お菓子の店ヨシカワ(18)『シトロン キュッフェル』『サブレ オ ポワール』『ガトー バスク オ ショコラ』

兵庫県芦屋市、阪急神戸線・芦屋川駅から線路の南を東へ10分ほどのところにある住宅で、お店を営んでいる「お菓子の店YOSHIKAWA」さん。「イル プルー シュル ラ セーヌ」の師範の資格を持つ吉川和子さんが一人で丹誠込めて作っています。毎日作り立ての新鮮な焼菓子が玄関ホールに並べられています。生ケーキは数点、写真が掲げられていて、注文するとキッチンの冷蔵庫から出してくれるというシステム。
一般に、焼菓子は年中同じもの、というお店が多い中、こちらは季節ごとに品揃えが頻繁に変わっています。そう、季節が感じられる焼菓子なのです。こんなことって、ある?
ということで、毎回知らないお菓子との出会いが待っているのです。今回も私たちにとっての新顔3種となりました。

●『シトロン キュッフェル』  5.9×2cm 厚み0.8cm 6gほど。
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えーっ、檸檬のキュッフェル? 珍しい。
『ヴァニラ キュッフェル』が定番であるのですが、それがまた絶品! その別ヴァージョン。ウィーンで勉強したことのある人のものが美味しかったので、味の記憶を頼りに自分で開発。
定番の『ヴァニラ』はほろっと儚い食感ですが、こちらはバターたっぷりの軽快なサクサク感は残し、レモンは果汁と果皮の両方、オレンジの果皮(「イルプルー」の御大 弓田氏は明るい酸味が出ると言っているそうです。同感!)をほんの少し。表面は粉糖ではなくグラニューの細粒。

乾燥焼したのかと思うほどにカランとした手触りで軽い。ほんの一瞬カリッとした食感の刹那、サクサクッと脆く崩れると同時に、檸檬のキュンとした酸味と澄んだ香りに襲われます。
軽さと強さの刺激に一瞬驚いたことに気づいたころにはもう生地の甘さ、グラニュー糖の食感と甘さに包まれて …… はぁ~、檸檬の後口を味わいつつ優しい気分に戻っています。なんて素敵なストーリーのあるお菓子なんでしょう。お手本がどんなだったか分かりませんが、大満足。お見事です。

●『サブレ オ ポワール』  径5cm 厚み0.6cm 9gほど。
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周囲にザラメが張り付けてあるディアマンタイプ。サブレシリーズがあって、洋梨の前は、林檎だったそうです。以前に、『パイナップル』『杏』は食べています。どちらも大好きなサブレ、また食べたいな。
よくよく考えると、サブレに林檎ゃパイナップルや杏って珍しいですね。今回ご紹介する洋梨って、お初ですよ。他所では出会いませんからね。

さて。洋梨のピュレを煮詰めて短時間で水分を飛ばして生地に加えています。
サクサクと軽快な食感に、ザラメのジャリジャリとした激しい食感がかぶさってきて印象的。はじめは甘いだけ、卵とバターの風味だけと感じるのですが、次第に洋梨の風味が過ってきます。知らない間に洋梨のそこはかとない香りに柔らかに包まれ、とても控えめな甘酸っぱさににっこり。ウーム、食べるほどに美味しい。甘い余韻も長いですね。
美味しさの仕組みが実感として分かると、次の1枚からは最初から洋梨のサブレという認識で食べてしまいます。頭の中にこのサブレのための鍵穴が出来上がってピタリと嵌るのでしょう。いやあ面白い、癖になる!

●『ガトー バスク オ ショコラ』  径8cm 高さ3cm 90gほど。
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バスクのチョコレートヴァージョン。中のカスタードもチョコレートです。
ココア生地にはアーモンドプードルとヘーゼルプードルが入っているのでしょうね(今回簡単にしか聞いてなくて、ほかの興味深い話しに終始していました)。奥行きのある風味を作り出しています。
バスクは中のカスタードが煮えてしまってブニュンとした“ういろう的”な食感になっているものが多いのですが、こちらのものはカスタードが煮えてなくて、ゆったりと流れ出す感じ。その分食感がもったりとした重さを免れて、ふっくらサックリとした食感の生地とトロリとしたカスタードとの組み合わせになって、やや軽やかなお菓子になっています。
チョコ尽しの重厚な風味を軽やかに味わわせてくれるのが素敵。カスタードはラム酒が入っていてアルコールのジーン感もあるし、甘さ控えめで大人のクリーム。あら? どこからかオレンジの香りも漂ってきてエレガント。いいですねぇ。
珈琲を淹れてゆったりとした一時に、そばに置きたいお菓子です。


『ガトーバスク』は賞味期限3日以内、『キュッフェル』『サブレ』は5日以内、となかなかこういうお店は少ないですね(エイジレスは入っていません)。「イルプルー」さんがそうであるように、「ヨシカワ」さんもそれを自慢するでもなくごく当たり前のこととして行っておられます。ほかにも生ケーキなら冷蔵庫から出して何分後がベストですよ、というお知らせもあったりして、このような徹底した品質管理はお客様に一番いい状態で味わってほしいから。そう、お客様の笑顔のため、とも云えるでしょう。
そういった気持ちはやはり伝わってくるのでしょうか、どれも素晴しく、何故だか自慢したくなります。パイも大得意なのですよ。他にいつもの『チーズのサクリスタン』も買ったのですが、涙を呑んで友だちに渡しました。
当ブログの常連で、かなり食べているので分かっている気になりがちなのですが、毎度毎度、新しい発見に驚かされてしまいます。名店というのはこういうものなのですね。

●『シトロン キュッフェル(15個入)』680円 『サブレ オ ポワール(10枚入)』680円 『ガトー バスク オ ショコラ』350円(※内税)
●「お菓子の店YOSHIKAWA」
 兵庫県芦屋市大原町23-20  TEL0797-23-2370  定休日/日曜・月曜・第1火曜  営業時間/11:00~18:15
(※12月の営業は変則的。12/20~23、8・15・26日は休み。28日は営業。なお定休日も季節によって変更の可能性あり、ご確認のほどを)