パティスリー エメラ(18)『クッキー缶』

奈良、近鉄奈良線・富雄駅の南2分ほどのところにある「パティスリー ショコラトリー エメラ」さん。いまは二代目である藤原尚樹さんがオーナーシェフです。この2020年12月8日に創業50周年を迎えました。おめでとうございます。
それに先立って12月5日に、先代(藤原洋治氏)を偲ぶ日として年に数回不定期で開催している“エメラ洋菓子店の日”を催し、お祝いの日としました。その日販売された特別の商品が、お父さんの作っていた生ケーキとこのクッキー缶。
遺されたレシピノートから再現されたクッキー類が詰められています。ここに込められた熱い想いについては「トップパティシエの眼光」(ブログ パイ日和)でお伝えした通り。世界に紹介された尚樹・現シェフの洗練された味わいに通じる、先代の分かりやすく素直な美味しさを継承しようというもの。
そう、「いまクッキー缶が流行っているから、その波に乗ろう」なんて発想はさらさらないのです。そこがまた「エメラ」さんの魅力ですね。次なる50年(シェフ、その時97歳ですよ~)に向けての決意が書かれた栞が入っていて、お客様への真摯な想いが窺えます。
今後オンライン通販限定商品として通年販売し、“エメラ洋菓子店の日”だけはお店でも販売する予定ですよ。

●『クッキー缶』7種 20×15cm 深さ5cm(缶サイズ)※写真右上から時計回り
emera_cookiekanpac1.jpg
エメラルドを基調にした優しい色合いの、薄緑の箱カバー。それをワクワクしながら外し、缶の登場。あら、印象に残るデザイン。
いよいよ、ぱかっと蓋を開けると …… あぁ、懐かしい雰囲気だなあ。ホオーッ、いい香り。ヴァニラの香りが立ち上ってきますね。バターの香りも。粉を焼いた風味も。
クッキーはここが肝心。缶を開けた時の香りの高さで美味しさが保証されたようなものです。50年前の1970年当時であれば、これはモダンなお菓子と言われていたでしょうね。う~ん、どれも美味しそう。ではいただきまーす。

IMG_2405.JPG◆『ラングドシャ』(13枚) 径3.8cm 厚み0.7cmほど。
うんうん、お約束通りのサクサク感。ヴァニラの香りがいいなあ。バターのコクも感じるし。表面の微かなざらつきが、菓名の猫の舌を思わせます。
◆『マーブルクッキー』(8枚)  径4cm 厚み0.7cmほど。
比較的堅めのよく締まったクッキー。微かな塩気が後を引く。おやっ、チョコの香りなのか、醗酵バターを使っているのか、チーズっぽい風味がふっと過るような。原材料にはないので香りの妄想ということで。
◆『シトロレッテン』(14個)   径3cm 厚み1.3cmほど。
これは、父洋治シェフが「プランタン」時代に作っていたと聞いたことがあるとのこと。生地はラングドシャに似ているけれど、より繊細で柔らか。ん? 時折、檸檬の果皮が入っているかなと勘違いしてしまうのは、その香りの豊かさのせい。トップのドレンチェリーは表面カリッとするところまで焼けていて、中はネッチリ。
◆『ロッシェアマンド』(7個)  径2.8cm 高さ2.5cmほど。
アーモンドダイスの入ったメレンゲの乾燥焼。メレンゲの甘味が控えめで食べやすく、口溶けも良い。アーモンドもよく香ります。ピアニッシモのカシャの後は、儚く消えていく。
◆『ほうじ茶クッキー』(5枚)  径3.7cm 厚み0.7cmほど。
繊細なサラサラとした食感の生地に、ほうじ茶の茶葉が練り込まれています。ほうじ茶の失われやすい香りが、じつによく広がっていきます。食感も軽やか。ひょっとしてこのサブレだけはほうじ茶に凝っている尚樹シェフのルセット?
◆『アーモンドサブレ』(3枚)  径3.7cm 厚み0.9cmほど。
2枚のサックサクのサブレの間に、ごく薄ーくアプリコットジャム。表面に細かなアーモンドダイス。一口目のパリンッとした食感の後、ジャムの粘着感。ほんの微量のジャムのほのかな酸味が味の決め手。
◆『アーモンドショコラ』(8枚) 3×3cm 厚み1cmほど。
ココアの焼き込まれた芳ばしい香り。アーモンドは食感に活かされていますね。サクサクッ。

emera_cookiekanmini.jpg
可憐なクッキーをひと摘み、ストレートの紅茶を淹れて、至福のひと時を過ごしました。ふうぅ。
一見、こんな何でもないクッキーに離れ難い魅力を感じるのは、上質な材料と確かな技術で作られているからですが、でもそれだけじゃないんです。その先の食べ手の笑顔をつねに心に抱いているからこそ。改めてそんな気がしました。

●『クッキー缶』2980円  (※外税)
●「パティスリー ショコラトリー エメラ」
 奈良市富雄元町2-6-40  TEL0742-44-6006  定休日/火曜水曜(不定休あり)  営業時間/11:00~18:00