地  TEL075-285-1171  定休日/不定休  営業時間/8:00~19:00