イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ(3) 『マンデルシュトレン』

師走になって、世間ではホワイトクリスマスが流れています。暖かい日が多いですが、いよいよシュトーレンの季節がやってまいりました。クリスマスまで、毎日の一切れ一切れが愉しみでなりません。
ということで、毎冬恒例、当ブログ名物“シュトーレン・シリーズ”の始まりです。

トップバッターは東京・代官山の御大弓田享大先生のお店「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」さん。いつも飛び切りの美味しさとはこれだ、というものを教えてくれる弓田さん。シュトーレンは如何に。


●『マンデルシュトレン』  18.1×10.3cm 高さ5cm 500gほど。
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箱を開けた時から、醗酵とバターと香辛料と焼き込んだ香りがふわんと立ち上ってきます。
流石、香りの人。

周囲の粉糖がバターを吸って黄色く色付いていますね。いかにもリッチな味を期待させます。

入っているのはレーズンがメインで、あとはオレンジピール、レモンピール。
レーズンを戻すのにダークラムが使われているのでしょうか。生地の色が美しいので、漬け汁はしっかり絞っているようですが、食べた後でじんわりとアルコール感も。
スパイスはナツメグとカルダモン。ヴァニラエッセンスも使っているようです。
おやっ、マジパンは棒にせずに薄いシートにして真ん中やや下に。
比較的しっとりとした焼き上がり。少し脆いので切れ味のいいナイフを使いましょう。


画像ではでは、薄い一切れを口に運ぶと…… ふうぅぅ~なんて美味しいのでしょう。うーん。

まっ先に周囲の粉糖が溶け出し、いつものことながら使われているバターが良質で、ミルク風味が強く漂ってきます。生地も牛乳と卵の優しさ豊かさに満たされていて、蕩けるような気分に。しばし陶~然。

そこで覚醒させてくれるのが、スパイスのやや刺激的でスッキリとした香り。ピール類も同時に香ってきますね。レーズンの甘酸っぱさが全体の奥行きを深くしています。

画像生ケーキでは積み重ねてさらに積み重ねてオリジナルの美味しさを開発しているのに対して、このシュトーレンでは珍しく各パーツ、素材を最高級に高めているのみ。ずいぶんシンプルな作り(当然と言えば当然ですが)。

でも、それがとっても贅沢な世界を築き上げているのです。清潔でスッキリとした感覚が際立っています。
宗教行事のお菓子としては贅沢すぎる気もしますが、この豊かさとスッキリ感の同居は格別。はぁさすが弓田さん、お見事でございます。



最高級の素材を使う「イル・プルー」さんはお値段が高いことでも有名。でもこの『マンデルシュトレン』は世間並み。パンという位置付けだからでしょうか。助かります。



●『マンデルシュトレン』3000円(6円/g)  (※外税)

●「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」
  東京都渋谷区猿楽町17-16代官山フォーラム2F  TEL03-3476-5211  定休日/火曜・第2第4水曜  営業時間/10:30~19:30