焼き菓子の里(3) 『マジパンシュトーレン』

大阪市東淀川区、阪急京都線・淡路駅から北東に10分ほどのところにある「焼き菓子の里」(2016年11月オープン)さん。ドイツ滞在10年のマイスター古井和也シェフのお店です。
店名を和風にしているのは日常のお菓子として親しみを感じてもらいたいのでしょうね。肩の力の抜けた美味しいお菓子が並んでいます。

古井シェフ、ドイツにいる間、じつはシュトーレンが嫌いだったそうです。クリスマスが巡って来る度に職人仲間が思い思いのシュトーレンを持ち寄って食べ比べしていたのですが、一度も美味しいと思えるものに出会えなかったとか。ふふっ、わりとそういう声は多いですね。
ところが、最後に出会ったシュトーレンで目が開かれたようです。それが本日ご紹介するものです。
ちなみに、昨年はオープンして1ヵ月ほどだったのに120本も販売。いゃあ、期待が高まりますぞ、いざ!


●『マジパンシュトーレン』  23.7×10.3cm 高さ4.7cm 620gほど。
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シェフがはじめて美味しいと思ったシュトーレンのレシピを教えてくれたシェフは、「スパイスは高くてもいいものを使わないとダメ」と言ったそうです。

心弾ませながら、一口 …… あぁなんていい香りなのでしょう、あぁ美味しいなぁ。
もちろん生地もしっとり優しく美味しいものに焼き上がっていますが、スパイスのシュトーレンと呼んでもいいくらいに香りの良さが際立っています。

使っているのはカルダモン、トンカ豆、メース、ヴァニラ。ほかに表面を覆うグラニュー糖をシナモンシュガーにしているので、シナモンも。
たしかに選んでいるのはスパイス類の中でも高価なものばかり。惜しげもなくふんだんに使っているのですが、気品高く節度を保っています。これでもか、とぐいぐい押してくる感じではないのです。

画像やさしくふっくらと漂うベースは、生地に含まれる牛乳、ラードとイーストの醗酵の香り、そしてラム酒漬けされたレーズンとオレンジピール、レモンピール(浅漬けなのできれい)などの香りも。マジパン棒にもラム酒を練り込んでいます。
すべてが一体となって馥郁と広がり、至福のひとときを約束してくれるのです。ふぅぅ。

生地がしっとりと柔らかな食感で、それ自体人を惹き付ける美味しさ。じんわりと満足感が湧いて来るような穏やかさ。
レーズンは酸味があり、明確な味わいですが、アーモンドとともにチラチラと入っているレベルで華美にならず、適度なアクセント。宗教行事のお菓子としての程を得ていますね。
こういうベースの落ち着きがあるからこそ、スパイスの清らかさがなおさら際立つのでしょう。
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どこか清々しく、クリスマスの敬虔な祈りに相応しい静謐さに身も心も満たされていく感じ。
バッハのコラール前奏曲に“甘き喜びのうちに in dulci jubilo BWV751”という曲がありますが、まさにその表現に相応しいシュトーレンではないでしょうか。思わず口ずさんでしまいます~♪

つくづく美味しい。幸せを感じます。お見事です。





年末の忙しい朝に、格別の一切れをそっと口にして清浄な心持ちを取り戻せるのはありがたい。私たちの30年以上続く大切な行事なのです。
1本を2人で2週間ほど、かな。貴重な行事で充実感を味わうことになるでしょう。古井シェフ、ベストレシピを Dank!



●『マジパンシュトーレン』2800円(本体4.2円/g) 小サイズは1450円  (※内税)
※ほかにプレーン(マジパンが入らない)の『クリストシュトーレン』、生地にアーモンドプードルが入る(しっとりさせるために、見ては分からないけれどロール状のマジパン入り)『マンデルシュトーレン』もありますよ。価格は同様。

●「焼き菓子の里」
  大阪市東淀川区菅原4-10-35  TEL06-6648-8357  定休日/第1・3日曜&第2・4水曜  営業時間/10:30~19:00

  ※ブログ「パイ日和」では、こちらの『タルトタタン』をご紹介しています。