ムーラタルト(11)『シュトレン』

大阪、天神橋商店街という庶民的な場所で、すでに21年のキャリアを積み重ねてきた「フランス菓子工房 ムーラタルト」さん。オープン当初から伝統菓子とオリジナルを織り交ぜて本格的なフランス菓子を貫いています。
この『シュトレン』を作りはじめたのが2002年頃のことというから、大阪のフランス菓子店が取り扱いはじめた最初期に当たると云えるでしょう。毎年焼きつづけてきて当初の4倍売れるようになったそうです。じっくりとした取り組みで、確実に広めていますね。そう、ファンが出来るのも当然の美味しさ、うっとりしてしまいますよ。
私たちの師走を伴走してくれるお菓子、2020年の2本目、さっそくご紹介しましょう。

●『シュトレン(大)』  18.3×7cm 高さ4.6cm 410gほど。
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ローマジパンを生地に練り込むドイツの伝統的な製法に従った正統派です。リッチな味わいですが華美にならない節度のある味わい。クリスマスまで少しずつ食べ進めるのに最もふさわしいものではないでしょうか。
ドライフルーツ類はサルタナレーズン、カレンズ、アプリコット、プラム、オレンジピール、レモンピール。ブランデー主体にラム酒も加えたところに漬け込みます。刻んだ胡桃も入ります。
従来は3年熟成させたものを使っていたそうですが、去年使い切ってしまったそうで、今年のものは1ヵ月間だけ。「でも、案外上手く漬かっています」と吉野暢人シェフは自信ある表情。

スパイスはカルダモンとナツメグを同割りで、シナモンとヴァニラを微量。焼き上がりを澄ましバターに漬けて目の細かなグラニュー糖をまぶして何日か寝かせ、ラップで包む前にたっぷりの粉糖で覆っています。
生地の仕込みは2段階あるし、分割成形、焼成、仕上げと連続10時間の仕事。以前はそれをダブルヘッダーでやっていたそうです。さすがに最近はそんな無理はしなくなったそうですが。今年53歳ですものね、わかるぅー。
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ホオーッ、落ち着いた品のいい香りなのに思わず声が出ますね。とってもいい香り。ラム酒の甘さに頼らずブランデー主体にしたことでキレがいい。スパイスも教科書的な配合に比べてカルダモンが前に出て、スッキリと奇麗。しかも、それぞれが単独で主張するのではなく、心地いいハーモニーを奏でているのです。はぁ。
いかにも醗酵生地の基本を守った、少し乾き気味の食感、醗酵の香りもあります。ローマジパン入りの贅沢な生地感に、フルーツ類の芳しい湿り気、バターをたっぷり含んでいるので、スルリと溶け出してくる感触もいいですね。うんうん、深い味わい、美味しいなぁ。
伝統的な宗教菓子に敬意を表してか、ほとんどオーソドックスな製法を守っていますが、香りの工夫をしたことで、本格的な味わいを裏切ることなく、とても活き活きとした現代のお菓子として活かし切っています。素晴しいですね、お見事!
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大人気です。大きなサイズは44本焼いたそうですが、最後の1本をゲット、ぎりぎりセーフ。ほっ。
小は72本、いま何本残っているかは未確認です。いずれにしても残り少ないことでしょう。お急ぎあれ。必ず経験しておくべき『シュトレン』です。

●『シュトレン』2950円(大 6.66円/g/本体価格) 1950円(小)(※内税) 
●「フランス菓子工房 ムーラタルト」
 大阪市北区天神橋3-1-6  TEL06-6242-7177  定休日/月曜・火曜  営業時間/10:00~20:00、10:00~19:00(日)