初登場! ロワゾー・ブルー(1)『スペルト小麦のバゲット』『アインコーン小麦のカンパーニュ』

京都の北、堀川通が賀茂川に突き当たるところで左折、次の角を過ぎたところにあるのが「ブランジュリ ロワゾー・ブルー」(L'oiseau bleu)。店主は弘岡桂子さん。一人で作って接客もしている。1袋30kgの小麦粉を持てるのかなと心配するほど、小柄な女性。だが快活明朗で、こちらのいらぬ心配など吹き飛ばしてしまうほどパワフルなエネルギーを放射している。
下鴨の「レ・ブレドォル」で修業し、天才と謳われた(「ルプチメック」の西山シェフから聞きました)福永茂之シェフの薫陶を受けているというから、本格派だ。

開店して5年になるそうだが、ある時お医者さんが訪ねてきて、グルテンによる健康障害を発症している患者さんがどれくらい多いかということを説いた本を置いて行ったそうだ。それを読んで、少しでも健康にいいものをという想いが募り、3年目から品揃えをガラリと変え、古代小麦や米を使用し、グルテン・卵・乳製品・精製糖フリーを貫いている。
蕎麦や大豆、ナッツなども使用しているで、完全なアレルギー対応とは言えない。アナフィラキシーショックを起こすほどの重篤なアレルギー患者は遠慮してほしいが、過敏性腸症候群などの人にはお奨めだとのこと。
何より、健康な人にも素晴しく美味しいパンだということが有り難い。
前口上はこれくらいにして、パンそのものを紹介しよう。(担当クボタ)


●『スペルト小麦のバゲット』  25×7.3cm 高さ4.5cm 130gほど。
loiseaubleu_baguette.jpg
古代小麦のなかで一番知名度の高いもの。ディンケル小麦の名でも知られている。普通の小麦とブレンドして使うのが一般的だが、こちらはスペルト100%。

それぞれの麦を使って起こしたルヴァン種で低温長時間醗酵を基本に据えているようだが、今回のバゲットはポーリッシュ法(水種法)とのこと。最低2時間で醗酵が完了する(24時間以上は逆に不味くなる)方法なので、醗酵による旨味はそれほど感じられない。
その代わり、粉の風味がストレートに味わえる利点がある。ふくよかで優しい香り。気持ちの和らぐ香りだ。

loiseaubleu_baguettecut.jpg水分の比較的多い生地なのでクラストは薄く、バリッと歯切れがいい。
クラムは引きが弱めで、柔らかな口当たり。

スペルト100%にしては比較的安価なので、日常的な利用に適している。



●『アインコーン小麦のカンパーニュ』15.6×12.5cm 高さ7.6cm 450gほど。
loiseaubleu_campagne.jpg
一粒小麦と訳されているもの。世界最古の原種とされているようだ。
高い栄養価と抗酸化力を持つとも言われている。食べると力がみなぎってくるという人も多いらしい。

こちらはアインコーンによるルヴァン種を使用したパン。まずは香りが凄いのだ。持って帰る道中、ダイニングに置いている間中、そりゃあもう、芳香が豊かに漂って幸せな気分に満たされる。
クラストは普通の厚みを持っているけれど、食感はやや軽くザクッサクサクと脆く崩れてくれる。クラムは引きが弱くややぼそっとした食感。たっぷりした甘さのある生地で、全体に濃厚。バターやチーズがよく合う。
甘味については粉自体のものなのか、カンパーニュに通常加えられるモルトエキスによるものなのかは未確認。

loiseaubleu_campagnecut.jpg食べ応えがあるし、旨味がじわじわと湧き出て来るので、食べるほどに満足感を高められる。

旨いっ! 久々に感銘を受けたパンだ。




古代小麦はもう1種類カムート(デュラムセモリナの古代品種)があり、これも“一度食べたら忘れられない”と書かれているので、早晩食べる必要がありそうだ。他にも米粉のパンや、雑穀やドライフルーツを使ったものなど、こだわり系のパン屋さんとしてはレパートリーは広いほうだろう。
いずれにしても、自然派の頑さのようなものが感じられずフランクな姿勢で接してくれ、教条を押し付けられる窮屈さがないのが嬉しい。これはとても大事だね。
わざわざ尋ねる値打ちがあるし、近くまで行ったらぜひ寄りたい店だ。

●『スペルト小麦のバゲット』300円 『アインコーン小麦のカンパーニュ』1200円  (※外税)
●「ブランジュリ ロワゾー・ブルー」
 京都市北区大宮田尻町53  TEL075-492-9200  定休日/水曜・木曜、他不定休(店舗営業は土日のみ、平日は予約のみ対応)  営業時間/10:00~17:00(売切次第閉店)