初登場! パレットローヴ(1)『ミラノ』『モーダ』『デリス』『クレームジャスマン』

神戸市東灘区、阪急岡本駅から南東に3分ほどのところにある「パレットローヴ」さん。江原康之シェフ&奥様の夏子パティシエール(お二人とも1985年生まれ)のパティスリーです。2018年8月のオープン。もう1年3ヶ月も経つのですね。
早々に見つけきれなかったのが残念なほどの品揃えです。でも慎重派らしく、ようやく基礎が固まって、少しずつやりたいことが出来るようになってきたとか。『ミルフィーユ』や『マカロン』も最近になって並ぶようになったそうです。案外タイミングに恵まれていたかな。


●『ミラノ』  径6.5cm 本体高さ4cmほど。
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ほぉぉ、光り輝く美しい姿。しばし見蕩れてしまいました。

paletrove_contest2.jpgこのプチガトーは、江原康之シェフが“ルクサルド グラン プレミオ”(社団法人日本洋菓子協会連合会と洋酒メーカー「ルクサルド社」、輸入元のドーバー洋酒貿易が主催)の、2017年第24回大会の優勝作品。
このコンテストの優勝者には現ルレデセールメンバーをはじめ、斯界の錚々たる有名シェフが名を連ねています。

コンテストのときのルセットそのままに商品化しています。
コンテストではそのメーカーの洋酒を使うことが課題になっており、さらにその年ごとに文化的なお題が出て、プティガトー2点を盛りつけたピエスモンテを仕上げる規定のようです。

洋酒はヴァニラのリキュール、ムースとクレームに使用なのだとか。
底生地にはノワゼットのダクワーズ、全体がムースショコラカラメル、その中に3つの層が射込まれています。下からショコラサンファリーヌ、クレームヴァニーユ、フランボワーズのコンフィチュール。外側をフランボワーズのグラッサージュで覆っています。

コンテスト作品はおおむねスポンサー企業が喜ぶようにお酒を苦みが出るほどに使いがち。ということで敬して遠ざける日々。
が、ジンジンするようなアルコール感がありません。ヴァニラのリキュールが主役ではなく、フランボワーズ風味のチョコムースをイメージする仕上がり。ペクチンで固めたフランボワーズのグラッサージュの瑞々しさにうっとり。

なのに、です。食べ終わった後に余韻として品良くヴァニラの甘い香りがふわん、と……。華やかに立ち上がって来るのです。おう、来た来たという感じ。素晴しい! 
裏をかくアイデアでこれほどまでに優雅に決めるなんて、ヤラレタ~!!


●『モーダ』  径6.5cm 本体高さ6cmほど。
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mode 伊語で流行、モードですね。
優勝作のもう一つの方。こちらはオレンジリキュールです。

アールグレイ風味のシュトロイゼルを敷き、パンドジェンヌを載せ、全体はムースショコラブラン。中にアールグレイ風味のクリームとオレンジのジュレを射込んでいます。トップにはオレンジリキュールとゼストで風味付けしたシャンティと、乾燥焼のメレンゲとタイムを飾っています。

味の構成がシンプルで分かりやすいケーキです。ホワイトチョコ、オレンジ、アールグレイのすべてがお互いを引き立てあっています。
とくにオレンジとアールグレイの相性の良さ、目を見張るものがあります。そっか、アールグレイは柑橘系で香り付けしたものなので、強化される感じ。
リキュールでオレンジのキレの良さが倍増、とてもスッキリとした爽やかな味わいです。ホワイトチョコが円やかに優しくまとめあげる中で、キラリと光ります。ふうぅいいですねぇ。


●『デリス』  径5.5cm 本体高さ4cmほど。
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鮮やかな緑、ピスタチオ党としては選ばないわけにはいきません。
こちらは奥様の夏子さんがやはり“ルクサルド”に出品して、残念ながら予選落ちしたプチガトー。
予選は完成写真とルセットのみによる書類選考なので、写真の出来映えや時の運に左右されるもののようです。他店でも予選落ちの品がとても美味しかったという経験をしています。コンテストに出そうと決意した時点で、自信作なのですからね。

お酒はマラスキーノがたっぷり使われています。
底生地はピスタチオのダックワース、全体がピスタチオムース、中に下からピスタチオのビスキュイ、ミルクチョコ(ジヴァララクテ)ガナッシュ、グリオットチェリーのジュレを射込んでいます。トップはピスタチオのシャンティとグリオットチェリー。

軽やかなムースですが、ピスタチオしっかり香ってるぅ! ピスタチオの油脂感は強い酸味と相性がよく、グリオットとは色合いの上でもベストマッチ。赤と緑。
グリオットの背景にミルクチョコを置くことで甘酸っぱさに奥行きが出て、口の中にしばらく止めておきたくなるような深い美味しさ、わぉ!
マラスキーノでグリオットのチェリー風味はさらに強くなっているし、アルコール感でホワンと温かくなることで、一つひとつの味覚がより豊かなものに感じられるではないですか。
優勝作と並べて商品化するのも当然の出来映えです。


●『クレームジャスマン』  器内径6cm 深さ4.7cm 内容120gほど。
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プリンの姉妹品。へぇジャスミン? 意外と出会わないのではないでしょうか。胡蝶牌という銘柄でしたが、そういえば我が家にも青缶があります。

生クリームにジャスミンティーをアンフュゼして、あとは普通にプリンの製法で作っているだけ、という話しでしたが。
それが、素晴しいのです! ちょっと堅めのビストロのクレームカラメルが好物なのですが、宗旨替えしたくなるほどの美味しさ。
うんうん、大人のプリンですね。ジャスミンティーの香らせ方が品よく、陶然となってしまいました。なめらかな食感にも魅了され、とろける思い。

アレンジ版のプリンのなかでも筆頭クラス、まるで伝統菓子のような風格すら感じさせます。お見事!


paletrove_medal.jpg店名通り、ミラノの赤、モーダの白、デリスの緑、クレームジャスマンのアンニュイな色。ほかにも色とりどりの華麗なケーキが並んでいました。その美しさ、楽しさに思わずニマニマしてしまうショーケースです。

江原シェフ、「優勝なんて生涯これ1回だけ」と謙遜気味に言っていますが、たしかクープドモンドの日本予選のファイナリストにもなっているし、実力はトップクラス間違いなし。コンテストでは造形センスや作業の美しさ速さなどがかなりのパーセンテイジを占めますが、お店となると最優先は味覚のセンス。
ご夫婦お二人とも、主張しつつ過度に陥らないコントロールの力も持ち合わせているので、今後とも素晴しいケーキとの出会いが待っているかと思うだけで、嗚呼~しあわせ!

●『ミラノ』520円  『モーダ』520円  『デリス』520円  『クレームジャスマン』280円  (※外税)
●「パレットローヴ」
  神戸市東灘区本山北町3-6-10  TEL078-585-7428  定休日/不定休  営業時間/10:30~19:00

※ブログ「パイ日和」では、こちらのお店の『ミルフィーユ』『洋梨のタルト』などをご紹介しています。

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