ミラヴェイユ(1)『モンブラン』『ケークオランジュ』『ケークアールグレイ』『ケークアマンドショコラ』

兵庫県宝塚市、阪急今津線・逆瀬川駅から東へ10分ほどのところにある、大人気のパティスリー「ミラヴェイユ」さん。妻鹿祐介シェフ(1980年生)が創意に富んだフランス菓子を楽しませてくれるお店です。
食べるほどに、開店以来長年足を向けなかった私たちの怠慢ぶりを自ら責めるばかり。ああ、なんでもっと早く来なかったんだろう。楽しい想い、美味しい想いを逃した悔しさが募るばかりです。なんてこったい! 


●『モンブラン』  径5.5cm 高さ7cmほど。
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くるくるときれいな渦巻き模様のタルトのモンブランです(タルトですが、通常モンブランは「パイ日和おまけ」で紹介するので、こちらで)。「パイ日和」でご紹介したタルト2点と同じパートシュクレを2mmの薄さに延ばしたものをタルト生地に使っています。フランス菓子のお店でモンブランのタルトは珍しい。
でも、古いタイプのモンブランタルトではありません。まず表記した直径は球状に絞ってあるモンブランクリームの一番太い部分。タルト台はこんなに小さい型がよくあったなと思うほどの小ささ。
妻鹿シェフ「このモンブラン、和洋折衷なんです。中のシャンティにゲランドの塩をほんの少し入れてます。あんこに塩を入れる感覚です」。
ほおッ、気を惹きますね。パートシュクレに、アンベール社のマロンペーストを加えたダマンド。そこへ焼き上げた後、ラムシロップをたっぷりと。渋皮栗の甘煮を置いて、例の塩入りシャンティ。アンベールのマロンペーストと和栗のぺーストを合わせ、さらにアンベールマロンクリームとバターを合わせたモンブランクリームを巻き付けるように絞っています。トップにもシャンティ。最後に粉糖。

わぁ美味しいっ! 栗だ、栗。ラム酒も一体となった洋風の栗。いやあ、バターの入ったモンブランクリームはやっぱり口溶けがよくて、なめらか。こっくりとしたコクもあるし、深い味わい。ふうぅ。
ほおほお、シャンティと合わさると、たしかに一段とコクが増すような。いやキレがいいような気もします。シャンティを舐めると塩気を感じますが、しょっぱいというほどの塩辛さではありません。渋皮煮のほっくりとした優しい甘さが、箸休め的な感覚かな。
和からのアイデアですが、味わいは洋。一見繊細に見えますが、濃厚で強い味です。どこかにチョコプラック的な薄い板が入っていたらより強さを強調できるかもしれませんが、くどくなるかな。
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さて。断面写真を見てください。モンブランクリームの分厚さがお分かりでしょう。栗が高騰して最近、どちらのお店もシォンティたっぷり、モンブランクリーム薄く一層というのが定番になって来ている中で、貴重な量。
これを支える土台にスポンジでは弱いし、メレンゲでは甘過ぎで塩の意味が無くなってしまうし。必要あってのシュクレであり、マロンダマンドなのですね。2mmにしたことで、全体を邪魔せず軽快な食感をプラスしています。
インカの石垣のように隙間なく見事に組立てられた構成、隙のなさが見事です。


●『ケークオランジュ』  5.3×5.5cm 厚み1.5cm 30gほど。
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「今、ケークにチョコレートを入れるのがマイブームなんです」と勧めてくれたケークシリーズ。バター不足でほかに使える油脂はないかと考えていてチョコレートで試してみたら大満足の結果に。
ケークの基本素材、バター、小麦粉、卵、砂糖のほかに生クリーム、アーモンド、蜂蜜、BPが入り、そこにホワイトチョコ、主役のオレンジピール。
たっぷり入ったオレンジが爽やかでマーマレード的なコクも感じさせています。しっとりした生地がトロリと溶け始めると、うん、チョコレートかも、ちょっとミルキーな感じもあるような気もするし。ふふっ誘導されてる?
ともあれ、マイブームというのも納得です。


●『ケークアールグレイ』  5.3×5.5cm 厚み1.5cm 30gほど。
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こちらはほぼ同じ素材の構成で、オレンジの代わりにアールグレイの茶葉。
オレンジの糖分、水分がないせいか、少しパサッとした食感。でもすぐにトロリと溶け出すような食感。ホワイトチョコは隠し味的存在なのでしょうが、口溶けとコクに寄与しているような気がします。
アールグレイ、香りますねぇ、ふわん。紅茶のお菓子は基本的に好きです。爽やかで気品の高い味わいになりますからね。心を澄ませて深い瞑想に誘うようなところがいいのです。


●『ケークアマンドショコラ』  5.3×6cm 厚み1.5cm 30gほど。
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こちらも上記の素材にココア、カカオマス、カカオバターとチョコレート作りの素材とラム酒が加わっています。ホワイトではなく、ブラック。もちろん隠し味ではなく、主役です。トップにアーモンドダイス(生地にも少し)。
さすがは年間通じてボンボンショコラを作りつづけているショコラティエだけのことはありますね。ココア、カカオマスからとても上質なチョコレートの香りを抽き出しています。ラム酒の香りと一体となって、大人のチョコレートの世界を築き上げています。アーモンドダイスもいいアクセント。
十分に甘いですが、濃厚でビターな味わいを満足させてくれるのが嬉しい。いいな、これ。


繊細で上品な味わいながら、濃厚な満足感を併せ持つ妻鹿シェフの世界に引き込まれてしまいます。一つひとつのお菓子に隠されている技に触れることが楽しみです。今後、当ブログの常連になること必至。ご期待のほどを。

●『モンブラン』500円 『ケークオランジュ』200円 『ケークアールグレイ』200円  『ケークアマンドショコラ』220円  (※外税)
●「パティスリー ミラヴェイユ」
 兵庫県宝塚市伊孑志3-12-23  TEL0797-62-7222  定休日/水曜、第2&4木曜  営業時間/10:00~19:00
※ブログ「パイ日和」では、こちらのお店の『ミルフォイユ』とタルト2品をご紹介しています。