ブーランジュリーパリゴ(2)『パン ド メティユ』『ニ ダ ベイユ』『もち麦きなこつぶあんパン』

大阪メトロ、谷町線夕陽ケ丘駅から東へ3分。大人気のパン屋さん「ブーランジュリー パリゴ」がある。シェフは豊富なキャリアと赫々たる実績を誇る安倍竜三さん。
かなり広い店内に溢れんばかりの品揃え。しかも珍しいものも多く、初めて訪れると目移りして困るほど。今回はざっと見回して見つけた、珍しいものをご紹介しよう。(※担当クボタ)


●『パン ド メティユ』 20×9cm 高さ6.5cm 245gほど。
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pain de meteil とは、小麦とライ麦を混合したパンという意味。50%ずつの配合。ドイツでいうミッシュブロートに相当する。自家製の天然酵母で醗酵させているとのこと。
安倍シェフに聞いたところによると、50%のものを作っているのは「パーセンテイジの高いライ麦パンは需要が少なく、数名の方からの特注で焼いているのみなので、せめてライ麦パンと呼べる範疇のものを」との思いで焼いているとのこと。

紙袋から取り出すとふわんと粉を焼き込んだ香りが立ち上ってきて、にわかに食欲が湧いてくる。
薄いクラストはパリッと歯切れよく、クラムはライ麦が半分入っている割にはグルテンが出ていてややふっくらと軽めの印象。ドイツのライ麦パンがカラメルを入れるのに対して、こちらは無糖で粉自体の甘味を重視しているようだ。

parigot_meteilcut.jpg天然酵母もサワー種ほどの酸味はなく、ショーカードに書かれていた酸味を探すレベル。
口の中で液状になった生地から少し冷たいような感覚が伝わってきて、“これが酸味か”とようやく納得する。

とてもマイルドな味わいながら、どこか重厚感が備わっていて、当たり前だけどチーズやバター、スモークサーモンなどによく合った。


●『ニ ダ ベイユ』 径8cm 高さ3.8cm 65gほど。
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nid d' abeilles 蜜蜂の巣。普通はブリオッシュ生地の上にアーモンドスライスのカラメル和えを載せて焼いたもの。作っているところは少ない。
安倍シェフの出身である「ビゴの店」や、もう閉店してしまったパティスリー「アランカスケビッチ」では置いていた覚えがある。

こちらでは上下に切り分けて、普通用いられるカスタードではなく、ムースリーヌにレモン果汁を加えたものをサンドしている豪華版。ドイツ菓子に“ビーネン シュティッヒ”という似たものがあり、バタークリームなどを挟むことが多いのでそれを参考にしているのかもしれない。
parigot_hachicut.jpgレモンムースリーヌの美味しいことといったら。ほとんどバターと呼びたいほどに滑るような溶け心地。それでいてベタついた印象はなくレモンの酸味と香りでスッキリ。ブリオッシュもリッチだし、アーモンドのカラメル和えが控えめなアクセント、香ばしさが生彩を放っている。
シンプルだし醗酵していてパンには違いないけれど、もうほとんどケーキの領域。こんなに美味しいものを出されたんじゃ、ケーキ屋さんは困るだろうな。お見事です。


●『もち麦きなこつぶあんパン』  径7cm 高さ4cm 60g ほど。
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あんパンというと、ついつい餡が主役で、どれだけ餡をたっぷり入れているかということを競い勝ちだが、これは明らかにパンが主役。
普通の小麦粉ではなく、餅麦の粉を使って、とても引きの強いモッチリとしたパンに仕立てている。
parigot_ancut.jpg餡はお店から近い「どら焼きの茜丸」から仕入れているとのことだが、店内で甘味調節をし、餅粉を入れて粘りを付けている。餡に粘りがあることで、強い生地との一体感が出て、小量の餡でたっぷり楽しめるようになっている。表面に振りかけている薄甘いきな粉とも相性が良く、全体に品のいい甘さ。
そこいらの和菓子屋さんも顔負けという、和菓子的な世界を作り出しているあんパンだ。うん、素晴しい。


本格とか原点回帰といったことにガチガチに捕われるのではなく、基本を踏まえた上でより美味しいもの、食べやすいものを作ろうとしているように感じる。
シェフ本人が優れた職人である以上に、美味しいものに眼がない食いしん坊なのだろう。そういう食欲を刺激する意欲が、パンから滲み出ている。

●『パン ド メティユ』330円  『ニダベイユ』240円  『もち麦きなこつぶあんパン』180円  (※外税)
●「ブーランジュリー パリゴ」
 大阪市天王寺区上本町9-3-4  TEL06-6774-5087  定休日/月曜、第1&3火曜  営業時間/7:30~20:00

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