ミャーゴラ(5)『宝珠』

京都、地下鉄・北大路駅から西へ10分ほどのところにある「パティスリー ミャーゴラ」さん。いつも何か新しい発見や発明をしたくてウズウズしている奥山智浩君のお店です。
いま、モンブランブームですね。お客様から「モンブランはないの?」としつこく聞かれるのに嫌気がさし、評判の高かった『モンブラン』をスッパリと止めて、これぞ栗でござい、というお菓子を作ったのでした。

●『宝珠』  径6cm 90gほど。 高さ測り忘れ。
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元々作っていた『モンブラン』はタルト生地にブリュレクリームを流し、洋栗のモンブランクリームをセンターに置き、周囲をヴァニラ風味のホワイトチョコのガナッシュで包んだものでした。この白い山、けっこう美味しそうに感じますが、「栗感が足りない」から止めて、これでもかという栗感を目指したのでした。
が、これって? …… 絶句。姿も名前も奥山君の暴走、始まります。
『宝珠』は上下半分に割って、外側からホワイトチョコによる栗の殻風、その内側に九州産の和栗(利平栗)と卵黄ベースのバタークリームを合わせたものを塗り、マロングラッセを砕いたものを置き、センターにマスカルポーネと洋栗のペースト(マロンロワイヤル社)とコニャック(カミュのイルドレ50°)を合わせたものを詰めています。下半分も同じ作りですが、マロングラッセの代わりに自家製ヘーゼルナッツの塩味のプラリネを入れています。
外観はマーブルにしたチョコを潜らせて、模様付け。底にはカカオニブとチョコチップを張り付けています。
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うわー、何なのこれ?! 和栗がとっても香っています。
和栗は繊細なのでバタークリームや洋栗に負けるんじゃないの、と思っていたのですが、じつに見事にいい方に予想を覆されてしまいました。香りのベースが築かれたところに、洋栗の濃厚さ、マロングラッセの旨味が次々と追い打ちを掛け、栗、栗、栗だぁ、どうだ参ったかと主張してくるのです。それぞれにバタークリームやマスカルポーネが付き添って味わいを濃厚に、奥行き深くしてくれるのです。芳醇なコニャックの香りも感動を高めてくれます。
ヘーゼルのプラリネは同じナッツで相性が良く、塩気が絶妙なアクセント。外側のカカオニブの苦みもよく利いていますね。嗚呼、心奪われる美味しさ。
この栗感の集中砲火は凄まじい。これならモンブランがなくとも納得です。お値段ちと高くっても納得です。あっははっ。
「すや」の栗きんとんに似ていると言った人がいるそうですが、あれは和そのものの、しんねりむっつりとした栗の味わい。私たち好物ですが、全然比べ物になりません。
これほどまでに自分をアピールする栗のお菓子は初めてでしょう。いやはやお美事!

いつもしてやられてしまいます。説明を聞いていると、若い人特有のやりすぎパターンに陥っているとやや心配になるのですが、食べてみると意外なほどスッキリとまとまりがいい。このあたりに彼の傑出した才能が表われています。
宝珠は如意宝珠ともいって、何事も意のごとくなし得るという霊験あらたかな宝の珠なのです。奥山君、まさにこの宝珠で人の心を意のごとく操っていますね。うーむ。

●『宝珠』750円  (※内税)
●「パティスリー ミャーゴラ」
 京都市北区紫野上門前町105-2  TEL075-204-5337  定休日/日曜  営業時間/12:00~19:00
※ブログ「パイ日和」では、こちらのお店のヴァニラ尽くしのタルト『セルジュ』をご紹介しています。