ブーランジュリー パリゴ(4)『リュスティック』『カンパーニュ』

大阪、地下鉄谷町線・四天王寺前夕陽ケ丘駅から東へ5分ほど、上町筋沿いにあるのが「ブーランジュリー パリゴ parigot」。モンディアルデュパンの日本代表に2度選ばれ、今もコーチを務める安倍竜三シェフの店だ。絶えざる技術習得、知識向上を目指すパン生産者の組合を作るなど、名実共に日本のパン業界を牽引するリーダーだ。超多忙を極めるが、類い稀な指導力で店内はキビキビと働くスタッフたちの熱意が伝わってくる店となっている。
品揃えも多彩で本格的なハード系から惣菜パン、菓子パンまでどこをとっても充実している。今回は、ハード系の代表商品を2種ご紹介しよう。(※書き手クボタ)

●『リュスティック』  14.7×13.3cm 高さ6.4cm 200gほど。 
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rustique は加水の多い田舎パンだが、こちらではバゲットと同じ生地を使っている。というのもバゲット自体を多加水で仕込んでいるからだ。
安倍シェフがもっとも重視している粉の選択は、キタノカオリ+アメリカ産ブレンド小麦+フランス産ブレンド小麦。旨味を追究しつつ、毎日食卓に上るものとしての使命である低価格も合わせて達成するための、最善の選択のようだ。なお、配合は季節によって変わるとのこと。
バゲットとの違いはバゲットが成形してすぐ焼いているのに比べ、成形しづらいゆるい生地をほとんど成形せずに、少し寝かせてから焼いていること。触らないのでガスも抜けにくく気泡が大きくなる。そして寝かせた分、旨味とほのかな酸味が増している。確認していないが、窯入れの時に霧吹きもしていないだろう。
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薄くパリッとしたクラストが軽快。クラムはしっとりもっちりと多加水パンの特長をよく表している。でもよく焼き切っていて、パンナイフに生地が着くことがない。多加水では珍しい。
噛み締めるほどに旨味が湧き出てくる。柔らかな甘味と粉の香りも馥郁と立ち上ってくる。食べ飽きない万能タイプだ。

●『カンパーニュ』  21.3×10.8cm 高さ6.5cm 190gほど。
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上記のバケットと同じ粉の配合に、ドイツ産ブレンドライ麦粉を10%加え、ルヴァンリキッドで仕込んでいる。リキッドにすると酵母の活性も高く、水和性も高くなりグルテンが出やすいのと、旨味、酸味も強くなる傾向がある。
ライ麦は少なめだが、やはり風味が増してストレートに美味しい。ライ麦派としてはもっと重厚でもいいと思うが、このパーセンテージでも美味しいと思うのはベースとなっている粉の配合がリュスティックで証明されているように美味しいことと、ルヴァンの力が強いのだろう。旨味たっぷりのパン。ブルーチーズを合わせて食べたが、いい相性だった。
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いずれのパンもグラム1円は切らないが、それでもすこぶる安価だ。これだったら日常的に気兼ねなく食べられる。嬉しい限り。

TV出演もするなど精力的に活動しながら、本拠である店の質を落とさないところが超人的。生産の現場で長続きしない若い人が増えている昨今、甘やかさず厳しい指導でついてこさせることが出来ているのは人徳としか言い様がない。他店が真似できない長所だ。

●『リュスティック』290円  『カンパーニュ』290円 (※内税)
●「ブーランジュノー パリゴ」
 大阪市天王寺区上本町9-3-4  TEL 06-6774-5087  定休日/月曜、第1&3火曜  営業時間/7:30~20:00