成城アルプス(1)『モカロール』『ベルクール』『フルーツケーキ』『マドレーヌ』『フィナンシェ』

東京、小田急小田原線の成城学園前、駅から1分という好立地で1965年以来50年以上に渡って人気店でありつづけている「成城アルプス」さん。
初めて訪れましたが、味も応対も特筆ものの名店でした。


●『モカロール』 厚み3cm 横7.4cm 高さ6.8cmほど。
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モカロールといえば「成城アルプス」と言われるほどに、全国的に名を馳せています。この圧倒的な存在があるからこそ、名店でありつづけているのでしょう。

さて。なんとも美しい巻き。ふぅ、これぞロールケーキ!
巻かないのはロールじゃないでしょと思ってしまう私です。

コーヒー風味の生地は、共立てといいますからジェノワーズの部類。それにしてはずいぶんと強いコシがあります。
カフェクリームはバタークリーム。コーヒー液とバターとイタリアンメレンゲ。トップに粉糖。

口溶け良く軽い食感。塩気もかなり。生地もクリームも珈琲を満喫するお菓子。
食感といい、塩気を含んだ、意外と強い味わいといい、しっかりした存在感のある、今もなお時代の最前線にいることに納得せざるを得ない味わいです。

創業以来のロングセラー、この『モカロール』はお父様のルセットのものです。
幼少の頃から毎日毎日食べていて、天候や作り手の違いなど、ほんのちょっとした微妙な差異もその当時から明確に分かっていたそうです。身体の何分の一かはモカロールで出来ているのかも。
さらに、焼き菓子なども手に持っただけでその日の出来具合が分かったといいますから、“双葉より芳し”ですね。

お次は、現シェフ太田秀樹さんのものをご紹介しましょう。



●『ベルクール』  11×3cm 高さ4.3cmほど。
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このチョコレートケーキは現シェフが開発に10年の歳月をかけて、昨年2017年に完成させた、新しい看板商品(候補)です。
息子さんの代表作となり、これから愛されつづけていくプチガトーへと育って行くのが楽しみですね。

『モカロール』が生地とクリームのシンプルな組合せで出来ているのと同様、チョコ生地とミルクチョコガナッシュの組合せで出来ています。
うんうん、この辺りは踏襲したいラインですね。おぉ、シンプル!
 
写真で見ても分かるように、生地が主体のケーキ。ガナッシュは生地を食べやすくするための名脇役といったところ。普通チョコレートケーキではガナッシュでチョコレートらしさを出すのですが、あくまで生地でチョコレート感を追求しているのです。

口溶けが良くチョコレートの風味が高く満足感に溢れています。その背景にはチョコレートの素材の良さだけでなく、レミーマルタンをたっぷりアンビベしていること、それと生地はおそらくジョコンドタイプでアーモンドの風味も感じられ、チョコレートの魅力を何重にも奥行き深くしています(HPを拝見するとビスキュイショコラとのこと、うーん。どうでしょう)。

ガナッシュをミルクチョコにして味わいを和らげているところも冷静な判断で、チョコレート感の追求の中に食べやすさもちゃんと取り入れられているのです。いやはやお見事。



●『フルーツケーキ』  6.8×5.3cm 厚み1.4cmほど。
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あらん、封を切っただけでいい香りが漂ってきます。

昔風に赤いチェリーが入ったミックスフルーツが使われています。ラム酒漬けでしょうか、豊かでいてスッキリとした香り。

しっとりとした生地は口溶け良く、フルーツの甘味とともに生地の旨味が広がります。
後口にスパイスの香りが薄らと残ります。一般的なシナモンではなく、ナツメグやコリアンダーといったところでしょうか。



●『マドレーヌ』  7×6.8cm 高さ4.5cm 70gほど。
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わっ大きいっ。コキーユタイプでヴォリュームたっぷり。

レモンは使われていません。ほのかに塩気が感じられますが優しい味わい。原材料名を見ると、有塩バターなのですね。

締まった固めの生地ですがホロホロとした食感とともに卵の風味が広がってきます。やはり紅茶が欲しくなる美味しさです。





●『フィナンシェ』  8.5×4.8cm 厚み測り忘れ 35gほど。
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しっとりとした生地で、ジュワーとバターが滲み出て来ます。
優しめの焦がしバター、という感じ。

アーモンドも香っていますが、バター主体の仕上がりになっています。
ん? 原材料名を見ると、生クリームもはいっているようです。

『マドレーヌ』と『フィナンシェ』で明確に違う食感が追求されているのが嬉しいですね。
時折、マドレーヌまでバターリッチでしっとりしているところがあって、がっかりしてしまうことが多いですからね。



画像焼菓子はいずれも成城アルプスのロゴ「SEIJO ALPES」と商品名の入った、専用の袋入り。名称や原材料名などのスペックもシールではなく印刷されています。ふーむ。
そういえば、脱酸素剤が入っていないのは、どんどん売れて行くからでしょうね。

初代の息子さんで現シェフの太田秀樹さんは、対応してくれたスタッフによると、西東京の名店「スリジェ」「レ・アントルメ国立」で修業した後、渡欧、フランス、スイスで修業を重ねたそうです。
その経験を活かし、創業以来の味を守りつつ、現代的なフランス菓子も送り出しています。比重ではすでにそちらの方が多く、従来のお客様を失うことなく新しい時代を築いている様子。
創業以来のファンに加え、新たなお客様の心を掴み、お店はいきいきと輝いていました。老舗といっても、懐かしさだけではないようです。これからも盤石ですね。



●『モカロール』330円  『ベルクール』510円  『フルーツケーキ』230円  『マドレーヌ』190円  『フィナンシェ』190円   
  飲み物『カフェオレ』650円『カフェラテ』650円(ケーキセットで各200円引き)  (※内税)

●「成城アルプス」
  東京世田谷区成城6-8-1   TEL03-3482-2807  定休日/火曜  営業時間/9:00~20:00

  ※ブログ「パイ日和」では、こちらのパイをご紹介しています。