グロスオーフェン(9)『フロマージュ デ ロワ』『モンブラン』『焼き菓子/ブラウニー、モーン、ヌスクナカ』

大阪府箕面市、阪急箕面線・桜井駅の駅前の小さな交差点を行き過ぎたところにある「グロスオーフェン」さん。
1981年オープンの老舗ですが、10月から新シェフ清水久弘さん(1969年生)が先代のお菓子を残しつつ新味を発揮し、引き継いで早々、活気のある展開を見せています。


●『フロマージュ デ ロワ』  辺8cm 高さ3cm 60gほど。
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同じ箕面の名店「デリチュース」さん『デリチュース』同様、チーズの王様と呼ばれるブリー ド モーを使ったチーズケーキ。ん、姿も似ていますね。
が、しかーし。物まねに堕していないところが清水シェフの優れたところ。ご本家が全国相手の大規模店になってブリー ド モーの臭みを抑えた(好き嫌いが激しくクレーム対応上やむを得ない措置)のに対して、チーズ好きの渇を癒すほどに、チーズ感満開! やったね。

この香りの豊かさは、チーズの白カビの生えた皮の部分までフルに使っているから。生クリームで伸ばすだけで卵を加えていないのも、チーズらしさを強調する結果に繋がっています。
器のシュクレも極力薄くして、あえて存在感を消しています。薄めに掛けられたナパージュはアプリコットに白ワインと、あくまで大人志向。
ブリー ド モーの匂いと塩気に陶然としながら、ワインやコニャック片手にチビリチビリとやりたくなりますねぇ、ふぅぅ。
チーズ愛好者も納得のチーズケーキの誕生です。あっぱれ! お見事。


●『モンブラン』  径6.5cm 高さ7cm 100gほど。
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こちらはドイツ菓子がベースのお店ですが、久弘シェフはフランス菓子を学んでいるので、チラホラとフランス風のケーキも。この『モンブラン』もいかにもフランスタイプ。
底生地はフランス風のお約束メレンゲ(アーモンドプードル入り)。湿気防止にチョコのプラックを被せています。
その上は、無糖のシャンティに渋皮煮の栗のダイスを混ぜたもの、周囲にモンブランクリームを1層。モンブランクリームはフランス産と大分産の和栗を合わせ、比較的軽めにキレの良さを目指しています。ちなみにバターを加えるのは美味しく感じずに好きではないそうです。
裾の部分にヘーゼル風味のシュクセ生地を無造作に張り付け、トップには渋皮煮の栗とチョコプラック。

和栗も使っていますが、仏産の栗の癖を和らげるのに役立っているのかなという感じ。チョコのおかげでメレンゲがイキイキとしていて、サックサク。小気味いい感触。
おやっ、薄いチョコレートなのに、パリッとした食感だけでなく、ちゃんと栗の味わいを深くする役割を果たしていますね。
たっぷりの無糖のシャンティがなめらかで気持ちよくモンブランクリームの口溶けを助けていて、素早く味わいが伝わってきます。くどさを感じさせずに栗感を堪能できるのにはちょっとびっくり。

なお、クリーム類にはアマレットを使用。へぇ珍しいですね。微かに香っていて、キレの良さを出しているような。いや、洋栗ペーストの強いヴァニラ香をやや大人しく手懐けているような。
シュクセ(この目的のためだけにわざわざ焼成)のヘーゼルはよく分かりませんでしたが、これも栗の風味を深くするのに寄与しているのでしょう。
とてもきめ濃やかな技が駆使されています。お見事!


●『ブラウニー』  7.3×5.6cm 厚み1.8cm 45gほど。
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焼菓子の、唯一の新作。
チョコレートはカカオマスやバターなどから作る、自家製(長年務めている製造販売の臼井さんが「詳しくは企業秘密、ふふっ!」とのこと)。へぇ珍しいですね。ブランドものではありませんが、かえってカカオの風味が感じられるのではないでしょうか。
チョコレート生地には、胡桃とオレンジピール。仕上げにチョコレートを流しかけ、カカオニブ。香り付けにコアントローも少し。

ほぅ、チョコ感の強いブラウニー。カカオニブまで使っていることからも分かるように、チョコの風味をたっぷり味わえます。
ややしっとりとした生地の食感を味わいつつ胡桃の食感が時折合いの手を挟み、ピールとコアントローのオレンジの香りで、華やぎと広がりを与えています。
紅茶を飲みながらじっくり楽しみました。


●『モーン』  8.8×5.7cm 厚み1.2cm 40gほど。
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残る2つは先代の残したレジェンドともいえる名品。

クッキー生地2枚の間にうっすらとフランボワーズジャム。中心にVの字を残してチョコレートコーティング。この形がユニークで愛着が湧くんだよな。
チョコクッキーの味わいの中から、ジャムのねっちりとした食感とともにほんのかすかな酸味が伝わって来るのがいいのです。
ん、ジャムこんなに少なかったっけ? とチラッと思いましたが、記憶は嘘をつくことが多々あるので、こちらが間違っているのでしょう。
いずれにせよ、代が変わってもちゃんと伝えられていて一安心です。


●『ヌスクナカ』  径7.9cm 厚み2cm 45gほど。
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大好き、贅沢チョコビスケット。チョコレートを使っている焼菓子は冬のシーズンしかないので、毎年待ち遠しいほど。
クッキー生地をやや堅めに焼いて、チョコレートでコーティング。上にはヘーゼルナッツとオレンジピールを蜂蜜、砂糖、バター、生クリーム、小麦粉で煮詰めたものをゴロゴロと。

たっぷり11個も載っているヘーゼルが、カリッコリッ! 
ひゃあ~、激しいと言ってもいいほどの目覚ましい食感で驚かせます。ナッツの香ばしさも弾けます。なんだか、ヘーゼル多めのような気もするし、力強さを増したような気も。
カリッボリッコリッザクッ、音の競演のところへ、ピールの明るい香りが綾なして飽きさせませんね。もちろんベースのチョコ掛けクッキーの美味しいことと言ったら、もう。
これさえあれば、ニコニコ微笑んでしまう単細胞の私たち。やっぱり何度食べても美味しいなぁ。gros_pac.jpg


キャリア25年の二代目清水シェフ、先代の名品を前に臆することなく、なぞるのではなく、自分のお菓子として手の内に入れているような、活き活きとした感覚が伝わってきます。
本当に得難い人材が後を継いだものです。ますます栄えあれ!


●『フロマージュ デ ロワ』420円 『モンブラン』460円 『ブラウニー』230円 『モーン』230円 『ヌスクナカ』230円 (※内税)
●「グロスオーフェン」
 大阪府箕面市桜井1-1-31  TEL072-723-9151  定休日/水曜  営業時間/10:00~19:00

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