亀廣永(1)『したたり』

京都大丸百貨店の北出口から錦市場の入り口を左に曲がって、次の通り、蛸薬師の角を少し上がったところにあるのが、創業1936年の「亀廣永」さん。
京都としてはまだまだ若いお店ですが、老舗「亀末廣」から暖簾分けを受けた由緒正しいお店。
今回ご紹介する『したたり』も祇園祭の有名な菊水鉾の巡行前の茶席に供されるという格式のあるお菓子です。

●『したたり』  箱サイズ 5.8×19.7cm 高さ3.4cmほど。
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中国の故事“菊慈童”は、菊の露“したたり”を服んで七百歳まで生きたというお話。能楽の演目にもなっています。金剛能楽堂の庭には洛中名水の一、と唱われた菊の井があり、菊水鉾はこの井戸にちなんでいるそうです。
『したたり』は、このような背景を意識して1970年に作られたお菓子。

透き通る、琥珀色。シンプルで美しい。
なによりも見た目の涼やかさが暑いこの時季、嬉しいですね。冷やしても濁ったり曇ったりしないし、口溶けも変わらないようです。香りも味も黒砂糖が強く主張していますが、それでいてくどくならないキレのいい甘さは和三盆や水飴も加えた甘さの調合の妙。
寒天の濃度もシャープなエッジを出しつつ固すぎない、柔らか過ぎて崩れることもないほどの良さ。つるん、ぷるん。
名品と呼ばれるものは、ピンポイントの美味しさを手に入れているものなのですね。

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たしか、“菊慈童”は「鍵善良房」の『菊壽糖』でも参考にしていましたね。京都のお店はさまざまな伝統芸能や中国の故事にいたるまで、幅広い教養が問われるところがあり、それだけでも奥行きの深い味わいに感じられます。

●『したたり』1100円/一棹 (※内税)
●「亀廣永」
  京都市中京区蛸薬師通高倉上ル  TEL075-221-5965  定休日/日曜  営業時間9:00~18:00

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