ブーランジュリーパリゴ(1)『黒豆のシュトレン』『和栗とほうじ茶のシュトレン』

大阪、大阪メトロ谷町線・夕陽ケ丘駅から東へ3分ほどのところにある、大人気店「ブーランジュリー パリゴ parigot」さん。2005年のオープンです。
「ビゴの店」出身で「モンディアル デュ パン」の日本代表も経験した、安倍竜三シェフのお店です。
もちろん、こちらもシュトーレンを作っています。しかも3種。定番の『シュトレン』、そして、シュトーレンと呼ぶべきかちょっと悩むほどの変わり種2つ、『黒豆』と『和栗とほうじ茶』です。
毎年3本、シュトーレンを食べて幾星霜の私たちですが、今年の3本(「焼き菓子の里」「ロトス洋菓子店」「ペルケオ」)はすでに終了。十分満足したし、いつもなら、ここで打ち止めです。
が、しかーし。とびっきりに美味しかったので、変わり種のものをご紹介しましょう。もぅ凄いのです!


●『黒豆シュトレン』  13.2×6.8cm 高さ4.3cm  220gほど。
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えーっ、スパイスや洋酒漬のフルーツ類がないっ? シュトーレンなのに、シュトーレンですよね、これ?
その代わりに黒豆の甘煮って…しかも、た~っぷりごろごろと。最近、黒豆づいている私たち、なにかの吉兆だったりして。

オーソドックスなものも作っているので、生地の配合や元種を作って本種と合わせる手法などは同じようです。
製造スタッフの中村さんに聞いたところでは、焼き上がりにまずアーモンドのリキュールを塗り、澄ましバターに漬けることを何度か繰り返した上で、粉糖をたっぷりはりつけているとのこと。アレンジレシピではあっても作り方のパターンは踏襲しています。
粉糖は3mmもの厚みがあり、これまたたっぷりの甘さ。そして、これでもかというほどのヴァニラ香。

なかなかの強者じゃのう、とはしゃぎながら口へ運べば…… ふ、ふ、ふぁはははっ~、思わず笑っちゃいました。なんて美味しさなの!? うんうん美味しいぞッ!

parigot_stollencut.jpg最初の一口の際、ほんの一瞬ですが、柔らかく炊いた甘い黒豆が溶け出す美味しさの背景に、チョコレートを感じたのです。微かに過るチョコの薫りも、ふーむなぜ?

おやっ、成分表示にカカオの文字が。どのようにしているのかな、でも、面白い。
あとで確かめると、生地にはホワイトチョコのクラッシュも少し入っているそうです。冷やして食べることを前提にしているので、口どけを良くするために、カカオバターも加えているとか。そうそう、生地にはマジパンではなくアーモンドプードルも入っています。
黒豆の香ばしいような香りを表に出すためにはスパイスが邪魔なのですね。フルーツも合わなくはないけれど、うるさくなるのかな。

parigot_stollenpac.jpgヴァニラの香りがふんだんに立ち上ってきます。この香りと味の甘さの魅力は黒豆にぴったり寄り添っています。生地もかなり焼き込んでいて、端っこのほうは香ばしさも。どっしりとした食べ応えがあり、派手な役者のケレンを余裕で受け止めているのです。

うーん、シュトーレンじゃないけれど、やるなあ。おまけになんという安さ! 天晴です。


●『和栗とほうじ茶のシュトレン』13.3×7cm 高さ4.2cm 215gほど。
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ふふふっ、お次は、和栗にほうじ茶、ときましたか。
こちらも同じ生地にほうじ茶の粉末を入れ、和栗の甘煮がゴロゴロと入っています。ん、生地より栗のほうが多いのでは、と目が釘付け。
やはりホワイトチョコチップも入っているそうですし、焼き上がりから粉糖の仕上げまでの工程は同じとのこと。見た目も大きさも一緒なので、トップにほうじ茶の色で印をつけて区別しています。

ほおッ、ほうじ茶の香りがぐんぐんと立ち上って来るのではないのですが、明らかに和の風味が感じられます。そう、ほうじ茶の香りを出すのは難しいのです。
でも、雰囲気としての“和の侘びのようなもの”は表現されていて、和栗のたっぷりの甘さのバックグラウンドとしての最適の環境を作り出しています。
栗の甘さは凝縮された味わいで周りの粉糖と相まって、これってマロングラッセ? と思ってしまうほど。ほっくりと優しい食感は和のイメージですが、味わいは洋。

parigot_stollenkuricut.jpgよくあるパウンドケーキ、ケックよりもずっとずーっと贅沢で美味しいじゃないですか、ワォ! 参ったな、…… 白旗です!

このような逸脱の大傑作は「サ・マーシュ」の西川さん作(コムシノワ時代)の菓名はシュトーレンではなかったけれど『ガトー ショコラ ブラン』以来かな、いやいや「エルベラン」柿田シェフ作の『パッションフルーツのシュトーレン』もありました。異能の人たちですね。

こちらのお店は長い間訪問すべきお店リストのトップにいながら、私たちにとっての個人的な鬼門の地(お店とはまったく無関係の事情)ということもあって、放置したままになっていました。あぁ、情けなや~。
でも、百貨店で『黒豆シュトレン』を買って驚愕し、さすがにこれだけ美味しいものに出会ったらお店へ何としても行かずばなるまいてと、ダッシュで行って来た次第。続報をお待ちあれ。

●『黒豆シュトレン』850円  『和栗とほうじ茶のシュトレン』850円  (※外税) 3.8円/g(外税計算)
●「ブーランジェリー パリゴ」
 大阪市天王寺区上本町9-3-4  TEL06-6774-5087  定休日/月曜、第1&3火曜  営業時間/7:30~20:00